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「イゾラド」という存在|おめざブログ

「イゾラド」とは、アマゾンの密林に住む、文明社会と接触したことのない先住民族を指す言葉だ。何年か前に見たNHKスペシャルで初めてその言葉を知った。

番組では、「アウラ」と呼ばれるひとりの男を取り上げていた。彼は30年前に森の中から姿を現したイゾラドだ。その時には彼の兄「アウレ」もいたが、番組のなかでは既に故人だった。アウラとアウレは、誰にも理解できない言葉でお互い語り合った。のちに兄が死んだあとも、アウラはその言葉だけを語り続けた。もちろん、その言語を分析する取り組みも行われていた。しかし、言語学者が30年かけても、彼が語る言葉を全て理解することは未だできなかった。彼らはどこから来て、どのような部族にいたのか、詳しいことは何もわかっていなかった。

地球はもうすでに人類によって知り尽くされていると、勝手に思っていた。南極の氷の下や、深海、深い洞窟などを除いて。大航海時代とはちがって、人が住めるような場所は全て文明の手で手垢のつくまで調べ尽くされているだろうと考えていた。けれど、未だに出会ったことのない人類がいたのだ。文明の及ばない深い森の中で。彼らだけにしかわからない言葉でその日のご飯を話し合って。

土曜日の朝が始まりました。人類にはまだ知らない人類がいる。そして理解できないことは可能性でもあると思う。

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