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#33 「UNDEAD」を歌うikuraはもはや「1人でんぱ組.inc」だ。

既に解散が決まっているアイドルグループ、でんぱ組.inc。解散報道に際して元メンバーの最上もがさんが語っていたように、6人時代のでんぱ組の魅力は凄まじかった。特にその完成度が高まったアルバム「GOGO DEMPA」の時期は、楽曲といいパフォーマンスといい、まさに無敵であったと思う。


でんぱ組歌唱

でんぱ組がでんぱ組たる所以は、メンバーそれぞれのもつ声の個性、バリエーションだと思う。そしてボリュームとスピードを乗り切るタフさ。個性的なのになぜかぎゅっとまとまるサビのユニゾン。「破!to the Future」「STAR☆ットしちゃうぜ春だしね」はこうした要素を象徴する名曲だ。


その後根本凪さん、鹿目凛さんが加入しての素晴らしい「延命措置」。新体制では、ぴんきーセンターで諭吉佳作/menさんを制作に迎えた「形而上学的、魔法」という名曲も生まれた。でんぱ組ならではのマイクリレーが楽しめる。


YOASOBI「UNDEAD」

でんぱ組歌唱を継承するグループは数多くいると思われるが、それをなぜか1人でやってしまったまさしく「化け物」がいる。やはり当ブログの主役、YOASOBIの新曲「UNDEAD」がまさにでんぱ組歌唱スタイルの1曲であった。


「UNDEAD」にはfeat.の情報などもないので、全部ikuraが歌っていると思って良いはずだ。


これまでのYOASOBIは、ikuraのストレートな声、細やかな音移動技術を、「無機質なボーカル」として使ってきたように思う。しかし「アイドル」以降は一味違うようだ。彼女のもつ器用さと現代の若者を代表するかのようなフレキシブルな佇まいを全面に活かし、「1人でんぱ組.inc」と言いたい声のバリエーションを披露している。「UNDEAD」のikuraの声を無理矢理でんぱ組に当てはめるとこんな感じだろうか。


ストレートで真面目な声→りさちー
「死んじゃいない お前とお前の連鎖」のメインパートはりさちーですかね。全体の安定感を担う役割です。

可愛いけど安定感ある声→ぴんきー
ラストの「ひっとのあるとこっろー」「ざーんねんっ!」のシャウトは非常に印象的で、でんぱ組でいうとピンキーのようなワンポイントアクセント。「アンデッドっドッド」のようなハネ系のセリフもピンちゃんみを感じる。かなり遊んでいるのに不安定な印象がない。

甘いが真面目そうな声→ねむ
所々に差し込まれているLRからのセリフ「触れられない」「触れたくもなーい」は「おつかれサマー!」のねむきゅんを思わせる。サビはねむっぽさもあるなー!(悶)ねむきゅんの真面目な所が大好きです。


元気な声→えいたそ

「閑話休題ピースピース!」の所はでんぱ組!って感じ。ラストも「ぴーすぴ"い"す"!!」でしつこさ倍増。えいたその声でも聞いてみたいなという願望含む。これは「シュガーソングとビターステップ」終止ですね(言いたかった)。


無機質な声→もが
もがちゃんにラップのイメージは別にないが、「要は刺激が欲しいんだ」のウィスパーなセリフ感もこの曲に含まれていることは特筆したい。サビ前のとこもウィスパー歌唱だなぁ。


残念ながらみりんちゃん要素だけは見つけることができなかった。彼女の声はリーダー感(?)がある。



「アイドル」以降が真価

個人的にはYOASOBIにとって「アイドル」は前哨戦であり、この「UNDEAD」からはじまる新たなYOASOBIこそが楽しみである。「アイドル」でもikuraは多様な歌い方を披露したが、「アイドル」は「誰目線で歌っているのか」の境界があえて曖昧にされているように感じる

「君は完璧で究極のアイドル」と「私はそう欲張りなアイドル」に歌い方の差は感じられない。「天才的なアイドル様」の部分でikuraは「アイドルらしい振付」をするものの、この辺りはまだ「第三者目線でアイドルを歌う」曲のはずである。

一方でこの「UNDEAD」は、ikuraの引き出しの多さに完全にayaseが身を任せたように思えて、未来が楽しみになる一曲だった。
今となっては、交互に聞くと「夜を駆ける」のミニマムさにビックリするよ。

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