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【前編】ユーザーインタビューを実施してみた

こんにちは!りょっちです。

私は現在、OPTIMINDという名古屋のスタートアップ企業にUXUIデザイナーとして携わっています。

弊社は35名ほどのスタートアップで、UXリサーチを実施し始めたのも最近です。そのため、専任のUXリサーチャーはおらず、UXUIデザイナーの私が掛け持ちで、UXリサーチを行うような体制からスタートしています。

UXリサーチはまだまだ日本では軽視されがちなとこもあり、UXリサーチに関する事例紹介の記事はまだまだ少ないと感じています。

実際に、弊社でもリサーチ実施しようと思った時に参考になる情報が少なく、外部のUXリサーチャーの方からアドバイスをいただきながら、試行錯誤を重ねた上で、リサーチの流れを作ってきました。そのため、これからリサーチを会社に導入したい人や、実際やっているけどイマイチこれでいいのか不安なんて人にとって少しでも参考になればと思い、今回は弊社(toBのスタートアップ企業/小規模な組織/専属リサーチャー不在)でのUXリサーチの取り組み事例を、一般的なリサーチプラン(計画・準備・実査・分析)に沿って紹介できたらなと思っています!

1. 計画:目的と目的達成状態を定義する

まず初めに弊社では、主にPMからプロダクト開発において知りたいことがあるよと依頼が来ます。

PMに知見がある場合は、計画までしてもらえることもあるかもですが、UXリサーチャーとしての役割は、PMからの要望を聞き、ディスカッションをしながら目的を設定していくところから始まると思います。

今回は新機能リリースに合わせてのリサーチ依頼でした。
弊社サービスはざっくりいうと、物流の配送業務を行う際のルートを計算し、最適な配車計画を手軽に作るためのサービスです。

ドライバーの数や配送先の場所、配送の時間指定などの条件を入れて計算すると、勝手にルートが出来上がる便利なサービスなのですが、

💭「あのお客さんは時間指定ギリギリだと実際は困るからできれば早めに届けたいんだよなぁ」

といった、入力情報として含めることのできなかった情報は、計画から抜け落ちてしまいます。

そこで、上記のような細かな気遣いを反映するための機能が、今回リリースした「手直し機能」です。これによって、計画を立てた後でも、細かな修正を自らの手で行うことができるため、計画のクオリティを高める非常に汎用性が高い機能な反面、ユーザーの手で自由度の高い操作を行うため、使いやすさが重要なポイントとなっていました。

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リリースまでの間もテストケースを用いてUT(ユーザービリティテスト)を複数回実施したりはしたのですが、実際の利用にフィットするかは正直不安が残っていました。そのため、リリース後にも本機能のウォッチ・改善を続けることは決まっており、その一環としてUXリサーチを実施したいと要望が出たという経緯があります。


さて、話を戻して、今回のリサーチ目的については、やはり「新機能を出したはいいものの、これは使いやすいのか?」が気になるところで、議論の内容は割愛しますが、[使いやすさ = ①やりたいことが直感的にできること+②ユーザーの利用シーンにフィットしている]と分解した上で、②をメインに据え、

実際のユーザー利用と、開発側の利用想定とのズレを発見すること

という目的を設定することで合意しました。

目標設定において、抽象的ですが依頼者(今回であればPM)の発言をそのまま反映するというより、不安なこと、目的、そう感じる要素などを整理していくところから丁寧に行うことで、リサーチ目的の精度が高まると思っております。

続いて手法の検討です。今回は、ユーザーインタビューの実施を選択しました。

その背景としては、使いやすさを分解した①( = やりたいことが直感的にできること)については、社内UTを実施していることもあり、タスクベースでの問題はある程度把握・改善している状態があったため、②( = ユーザーの利用シーンにフィットしている)にフォーカスして、新機能が配車業務中にどんな位置付けで、どんなタイミングで使用されるのか?など、実際の業務の中に手直し機能がどのように溶け込み、活用されているのかを詳しく知ることが重要であると考えたためです。

そのため、今回は①が詳しく知るためのUTではなく、②に関して掘り下げて聞けるユーザーインタビューというリサーチ手法を提案しています。リサーチ知識が無いと、「UTしませんか?」「インタビューしよう!」などと、手法が先走って目的に沿わないなんてこともあるので、当たり前のことですが、目的達成ファーストで適切な手法を決めることが重要で気をつけるポイントですね。


