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副業にあたって役立つ裁判例⑩ リンクスタッフ事件(大阪地裁H27.8.3判決)

10個目の裁判例は、すでに退職済みだったこともあり、副業を行ったこと等を理由に損害賠償をした事件です。

損害賠償と一言にいっても、その内容は少し複雑。

賠償してほしいとした損害は、①情報の不正取得、②調査費用、③引き抜き、④有給中の賃金分のお金は返すべきお金、⑤信用棄損と5つに分かれています。

結果、認められたのは②(30万円)のみ。
①については不正取得が証拠上明らかでなかった。
③については、社会通念上自由競争の範囲を逸脱するような勧誘をしたことを認めるに足りる証拠がない
④については、有給中の賃金を返すべき理由がない
⑤については信用が毀損されたことが証拠上明らかではなかった。

ということが、それぞれ損害賠償として認められなかった理由です。
②が認められたのは、不正取得を疑わせるような行動をとっている(ただし、不正取得をしたことまでは証明できなかった)という特殊な事情があるからのようです。

ということで、副業を理由にする損害賠償を認めてもらうには、それなりにハードルがあります。

一方で、競業の会社を起業する行為が副業許可制に違反するということは認められやすいことが、この裁判例からもうかがえます。

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