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「ポエム」という言葉の価値を上げよう(無料記事)

4月のはじめにこんなことをつぶやいた。

いつの頃からか「ポエム」ってあんまりいい印象で使われなくなったよね。もったいない。「ポエム」の価値を上げようぜ。

「ポエム」って本来は、詩や韻文という芸術性の含まれた意味なのですが、どうも「詩的ではあるものの中身のない文章」と揶揄して使われるようになっています。素敵な言葉なのに、なんだかもったいない。

そこで「ポエム」という言葉に含まれている意味の価値づけ(アップグレード)をする実験をしたいなぁと思いました。

それは、単純に「詩を書いて、配信する」ということでは解決できない問題です。重要なのは、そこに明確な価値づけを試みるということ。

語弊がある表現かもしれませんが、僕の解釈として、詩の中の言葉自体には大した価値はありません。名詞や形容詞などが並んでいるだけです。本質的な価値はそれらが織りなされた行間にある。あるいは言葉の韻律から生まれる楽しさだったり、心地良さにある(場合によっては哀しみや苦しみ)。

言葉の連なりを読んだ時に、自分の内側に広がる光景と感情。そして身体性の伴った語感が生むリズム。つまり、感覚を呼び起こす装置としてポエムは機能し、それを実現する表現を「リリカル」と定義しています。

あくまで僕個人の解釈です。

では、どのように価値を上げればいいのか?

まずは、「ポエム」の定義を見つめ直す必要があります。僕の定義は先述の通り「言葉による表現であり、それを読んだ時に、身体性を伴って自分の内側に広がる光景、感情、感覚を呼び起こす装置」です。

重ねて言いますが、これは僕個人の捉え方です。人それぞれ万別の解釈があると僕は思っています。そして、明記しておきたいことは「詩」を言葉で説明するほど野暮なことはない、ということです。それは絵画や音楽も同じ。その表現でしか形にできなかったから創作表現をしているわけで。言葉で説明できれば、わざわざ絵を描いたり、音楽を奏でたりする必要はないんですね。

では、どのような方法で「ポエム」の定義をするか?

選択肢の一つとして、答えは物語です。物語は間接的に「ポエム」を表現することができる。あるものを介することによって、僕たちはより遠い場所へ、あるいはより深い場所へ到達することができます。

「あなたが〝詩的だ〟と感じるものを文章で書く」

説明文ではありません。例えば、フェリーニの映画の光景を文章で描く、遠方に住むとある作家から届いた美しい土鍋について描く、祖母との思い出の手料理について描く。それらは「ポエム」と同じく、編まれた物語から醸し出す力に本質的な価値が生まれます。

つまり、「ポエムとは何か?」を詩的な作品、光景、記憶、物質を介することによって間接的に説明する。そこでようやく、本質的に「ポエム」を表現することになります。

実際にどのような形でプロジェクトするのか?

サークル『教養のエチュードしよう』で、冒頭の課題についての案を募りました。メンバーからアイデアをいただきました。

①テーマを決めて募集する。
②ポエムリレー。お題をバトンとする。
③詩集をつくる。

とてもいい案です。

ポエムを愛する人に参加してもらい、表現の輪を広げていく。基本的には、このアイデアに則って進めていこうと思うのですが、そこにはまだ「明確な価値づけ」が行われていません。

もう一段降りて(踏み込んで)考えていく必要があります。昨日、サークルメンバーとマガジン購読者に向けてこのような記事を書きました。

要は、「まだ価値の見出されていないものに価値をつける」ということについてです。この工程を踏まえて考えていけば自ずと何をすればいいのかが見えてきます。

例えば、

1.「あなたがポエムを感じるもの」について書いてもらう。
2.ポエムを書く。
3.リレーとして次の人へバトンを回す。

という流れの中に

4.バトンを受け取った人は、前の人のポエムを朗読して音声にする。

あるいは、

4.バトンを受け取った人は、前の人のポエムの続きから新しくポエムを書く。

など、別の要因として「意味」を加えることによって価値を上げていくことができます。

意味を重ねていくことで生まれる物語。それが醸す空気感こそ、ポエムの本質だと僕は思うのです。


***


と、いうようなことを日々考えています。まだまだアイデアがあれば教えてください。

マガジンでは、このようなプロジェクトの過程を書いていきます。これを企画にして実際に打ち出すには、文章をもっとわかりやすく、短く整える必要がありますよね。だから本来は誰かに見せるための文章ではないのですが、マガジンをはじめて「あ、まだ決まっていないものでも配信できるんだ」と思って、更新頻度が増えています。

メンバーに投げかけていきながら、形を整えていく。それで一人でも多くの人が楽しい気分になればいいなぁ、と。まさにこれは実験です。

その行為によって、その創作物によって、そのプロジェクトによって、世の中の0.002%を一緒に素敵にしませんか?




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「繭が風を手に入れ、シルクとなった」 対話のこと、文章のこと、考えるということ。

「ダイアログジャーニー」と題して、全国を巡り、さまざまなクリエイターをインタビューしています。その活動費に使用させていただきます。対話の魅力を発信するコンテンツとして還元いたします。ご支援、ありがとうございます。