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ローリング・ストーンズ 1STアルバム②

The Rolling Stones 1stアルバムのレビューいきます。
前回は、総括で書きましたが、今回のは、個別の曲ごとのレヴューです(下がその①で総括的な記事です)。

こっちが、正味、ファーストのレビューになりますかね。

基本的にはこのアルバムから数枚はカバー中心ですが、このころの彼らのバンドのコンセプトであった「R&Rやブルース、R&Bを自分たちで演奏したい」というエネルギーがアルバム全体を支配していると思います。

<デヴュー60周年を超えて活動を続けるストーンズの原点>
とりあえず曲リストですが、UK版だと以下の感じですかね。

『ザ・ローリング・ストーンズ』 - The Rolling Stones (Decca LK-4605)
1964年4月16日 UK

SIDE A
1.Route 66 (Bobby Troup) 2:20
2.I Just Want to Make Love to You (Willie Dixon) 2:17
3.Honest I Do (Jimmy Reed) 2:09
4.Mona (I Need You Baby) (Ellas McDaniel) 3:33
5.Now I've Got a Witness (Nanker Phelge) 2:29
6.Little by Little (Nanker Phelge/Phil Spector) 2:39

SIDE B
7.I'm a King Bee (James Moore) 2:35
8.Carol (Chuck Berry) 2:33
9.Tell Me (Mick Jagger/Keith Richard) 3:48
10.Can I Get a Witness (BrianHolland/Lamont Dozier/Eddie Holland) 2:55
11.You Can Make It If You Try (Ted Jarrett) 2:01
12.Walking The Dog (Rufus Thomas) 3:10

日本語での曲名は以下のような感じです。
ルート66 -
恋をしようよ -
オネスト・アイ・ドゥ -
モナ -
ナウ・アイヴ・ゴット・ア・ウィットネス -
リトル・バイ・リトル -

キング・ビー -
かわいいキャロル -
テル・ミー -
キャン・アイ・ゲット・ウィットネス -
ユー・キャン・メイク・イット・イフ・ユー・トライ -
ウォーキング・ザ・ドッグ -

UK盤はノンタイトルのジャケットになっていて、それがまたかっこいい。
当時、これを採用するのは、ちょっと勇気がいったことかと(笑)。
まぁ、デッカと入っているので、それだけでも、ひどいものではないと言うことは、当時のリスナーには伝わったのかもしれませんが、それでも常識的なやり方ではなかっとは思います。

US版は、タイトルが「England's Newest Hit Makers」となっており、一曲目が「ノット・フェイド・アウェイ - Not Fade Away」になっており、曲順も少し違っていますが、長くなるので、UK版基準で書きます(同時Monaがリストから外れいるところが違っている感じです)。

デヴューシングルとEP(ファーストの前にこのEPがある)に続いて発売されたのが、このファーストアルバムになるわけですが、まず、重要なことは、今の価値観でこのアルバムを聞いてしまうと、ストーンズのデヴュー当事の位置づけがわかりにくくなるということでしょうか。

もちろん、このアルバムを聞いて、のっけから「かっこいい」と思う人もいることでしょうけど、まったくよさが理解できないというストーンズファンもいることと思います。

その差は、聞き手の趣向である場合もありますが、時代性や、聴き所が掴めなくてそうなっている可能性もあります。

そこをある程度補完する意味合いも込めて書いて見るつもりです。

デヴューアルバムには、そのバンドやシンガーの原点が示されていることが多いといわれますが、まさしくストーンズもそのれいにもれません。

ただ、ストーンズの場合、この時点では、作曲能力という点に関してはその限りではないといえ、このアルバムに関してはソングラィティングに比重をおいて聞くことは難しいです。そもそもオリジナル曲が3曲しかないので。

オリジナル曲の観点でローリングストーンズを聞くには、この後、数枚のアルバムとシングル曲までまたないといけないというのが客観的なところかと思います(とはいうものの、テル・ミーはジャガーリチャーズ作品ですし、決して駄曲などではありませんが)。

