トップ材による音の違いについて

 アコースティックギターにおけるトップ材とは、正面に見える一枚板のことだ。ホールが空いていて、音が飛ぶ方向を向いている板である。この板の振動を通して音を前に飛ばすので、使用する木材によって当然音が変わってくる。代表的なトップ材は以下だ。

・スプルース
 最もオーソドックスな木材。色合いは白っぽい黄色。低音から高音までのバランスが良い。サイドバックに使う材の特性を、変な味付けなく前にしっかり飛ばしてくれる印象。また、産地によって名前の頭に色々つくことがある(例:イングルマン・スプルース、アディロンダック・スプルース)。産地による音の違いまではまだ勉強中、

スプルーストップのMartin D-28
https://www.ikebe-gakki.com/Form/Product/ProductDetail.aspx?shop=0&pid=735381&bid=ec

・シダー
 茶色っぽくて、わかりやすく筋が入っている木材。フィンガーピッキング用のアコギや、ナイロン弦を用いたクラシックギターのトップ材としてよく使われる。ソロフィンガーで弾いた時にちょうど1~3弦で鳴らすメロディ部がしっかり前に出る音質特性を持っていると思う。低音もほどよく鳴る。煌びやかな音質はカラッとした印象だが、同時に暖かみを兼ね備えている。

シダートップのMorris S-91Ⅲ
https://www.morris-guitar.com/products_handmade/s-91-3.html

・マホガニー
 シダーより更に茶色い。焦茶。普段はサイドバック材に使われることが多いが、トップ材としてもたまに使われる。中高音に独特のトーン感があり、カラッとしつつピッキングなどするとかなり前に出るサウンド。また、超低音は控えめな印象で、中低音が他の木材に比べ前に出てくる。指で爪弾くように弾くと、中高音の抜け感と中低音のもっこり感が相まって非常に暖かみのあるサウンドになる。

マホガニートップのYAMAHA STORIA III
https://www.ikebe-gakki.com/Form/Product/ProductDetail.aspx?shop=0&pid=705743&bid=ec&cat=agt001

・コア(ブラックウッド)
 マホガニーに似た色合いの木材。ウクレレに使われることが多い。木材のグレードにもよるが、マホガニーよりも木目が綺麗なものが多い。音響特性はかなりバランスが良く、マホガニーのトーン感を残しつつ、音のレンジを広げたようなサウンドだと思っている。ウクレレの低音弦を弾いたときにちょうどいい丸みが出るような木材なので、ギターで使うと中音域の丸みを保ちつつ全レンジに鳴ってくれる印象。希少なのでお高い。

コアトップのTaylor 224ce-Koa DLX
https://www.ikebe-gakki.com/Form/Product/ProductDetail.aspx?pid=701785&bid=ec

 面白いことに、上記の木材はマホガニーとコアが似ているもののそれぞれ外見の特徴が全く違うため、外見によってある程度音の傾向を予想することができる。「人は外見で判断してはいけない」という言葉があるが、結構顔に出るものだったりする。ギターのトップ材もギターの顔なワケだから、結構中身まで分かっちゃったりするということである。

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