オリジナリティを出すためには「自分らしさ」を横に置いておく

10年ほど前、当時働いていた会社の先輩と飲んでいたとき、すごい勢いで

「俺は誰の影響も受けてねぇんだよ!」

と演説されたことがありまして。

そのときは、なんてかっこいいこと言うんだこの人は!とキラキラとした目で見ていたんですが、あれから10年以上経った今では、あいつ何言ってんねん、というツッコミ話として捉えてしまっています。

生まれてから今まで、誰の影響も受けず育つ人っています?
森の中で育ったんですか?ケモノですか?

親、先生、友達、恋人…

挙げればきりがないほどの影響を受けてるはず。まぁおそらくその人が言いたかったのは

「誰かの考えに流されることなく、自分の頭でちゃんと考えてやってる」

ってことを伝えたかったんでしょうけどね。


そもそも、人間として生まれてきた時点で、人間としての構造を受け継いでますし、そこからはありとあらゆる構造からの情報を浴びて育ちます。その情報(経験を通したインプットも含む)で今の自分が成り立っているわけであって、全く誰からも影響を受けていないオリジナリティなんてものは存在しないんですよね。

では何を持ってオリジナリティ、自分らしさとするのか、ということですが、そのいくつもの情報の重なりそのものを自分らしさ、とするしかないんです。

色んなところから色んなものをパクって今の自分が成り立ってるんですが、そのパクり方、積み重なり方は人それぞれで、同じ要素だとしても重なり方が違えば、それは自分らしさと呼んでもいいものになります。


多くの場合、自分らしさを求める時は引き算の発想、つまり「誰も持っていない個性」を求めてしまいがちですが、実は本当の自分らしさというものは足し算の発想、つまり「色んなものが重なり合った部分」にこそ潜んでいるんだと思うんです。


なので、生まれてから今までの体験の中で、これは自分らしくなかったな、というものや、これは他の人の考え方だな、というものを排除するのではなく、それらを受け入れたうえでどんな重なり方をしているのか、ということを再構築してみるといいのではないでしょうか。

あちこちぷらぷらしている人こそ、自分らしさを持っている人ってことなんじゃないかなーと思う次第であります。

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