ただ、そのカバーの選曲とアレンジ、卓越した演奏能力にその真髄が見えるといえるかと思います。メンバーの演奏も彼らの当事の年齢や背景、環境を考えると当事の最先端であったことも間違いないといえるかと思います(同時に、今となってはわかりにくいですが、当時の最新曲を取り上げていたりとかもしてますし)。

メンバー個々のテクニックは60年代中盤以降から登場するミュージシャン達と比べると特別と派手なテクニックなどはありませんが、充分うまいですし、同時にバンドしてのサウンドへのこだわりが明確にあり、音楽的には上手い部分がふんだんに詰まっているかなと。

特に、その後の彼らの只ならぬキャリアの原点やそのルーツを見るためには、その選曲の部分に着目して聞くのはありだと思います。

ちなみに、過去に何かで読んだ記憶があるんですが、ファーストに収録された曲たちは、その時点でのライブレパートリーとして練れた曲を中心に行ったようで、そう言うこともあり、全体的に勢いがあるガレージバンドぽいサウンドで勢いがあり熱量が高いのが特徴ですかね。

その後、正式に発売された彼らによっての初の録音音源であったIBCデモ(グリン・ジョンズが録音したやつ)の音源は、もう少しレコーディングを意識したサウンドですが、このファーストはかなり意識的にライブサウンドを狙って録音している気がしますね。(ファーストより先に発売されたEPの方は、ファーストに近いですが)

そして、特に注目すべきは、リズム、基本ビートの多様さにあるような気がします。そこは意図したのか選曲の結果なのかわはわかりませんが、エイトビート中心ではないところにあります。

大幅な成長曲線を残しつつも、反面、バンドサウンドとしては完成している面もあり、この頃からバンドとしては特別であったのがわかります。

レコーディングはリージェントスタジオで一で行われています。基本は一発録りでしょうが、一部、オーバーダビングもしているように思います。
1964年1月2日から3日、1月29日、2月4日、2月25日の5日間にて行われたそうです。

このスタジオ、いいスタジオだなと思います。全体的に若干歪んだ音なんですが、この時代の音で、ストーンズのファーストにはぴったりの音だなと思います。

ちなみに、今回は、原曲も併せて貼っておきます。

私が若い頃は、原曲を集めるのに、苦労しましたが、今は、こうしてYouTubeで全部あるのですごいですね(まだ、ローリングストーンクラシック①みたいなシリーズも出てなかったので、そのまま買うしかなかったので)

1.ルート66 - Route 66 (Bobby Troup) 2:20
チャーリーのフィルで始まるイギリス版の一曲目、ワイルドでガレージバンド的なサウンドを持ったこの曲を冒頭にもってきているのはまったくをもって素晴らしいと思います。

彼らが参考にしたチャックベリーのカバーと比べても個性もしっかりでた名演奏と言えるんじゃないかと思います。

ツインギターの優位性や、分厚いリズムに乗っかって疾走するサウンドが最高にかっこいいですね。この疾走感とリズムの厚さ(太さ)のバランスも素晴らしいです。

冒頭はチャーリーのフィルインから始まりますが、イントロのフィルが、タカタカタカタカではなく、ツッタカタッタで始まるところがミソですね。それがそのままキースのリフ的なツッタタタタタタタと連動してます。
というかいわゆるリズムのコール&レスポンスを行っているという解釈もなりたちます。

キースのギターはこの段階ですでにサス4を用いたリフを展開しています
(後年のキース独自のサス4とはやや意味合いは違いますが)。また、チャック・ベリー・スタイルをもろ踏襲しつつも、キーススタイルと言える畳み掛けるようなソロも秀逸で、聴き所ですね。

ミックのヴォーカルも声は若いものの、野性味とダイナミックさを併せ持ったもので、パワフルかつ黒さ全開ですしね。

ロカビリー的なベース演奏を得意とするビルのベースもすばらしい。
彼は、他のメンバーほど、ブラックミュージック好きであった訳ではないですが、50年代のロックンロールに精通していることが、この時点で、わかりますよね。

