ギターの弦は緩めるべきか

 おそらく日本でギターを売られるようになった時から続いているであろうこの議題。ギターの弦は緩めるべきか。諸説あるが、なんとなくこの2ヶ月アコギ屋で働いてみて、上司の言うこととか、自分で感じたことから答えを出してみる。
 結論としては、緩めたほうが安パイということ。その理由として2つある。
1. 弦を緩めないでギターを置いておいたときに起こるトラブルの方が、緩めておいた時に比べて多そう
2. 日本はギターにとって環境が悪すぎる
 それぞれ説明してみる。まず1の方だが、弦を緩めずに張った状態で置いておいたときによく起こるトラブルとして、ネックの剃りや、ネックの接合部からくの字に曲がってしまうハイ置き、ボディのトップが膨らんでしまうことや、ブリッジ浮き、ネックに沿ってボディが割れることなど、結構多岐にわたる。一方で弦を緩めておいたときに起こりそうなトラブルとして、ネックの逆剃りがある。お客さんからギターの調子が悪いという問い合わせをいただいた時に今のところよくあるのはネックの剃り、ハイ起き、ボディの膨らみなど、弦を張ったときのトラブルが多い。逆剃りで問い合わせをいただくことはこの2ヶ月では1回もないと思う。
 2の方は日本の四季と湿度の高さが原因ということ。高級なギターはアメリカ製のものが多いが、例えばカリフォルニアなんかはかなり乾燥しているので、そこで組み立てられて日本に来たギターは状態が変わってしまうことがある。不安定な状態でがっつり弦を張って80kg程度の力が加わったままだと、不具合が生じることがある。
 以上から、楽器屋の店員がギターを売るときに緩めたほうがいいと提案するのである。プロの方でも緩める必要がないということを発信している場合があるが、それは高級な機材を部屋に置いているがゆえに環境管理が徹底されたりするので、ギターに負荷が少ないからだ。一般的な家庭だと暑ければ窓を開けるし、水辺に住んでいるご家庭なら年中湿度は高めだと思う。あまりにも状態が多岐にわたるので、緩めるほうが安パイですよと思う。

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