キッズライン問題についてどう考えるか

キッズラインが悪い意味で注目を集めてしまっています。
個別に関与しているわけではないので、記事などからしか分かりませんが、
パパ弁護士を名乗り始めたからには言及したほうがいいだろうと思い、記事を書きました。

把握している事実関係は以下のとおりです。(※ソースが限られていますので、真実とは限りません。)
1 2019年11月
キッズライン登録の男性シッターAがわいせつ事件の犯行に及ぶ
キッズライン社は警察からの連絡を受け、捜査協力
2 2020年4月24日
Aの逮捕がキッズラインの名前を伏せて報道
3 2020年5月3日
Aによるわいせつ事件ついてAERAdot.で報道
同日、キッズラインによるプレスリリース
https://kidsline.me/contents/news_detail/584
4 2020年6月4日
キッズライン、男性シッターによるサービス提供を全件ストップ
https://kidsline.me/contents/news_detail/605
5 2020年6月12日
キッズライン登録の男性シッターBがわいせつ事件で逮捕
(5月中にも犯行?)
https://kidsline.me/contents/news_detail/611

大前提として、キッズラインのように大きな規模で事業をする以上、わいせつ事件を起こすような人を派遣してしまうリスクはゼロにはできません。
キッズラインのサービスは使ったことがあるのですが、前日の夜に予約して当日の昼に来てもらえました。
利便性がよく、お世話になった人も多いのではないでしょうか。

その上でもなお、やはりキッズラインの対応には問題があると考えます。
主な問題としては
① わいせつ事件発生後の再発防止に向けた調査や対応が不十分であること
② 顧客への連絡が速やかになされなかったこと
③ 事後対応としてシッターの性別を重視しすぎていること
の2点が挙げられます。

① 元来あったリスクが顕在化したのであれば、再発防止に向け、事実の調査をすべきだったと思います。わいせつ事件は被害者も口外しにくいので、会社側での聞き取りの努力が特に必要だったのではないでしょうか。サポートデスクを置かれているのは素晴らしいと思いますが、積極的な情報収集をなしたわけではなさそうです。
 加えて、本来であれば想定内のリスクだと思いますので、リスクが顕在化した際の手続きについても事前に作っておくとなおよかったと思います。
 さらに、評価システムについてもシッターに誰からの評価かが分かってしまいますので、悪いことを書きにくいというのは否定できません。性犯罪やそれに至らない問題行動を把握するためのシステムが足りなかったとの評価も出来るところでしょう。
 細かい事実が分からないので明言はできません。しかし、わいせつ事件が起きてしまった直後に別の同種事件が発生したわけですから、キッズラインはプラットフォーマーであるとはいえ、性被害にあわれた方との関係で責任を負う可能性は十分にあると思います。
 仮に法的責任は認められなかったとしても、レピュテーションへの影響は大きいと思います。

② 顧客はキッズラインを信用し、子どもを預けました。離婚で親権争いが泥沼化しやすいことや、コロナ禍の中で保育園・幼稚園・小学校等に子どもを通わせるか答えを出すのが極めて難しいことからも明らかなとおり、親は子どものことになると、客観的・合理的に判断することはできず、どうしてもリスクを過大に評価したり、無理だと分かっていてもリスクをゼロにしたくなるものではないでしょうか。そういう中で苦しみながら選択をしていく親にとって信頼できるかどうかについての重要な情報を公開されなかったというのはキッズラインに強い不信感を生じさせます。まして、本件は性被害です。心への影響は計り知れず、そのようなことにならないよう出来る限り万難を排したいと考えるのが普通です。
私もキッズラインの利用には強い躊躇を覚えます。

③ 男性シッターのみを対象に一律に仕事をさせないのはパパとして非常に残念です。子育ての文脈では男女差別をすることが許容されているようにさえ感じます。キッズラインのプレスリリースによれば、男性に限定することについて、「専門家から性犯罪が男性により発生する傾向が高いことを指摘された」ということが記載されていますが、それは本当にキッズラインのサービスにおいて男性シッターのわいせつ事件を起こすリスクが女性シッターのそれより高いことを意味しているのでしょうか。そもそも男女で切り分けていいのでしょうか。なお、東京労働局雇用環境均等部によると、個人事業主という扱いの中で、仲介業者にあたる会社が性別の仕切りを設けることは可能であるとの回答を得ているということです(https://news.yahoo.co.jp/articles/dfcf77730097d49cb7d23d340c6611d78efccfb8)。

2020年5月3日以降、キッズラインの対応はとてもスピーディーで、色々と努力なさっているだろうと思います。完璧を求めるのも不適切です。
私は、育児は家族や身内だけではなく、色々な人が関わっていくべきだと考えていますので、シッターサービスがより広がっていくべきと考えています。

だからこそ、現在シッターサービスとして先頭を走られているキッズラインがよりよくなって欲しいと思います。




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