ブライアンのバッキングもよく聴くと決して一辺倒ではなくつぼを押さえたグルーブ感あふれるもので、これぞ彼らが当時追及していたことの成果なんだろうと思います。

チャーリーのドラミングもとにかくバンドとして勢いがありつつも唯一無二のグルーブがすでに発揮されていると思います。

誰かが突出しているわけではないかもしれませんが、メンバーが集まったときに出る音 それこそバンドであることの証を彼らほどまざまざと見せ付けるバンドは他にいないと思わせてくれます。

バンドは足し算でなく、掛け算が理想だということを証明してくれるバンドだと思います。

また、リズムがただのロックではなく、彼ららしいスィング感を持っているところも感じて欲しいところ(演奏スタイルとしてはエイトビートではありますが、スゥイングしてます。ここのミソはチャーリーのシンバルワークになる気がします)。

この曲で有名なのはナット・キング・コールのバージョンですが、ここでは彼らのアイドルであったチャック・ベリーのバージョンを下敷きにしてると思いますので、そちらを貼っておきます。

これまた、素晴らしい演奏です。ほんと、かっこいい。リズムが良いですね。それとチャックのリズムギターがほんといいし、ソロがまたらしくて大好きですね。後はやはりジョニー・ジョンソンによるものと思われるピアノがほんとに素晴らしい。


1."Not Fade Away" (Buddy Holly, Norman Petty)
こちらはUS版の一曲目。
貼るところがないので、ここに持ってきました。

既にイントロマスター!このイントロはほんとにかっこいいですね。
そして、既に、ミクスチャーしている。
バディー・ホリーのあの原曲に、ディドリービートを持ってくるアイディアが素晴らし過ぎる。そして、その上、ブライアンのブルースハープが効きまくりですし、ミックによるものと思われるマラカスも、効いてます。


この曲はリズムのグルーブが素晴らしいですよね。
うちでも取り上げましたが、残念ながら、到底リズムがここには届きませんでした。


こちらが原曲。これを先のアレンジにするのは流石ですね。もちろん、バディー・ホリーのもいいんですけどね。白人曲のカバーというところが珍しいですよね。

この曲は当時のライブの映像もあるので、それも貼っておきます。



2.I Just Want to Make Love to You (Willie Dixon) 2:17

原曲はマディー・ウォーターズで、原曲はミディアムの曲ですが、これを若さを前面に出したようなハイテンポな2ビートなリズムにアレンジにしたところがミソでしょうか。

また、キースのカッティングも秀逸。というか、このリズムの切れはなかなか出せないです。この当時にこのアグレッシブなカッティングをしていたキースは驚異的ですね。
リズム感や奏法としても独自のセンスを持っていたことがはっきりわかります。

ミックの黒く、野性味たっぷりのボーカルが最高!。

ブライアンのブルースハープもかっこいいの一言に尽きます。

キーがCになるところのキースのカッティングとビルのベース、ブライアンのブルースハープのグルーブとリズムのうねりは衝撃的ですらありますね。

この曲のこの思い切ったアレンジは一部ブルースファンからは反感を買うかもしれませんが、彼らの非凡なアレンジ能力の萌芽を見ますね。このガレージバンド的なノリと勢いはデヴューアルバムにふさわしいと思います。

ちなみに、このキースの奏法はDrフィールグッドのウィルコジョンソンにも影響を与えていることは間違いないと思います。彼の場合、キースのこの手のカッティングを極右にまで高めたものともいえるかもしれません。



こちらが、原曲。いや、まさにシカゴブルースですね。渋すぎます。

ということで、原曲は、マディーウォーターズ(曲はウィリーディクソン)ですが、聞いてもらえればお分かりに通り、原曲とはかけ離れたアレンジだと思います。ただ、これ、実は、このマディーだけを下敷きにしたのではない形跡があるんです。

63年発売のチャックベリーの「ライブ・オン・ステージ」というライブアルバムがあり、そこでチャックがこの曲を取り上げています。リリースは63年なので、ファーストの録音は64年1月なので、聞いている可能性はありありかと思います。もしかしたらですが、どちらかというと、そのバージョンの影響もあって、この感じになったのかもしれません。

