「関係ない」とはどこまで「関係ない」のか


 
A 「やっぱり大谷選手みたいに身長が高くないとメジャーで活躍するのは難しいよなぁ」
B「そうかもしれへんけど、アルトゥーベ※は168cmやのにMVP2回取ってるわけやから、あんまり関係ないやろ」
日常会話の中で、このように「関係ない」と表現することがあります。
たしかに、つい「関係ない」と言いたくなる場面もあるのですが、この「関係」が指す厳密さは人によって恐ろしく異なっていることに最近ようやく気が付きました。以降、「関係ない」とは口にしないキャンペーンをしています。
この用法がさす「関係」はrelationship(人間的な関わり合い)ではなくtendency(傾向)に近い意味合いがあるため、その相関関係の強弱を問うているわけです。
これは「相関係数」として定量的に表すすべがあり、-1~1の間であらわされる指標をみれば、2者がどれほど連動するのかを表すことができます。
エクセルでもCORRELという関数があるそうです。
たとえば、メジャーリーガーの身長は大抵の選手が一般人よりも高く、ごくまれにアルトゥーベのような選手がいる、という程度です。
仮に、身長とメジャーリーグでの活躍度合いの2つを変数とした場合、相関係数は1に近い数字になる気がします。
では果たして、どの程度の相関係数の値までを含んで「関係ない」というべきなのでしょうか。0.7?0.3?
答えを出せそうにないので、「関係ない」発言を封印したのです。
先ほどのように、極めてまれな例外を持ち出して、「ほら、関係ないやん!」と鬼の首を取ったようなしたり顔で反証した気になっている手合いを見かけると、「関係」って相関係数が1か-1でないといけないのでしょうか。と独り言ちてしまいそうになる陰湿な部分があるため、「お前は面倒くさい」と言われてしまう羽目になります。おとなしくしておきます。
 
※ホセ・アルトゥーベ。ベネズエラ出身のメジャーリーガー。
 

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