「評価の適正さ」が4.3へ!シリーズAスタートアップが実際に運用する評価制度を紹介
この記事ではシリーズAのスタートアップで実際に運用する「評価制度」について紹介します。
今回の記事では許可をいただけた社内メンバーの実際の評価フィードバックの内容を紹介しながら、どのように評価を実施し、運用しているのかを紹介いたします。
前提
シリーズAのフェーズで運用
開始時約20名、現在約40名
運用期間、約1年
評価制度の目的
シリーズA前後では会社によってはあえて「評価制度を入れない」という意思決定をしている会社もあるかと思います。
Acompanyが評価制度を導入している理由は
と考えているためです。
Acompanyが評価制度を通じて実現していることは以下です。
メンバーと、マネージャーや経営陣との認識をすり合わせる
メンバーがどのように業務に取り組めば評価されていくかの期待値をクリアにする
会社が重要だと考えることを再認識してもらう
逆に下記の事項については時期尚早であると考えて制度化していません。
詳細なグレード設計
定量的な評価による昇給、昇進の設計
Acompanyの評価制度「評価FB制度」
Acompanyでは「評価FB(フィードバック)制度」として、評価制度を運用しています。
「評価FB制度」では
MG(マネージャー)総合評価
VG(Value/Guardrail)評価
の2軸で評価を実施します。
1. MG総合評価
「MG総合評価」は、マネージャー(以下、MG)がメンバーの業務について総合的に判断して最終的に点数を付与するものです。評価対象者がMG以上の場合は、担当役員による総合評価として点数を付与されます。
主に、
成果
業務の取り組み方
担当業務以外での影響度
などを加味して1~5点の点数を付与します。
点数のもつ意味合いとしては以下の基準となっています。
また、「MG総合評価」では定性的なフィードバックも行います。
フィードバックの観点としては以下の4つです。
今期の成果について
良かった点
改善点
Greatな成果を出すために持てると良い点
実際の評価FB例(項目ごとに別の人の内容です)
2. VG評価
「VG評価」は、Acompanyの掲げるValueとGuardrail(行動指針)について項目別に点数を付与し、総合点を算出します。
Acompanyのバリューは「Be Cool」「Be Hacker」を参照しています。
行動指針であるGuardrailは、下記の10項目から構成されています。
評価に使用する具体的な項目は以下のようになっています。
これらの項目について1~5点の点数を付与します。そして、「VG評価」では少し特殊な点数集計をしており、
という形で「VG評価」の値を決定します。
この算出方法は「バリュー>ガードレール」と考えての設計です。
バリューは共通で持つべき価値基準であり、全項目で高い値であることを求めています。なので、最小値を採用。ガードレールは業務シーンに応じて重視する項目が変わるので平均値を参照値として採用しています。
なので、先程の添付画像だと「Value」項目の最小値が5で、「Guardrail」項目の平均値が4.7であるため、小さい方の4.7が「VG評価」の値となります。
「評価FB制度」の運用方法
実施の流れ
「評価FB制度」は以下の流れで実施しています。
マネージャーが担当チームメンバーの「評価FB」のベースを作成
担当役員に確認&FBを受けて、必要があれば修正
代表(高橋)に確認を依頼、必要があれば修正
「評価FB」の承認が代表から得られたらマネージャーからメンバーに1on1で共有
代表が全員分を承認することで、マネージャー毎の評価の基準を揃えるようにしています。
(「あのマネージャーは評価が甘いから羨ましい」みたいなことの防止)
実施タイミング
AcompanyではOKRを運用しています。1ヶ月の次期OKRの準備・設定期間を置いており、1ヶ月+3ヶ月の4ヶ月がワンサイクルです。
下記ツイートでこのような運用となった背景を紹介しています。
そのため、「評価FB制度」は4ヶ月に一度実施しています。今後、四半期サイクルに調整する可能性は多分にありますが、現時点では年3回の運用です。
「評価FB制度」で大事にしているポイント
「評価FB制度」は4ヶ月に一度と、決して頻度が高いものではないです。
なので、その分しっかりと有効に活用できるような機会とすることを意識しています。
今回はそのために大事にしている2つのポイントを取り上げます。
1. あえて、定性評価を重視する
以前、評価FBの公平性や仕組み化の度合いを強く意識して定量的な評価スタイルを試したことがあります。結果は、全くと言っていいほどワークしませんでした。
OKRの達成度合いをベースに定量評価を実施しましたが、そもそもOKR自体の設定難易度にムラがあったり、数ヶ月で状況が大きく変化し、形骸化したOKR設定になる、といった事案が頻出しました。
それらの反省も踏まえて、あえて「定性評価」を重視する現在の「評価FB制度」の運用に変更しました。「定性評価」であるが、評価の内容に納得感をもってもらえるための設計をかなり意識しました。
結果、評価への納得感をしっかりと持ってもらえれば、評価形態が「定性基準」なのか、「定量基準」なのかはそこまで重要ではないと気が付きました。
むしろ、納得感がない「定量基準」は柔軟性も失ってしまい、少なくとも今のフェーズのAcompanyには合わないという結論となりました。
2. 「いい点」も「改善点」も明確に伝える
2つ目のポイントは、いい部分は「明確に褒める」。改善すべき部分は「明確にフィードバックする」ことを意識しています。
Acompanyという組織は、円滑に業務ができるように「攻撃的な人」や「邪悪な人」などを許容しないと公言しています。なので、本当に優しい人が多いです。
ですが、組織としての共通目標は「会社の成長」です。そのため、「個々人の成長も強く求める組織」です。
「評価FB制度」を通じて、それぞれのメンバーが強みを再認識し、成長に必要なポイントを把握できる機会になるように努めています。
「明確に褒める」の例
「明確にフィードバックする」の例
評価制度の運用効果
結論から言えば、ポジティブな効果があったと感じています。
Acompanyでは毎月社内アンケートを実施しています。
その項目の中に「人事評価の適正さ」という項目が存在します。この値が「評価FB制度」導入以前は他の項目と比べると、低めな値となっていました。
しかし、「評価FB」導入後は大きく改善されました。23年の1月から今年の1月までの月次アンケートの結果をまとめています。特に2度目の「評価FB」実施以降で大幅に数値が改善されました。
数値の変動的にも「評価FB」直後は上昇傾向にあり、ポジティブな影響が見受けられます。
アンケート内で、はじめて「評価FB」を受けたメンバーからはポジティブなコメントもいただきました。
おわりに
評価制度は、その会社がメンバーに対して「何を求めるのか」を明らかにするものです。それ故に、正解がありません。
今回の記事を通じて一事例として参考になれば幸いです。
また、実は社内でもここまで丁寧に「評価FB制度」がどのようなものかを解説するドキュメントは存在していません。
そのため、もう一つの狙いとして新しくAcompanyにジョインした人にもどのように評価制度が運用されているか伝わるといいなと思いつつ記事にしました。
もし紹介した「評価FB制度」のNotionテンプレが欲しいという方は、XでDMいただければ共有いたしますので、お気軽に連絡ください!
最後に、「評価FB」の内容について公開許可をくれたメンバーのおかげで、とても具体的かつ、リアリティのある内容にできました。本当にありがとうございます!
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