これはあまり指摘されているのを見たことがないんですが、有名でない理由は、チャックのバージョンがライブバージョンだからかもしれません。

それがこちらです(この音源実際は、あとから拍手を付け足したらもので、実際はスタジオ録音らしいですが、ストーンズのメンバーが当時聞けたのは、こちらなので、これを貼っておきます)

しかし、これはこれでポップですよね。やはりチャックのセンスは面白いですね。


こちらは、この曲の当時のライブのです。

3.Honest I Do (Jimmy Reed) 2:09
ジミーリードのカバー これは比較的原曲に近い演奏ですね。ジミーリードは、ブルースと言えど、当時のチャートに顔を出すほどなので、やはり、ポップな面がありますよね。


ブルースへの憧れと愛情を感じる演奏に仕上がっていると思います。年齢を考えると渋すぎますね。

原曲の個性を大事にしつつも、独自性をしっかり出せているところが、その辺りのカバーバンドとは違っているところですかね。

ギターのフレーズは原曲からして、凄く特徴的ですよね。

ブレイク部分でのチャーリーの決めのシンバルが印象的です。

ブルースの典型的なシャッフルではない微妙なリズムになっているところがストーンズらしいですね(ただし、この曲に関して言えば、原曲も典型的なシャッフルとは少し違っていますが)。

こちらがその原曲。ジミーリードは私も大好きでした。いい曲、いい演奏がたくさんあります。マディーとかと比べたら、聞きやすい面もあるかもしれませんね。


4.I Need You Baby(Mona) (Ellas McDaniel) 3:33

これもまた、かなり秀逸なカバーですね。ある意味、本歌取りというか、この曲、原曲は、ここまでのジャングルビートではないんですが、曲の特徴、ボ・ディドリーの音楽の本質をうまく抜き出して、このアレンジでカバーしているのは、かなりのマニアであり、凄いと思いますね。

ということで、ジャングルビート(英語ではボ・ディドリービート)の取り入れ方からして、彼らがいかにリズムに関して敏感であったかがわかりますね。

こういうところが、ビートルズとの違いの部分ですね。ビートルズも黒人音楽に影響を受けてはいますが、どちらかというとコーラスワーク的なところが軸であったことを考えるとストーンズはやはりリズム面での影響が強かったことを示す好例ともいえるかもしれません(ビートルズのコーラスはどっちかというとエヴァリーブラザーズからの影響が濃いですが)。

ギターにかけたトレモロもいい味を出してますね。

こちらが原曲です。ボ・ディドリーはロニーと来日した際に、幸運にも見ることができたんですよね。チャック・ベリーも数回みましたし、今考えると貴重なライブでしたね。

5. Now I've Got a Witness (Nanker Phelge) 2:29
ストーンズでは珍しいインストですね。ストーンズのインスト曲と言えば、数曲くらいしかないと思います。

これは、メンバー全員によるオリジナル曲です。Nanker Phelge(ナンカーフェルジ)とあるのが、それです。これらはメンバー全員によるオリジナル曲の名義の曲です。ちなみにナンカーフェルジとはあっかんべーみたいなやつのことらしいです。なのでベロマークの原点と言えるかもしれませんね。


6.Little By Little (Nanker Phelge/ Phil Spector) 2:39

イントロが印象的な曲。これもメンバー共作扱い。
キースのカッティングが同じ曲のなかで、同じではなく、多様に変化していくところが良いですね。

ビルのベースのうねりもすごい。
キースのソロの背景でのミックのシャウトも印象的ですね。
チャーリーのこの曲でのドラムは、基本ビートとフィルの組み合わせがよいですね。
ブルースハープも秀逸!

side B
7. I'm a King Bee (James Moore) 2:35

LPではここからB面になります。

これをB面の一曲目に持ってきているところに意図を感じますね。普通は、この曲をB面の一曲目に持ってこないかと思います。
この後、ハウリンウルフのリトル・レッド・ルースターをシングルカットしてますが、それと同じ感覚ですよね(しかも、このシングルは全英NO1となった…笑)

