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100年後のための仕事|おめざブログ

以前、森林の管理を専門にしている会社の人とお話しする機会があった。その人は「今している仕事は、自分が生きている間には成果が出ないんですよ」と言っていた。

その会社は岡山県の西粟倉村という小さな村の、「百年の森構想」に関わっている。50年前、子どもや孫の世代のために苗木が植えられて生まれた森。その森をさらに50年後、自然と共生するいい森となっているように今生きる私たちがバトンをつないでいくという構想だ。

木がちょうど良い「商品」になるのは、杉35年、檜40年と言われているらしい。植えたときには、すぐには自分の役には立たないもの。けれど、この木が大きくなったとき自分たちを助けてくれるという考えには、「自然時間」と呼べるようなものが流れていると思う。現代社会で働くときには、1週間や1ヶ月、1年単位の成果が求められる。もっと言うと1日、1時間単位での成果もある。通信速度が上がった分、パソコンで効率がよくなった分、映画を早送りするように、一つひとつのシーンが素早くなっている。そんな「人工時間」とちがって、「自然時間」は人間の手で早送りすることができない。

新型コロナウィルスで緊急事態宣言が発令され、来月の20日まで延長する案が浮上している。いつかコロナ以前の日常に戻れるだろうという期待は、終わりの見えないトンネルをくぐり続けるなかでいつの間にか消えてしまったような気がする。なんとなくだけど、いま日本中の多くの人は目の前のことしか考えられない状態じゃないかな。確かに、目の前のことを黙々とこなして耐えるしか今は方法はないんだろう。けれど、100年後には結構な確率で社会、もっと大きく言うと文明は残っているだろうし、その時代のことに思いを馳せることもできるんじゃないかなとも思っている。

月曜日の朝が始まりました。人間は本来、「自然時間」で生きる生き物じゃないかな。


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