2. 準備

計画がざっくりできたら、次はリサーチ実施までの準備を行います。

リクルーティング

企業向けの業務アプリケーションであるため、顧客数が限られた中、必ずしも理想のユーザーにヒアリングができるわけではありません。

弊社では、ある程度のリクルーティングの要望をまとめてCSの方にお願いして、ヒアリングをお願いできそうなところに打診してもらいます。今回は、たまたま定期的な経営陣の現場訪問の機会があったため、そこに同席させてもらい、その中で時間を確保してインタビューを実施させていただくことにしました。今回は、十分なユーザー数を確保できなくても、ある程度の有用な洞察は得られると判断して、今回はリサーチの実施に踏み切っています。教科書的には「サンプル数が足りないぞ」というツッコミはありますが、想定していた形じゃなくてもできる範囲で柔軟に実施していくこともリサーチ文化の定着への第一歩として大事なことだと思います。


目的をスクリプトへ落とし込む

リクルーティングと並行して、リサーチ目的を達成するための計画をしていきます。

定性的なリサーチは、なんとなく実施できてしまうのが怖いところです。当日とりあえず思いついたこと色々聞いて、リサーチ後いざ分析しようとなった時に、

「で、なんだっけ?」

ってなることは、あるあるかなと思います。

そうならないように、計画の段階で目的達成のためのロジックをしっかり組んでおくことが非常に重要であると考えています。


弊社では、目的を達成するために、以下の2点を設定していきます。

A: 目的達成のために知りたいこと
B: 知りたいことを知るための質問

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まずはAについて。仕事全般に言えることですが、目的があるなら、それが達成された状態をまずは定義しようという話です。

今回は、「実際のユーザー利用と、開発側の利用想定とのズレを発見すること」が目的だったため、知りたいことには、以下の3つを設定しました。

1. 手直し機能で解決している課題を知りたい
2. 手直し機能をどのような流れで使うかが知りたい
3. 手直し機能の使いにくい部分はどこかが知りたい

上記に設定した理由はそれぞれ背景がありつつ、細かい話になるので今回は割愛させていただきますが、"目的を達成するために知りたいこと"は、当然正解があるものではなく、要素分解しながら筋良く設定していくものであると考えています。


続いてBについては、Aで設定した"目的を達成するために知りたいこと"を聞き出すための質問になります。

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インタビューにおいて、明らかにしたいことを直接的に聞いてもうまく引き出せないことが多いため、ここでは発話してもらいやすいような問いを生成する必要があります。

例えばですが、知りたいことの2つ目の

手直し機能をどのような流れで使うかが知りたい

に関して、

「手直し機能をどんな流れで使うか教えてください」

とそのまま聞いても、ユーザーが思い出したことしか発話されず、語られることと語られていないことの境界が分からない上、潜在的で有用な情報はあまり出てきません。

そこで、

「直近手直し機能を使ったのはいつですか?その時のことをお聞きしてもいいですか?」

などと、具体的な事例を聞くことで、ユーザーに事実を思い出させ、より詳細に発話を引き出すことができます。

ここら辺のテクニックは書籍などにも書いてあるかと思うため、このくらいにしますが、どんな問いを設定するかによって引き出せる情報量が変わってくるのはとても面白いですね。(同時に難しさでもありますが)


スクリプトの準備&デモの実施

質問項目がある程度整理できてきたら、スクリプトを作成します。

会話の流れや、細かなニュアンスで発話の質が変わってきたりするため、流れを先に想定・設定しておくと、実査の段階でとても楽チンです。

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今回は少し時間の余裕があったため、外部のUXリサーチャーの方にお願いして、インタビューの練習をさせていただきました。

意外とやってみると「この質問なんか聞きたいこと引き出せないな...」や「この質問にこういう返しが来る可能性があるのか...」といった部分に気づけます。

ちょっと面倒ですが、ぶっちゃけ30分くらいでできちゃうのに、当日のクオリティにかなりの差が出てくるので、練度が低い場合はぜひやることをオススメします。


最後に

ここまでお読みいただいてありがとうございます!

今回は前編という事で、ユーザーインタビューの計画と準備について、紹介させていただきました!

リサーチはしっかりとした計画と綿密な準備で成果が左右されるといても過言ではないと思っているので、リサーチの際は、いきなり始めるのではなく、しっかり整理をしながら計画・準備をしていくと良いかと思います!

後編では、いよいよ当日の実査についてと、その結果の分析をどのように行ったのかを紹介していきたいと思います!

お楽しみに!


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