昔から言われていることですが、この曲は、ブライアンのスライドギターがすばらしいですね。振幅幅が大きいスライドですし、かなりの腕前であったことがわかります。

後、アコースティックギターが利いてますね。クレジットがあるわけではありませんが、これはキースかなと思います。
ビルのベースは原曲のらしさをかなり出してますね。
チャーリーのリズムも曲を引き締めてる感じで良いですね。

後年、これを深化させたオリジナルがパラシュートウーマンといってもよいかもしれません。


こちらが原曲です。歌にかなり癖がありますがw。
しかし、ブルースも自分たちに再現が難しい典型的なシカゴ・ブルースぽいのは回避してやってるような印象も受けますが、もし、そうだとしたら選曲はかなり考えたのかもしれませんね。
この原曲のソロは面白すぎます。ストーンズのはこれをうまくとらえて拡大解釈してるところが渋いですね。



8.Carol (Chuck Berry) 2:33

この原曲はチャックベリー。 
ダンスバンド、ライブバンドとしてのよい側面を前面に押し出した演奏と言ってよいかなと。

これはもう、キースの独壇場ですね。

原曲のチャックベリーもアルバムではギターは2本ですが、ここはツインギターの強みが発揮されていて、リズムの面での厚みがあります。
忘れてはならないのは、ハンドクラップがきいているところですね。これひとつでノリが強化されてますし、これはもはや楽器としての一面を持たせてるとも言えると思います。

ビルワイマンも本領発揮ですね。

ブレイク部における「間」の取りかたも渋いですね。
チャックベリーのものと比較するとパワフルかつスピーディーになってますが、ちゃんとチャック・ベリーの本質をとらえているところがいいですね。

こちらが原曲。こっちのバージョンは、ジョニー・ジョンソンのピアノが素晴らし過ぎますね。チャックのギターはぶっ飛んだ感じがいいですね。


9. Tell Me (You're Coming Back)(Mick Jagger/ Keith Richard) 3:48

よくジャガーリチャーズのライティングコンビは「アズ・ティアーズ・ゴー・バイから」というように言われますが、ここでもすでにこのコンビで曲を書いてます。

後年ほどの完成度はありませんが、充分に良い曲だと思います。
ダイナミックレンジ広い演奏を聞かせており、演奏面でも優れている部分があるということを見落としてはいけないと思いますね。

具体的に言えば、Aメロは静かめの音量で演奏しておき、Bメロで通常の音量を上げ、サビで発作のように音が大きくなるというところなどがいいなと。

12弦ギターが効いてますね。

また、バラードでありながら、後半のキースのカッティングはデルタブルーズに通じる部分があり笑えます(バラードでガッガッガッガッとひくセンスが、、、。ダーティーワークのハド・イット・ウィズ・ユーと同じような弾き方の別奏法ですね。というか、このバラードでキース流チャックベリーバッキング奏法ですか?笑)

※この曲、ブライアンはタンバリンとなっているので、クレジットをみる限りギターはキースのオーバーダビングなのかなと思っています。

ソロ明けでのBメロでのチャーリーのキックが印象的ですね。徐々に曲を盛り上げていっている感じで、それがいいですね。

それと、サビの部分でのヴォーカルの掛け合いが独特でストーンズらしいですよね。今の技術で言えば、一人ボーカルで掛け合うようなところでしょうか。完成度はともかく、このアイディアはある意味斬新な気もします。

ちなみに日本でのストーンズの初シングルはこの曲から始まったこともあり、ストーンズのわが国での人気の始まりはこの曲からと言われている。


10. Can I Get a Witness (Brian Holland/ Lamont Dozier/ Eddie Holland) 2:55

ここからの当時で言うB面後半の3曲は怒涛の流れです。
イアン・スチュアートによるピアノが効いてますね。

この曲はチャーリーのセンスが光ってる曲ですね。歌いだし部のフィルのタッタラッタタッタラッタのところ。よく聞くと、その手前の小節のところで、キースのリズム変化に合わせての合いの手ともとれます(このフィルはここだけで多用していないところもミソですかね)。

ブレイク部のミックのシャウト気味の歌い方がかっこいいですね。

ここでもいわゆるハーモニーとしてのコーラスではなく掛け合いとしてのコーラスが印象的

サビに入る前の部分でチャーリーがキックのパターンを変えているのが渋いですね。後半部で、ミックの歌に合わせてか、チャーリーがリズムパターンを変化させています。

バンド演奏としての凄みを感じます。

原曲は、マービン・ゲイ(作曲はしてませんが)。こちらは典型的なモータウンサウンドですね。


11. You Can Make It If You Try (Ted Jarrett) 2:01

ミックのボーカルの黒さがすごい。当たり前ですが、声は若いものの年齢を超えた迫力がありますね。こういうの歌える白人ボーカリストはほんとに少ないと思います。

抑揚や持っていきかたが素晴らしく、この時点でも、ボーカリストとして才能がかなりのものであったことがわかりますよね。

普通にエレキがメロを支えていますが、その裏で、音量は控えめですがアコギがグルーブを支えていますね。これはエレキがブライアンで、アコギがキースですかね。


こちらが原曲。これはもう歌が渋すぎですわ。何もいうことはありませんw


12.Walking The Dog (Rufus Thomas) 3:10

ルーファストーマスのスワンプ(ジャンプ)ナンバー

これも選曲からして当たりですね。ダンスバンドの本領発揮ですね。

キースのギターのリズムの置き所が若いのに渋いですね。
弾き方も時々変化をつけて一本調子にならないように工夫していますし。

ミックのボーカルも声は若いものの、すでに凄みがありますね。
後半の「ジャ、ジャ、ジャ、ジャ、ジャスタ」がかっこよすぎますね。

これまたハンドクラップや口笛が効果的に使われています。
ブライアンのだみ声コーラスもかっこいいですね。

キースのソロも畳み掛けるような感じでよいですね。

この曲のギターフレーズはこの後、変化した形でラストタイムなどで花開いたともいえるかもしれません。

ビルのベースフレーズも秀逸ですし、ほんとにかっこいい。

アルバムのラストを飾るにふさわしいですね。


こちらが原曲です。
イントロのインパクトがすごいですね。
この曲は、原曲はホーンセクションがかっこいいですね。
ストーンズも、ほんとは、こういう風にしたかったんでしょうけど、この時点では、まだ、ホーンセクションは用いることができず、そこはあっさりしてますが、それが気にならないくらいの勢いがありますよね。
このルーファスのは若い頃、よく聞きました。これは好きでした。

これは少し時代を下りますが、日本のGS時代の草分け、ザ・ダイナマイツによるカバーを紹介しておきます(山口富士夫がいたバンド)。知らない人も多そうなので。興味も持ってくださった方は、YouTubeにアップされているので、観て(聞いて)みてください。

ちなみにこの曲、この後、エアロスミスのファーストのエンディングナンバー、RATTの1stエンディングナンバーとして取り上げられています。



ということで、凄く長くなってしまいました(笑)

ということで、原曲、元バージョンなども交えてはってみましたが、いかがでしょうか?

なんにせよ、これらファーストの曲を中心としたらライブを当時の彼らの演奏でみたとしたら、かなりの衝撃であったことを感じさせますね。

トータルで見たときに、ロックで多い、いわゆる定番的なエイトビート一本調子ではないところに注目してもらえれば単純なロックバンドではない彼らの曲者ぶりがわかるかもしれません。

というわけで、文章で書くと理屈ぽくなりますが、基本は乗ってダンスできるというところに尽きますかね。

ファーストなので、色々、前提のところなども書いていたら、ほんとに長くなってしまった。

まぁ、また、ストーンズのアルバムレビューは書いてみるつもりですが、次は、こんなに長くなることはないかと思います(笑)。

明日(今日)は、Stuとやったドゥービーブラザーズをアップ予定です!
そちらもよろしくです。では、コメントお待ちしております。

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