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ザ・ローリング・ストーンズ べガーズ・バンケット その② 各曲レヴュー

では、曲ごとの感想を色々書いてみます。レコーディングミュージシャンとしてのローリングストーンズという切り口に近くなるかもです。

ザ・ローリング・ストーンズ 『ベガーズ・バンケット』
THE ROLLING STONES "Beggars Banquet"

SIDE A
1.悪魔を憐れむ歌 - Sympathy for the Devil - 6:18
2.ノー・エクスペクテーションズ - No Expectations - 3:56
3.ディア・ドクター - Dear Doctor - 3:21
4.パラシュート・ウーマン - Parachute Woman - 2:20
5.ジグソー・パズル - Jigsaw Puzzle - 6:05

SIDE B
1.ストリート・ファイティング・マン - Street Fighting Man - 3:15
2.放蕩むすこ - Prodigal Son (Rev. Robert Wilkins) - 2:51
3.ストレイ・キャット・ブルース - Stray Cat Blues - 4:37
4.ファクトリー・ガール - Factory Girl - 2:08
5.地の塩 - Salt of the Earth - 4:47

SIDE A
1.悪魔を憐れむ歌 - Sympathy for the Devil - 6:18

ミックのシャウトからしてテンションが高いですね。

いわゆる「ドラム」は使ってないのに、このグルーヴ!
この曲の、スタジオ版の軸はピアノとリズムセクションかなと思います。

キースのギターソロは、彼のソロの歴史上、最高峰かもしれませんね。
ちなみにベースもキースです。

ブライアンは、ギターでは参加してません。初めのフォークバージョンではギターを弾いてましたが、最終的にはギターでは不参加のようです。

ピアノはニッキー・ホプキンスですね。
このアルバムは、アルバム全体を通して、ニッキーの活躍が目立ちますね。

サンバ・リズムのアレンジはキースのアイディアだそうです。

ストーンズにしては曲が、6分超えで珍しく長い方ですよね。

「ワン・プラス・ワン」の映像から、ストーンズ流の曲の仕上げプロセスがみてとれますね。映画は、ほんと良く分かりませんでしたが(ミックも正直に同じことを言ってましたが)、この曲が出来上がっていくプロセスが見れるのは貴重ですね。これでは短すぎてよくわかりませんが、、、。

「ライブバージョンの変遷、聞き比べの面白さ」もこの後の別記事で書きます。

2.ノー・エクスペクテーションズ - No Expectations - 3:56

ミックのボーカルが一曲目から一変して、「聞かせる系」に。
この曲は、曲が良いですよね。

この曲はオープンチューニングをつかってますが、確か、オープンEだったかな。

ブライアンの最後の輝き、そのスライドギターがほんとにいいですね。もっと頑張って長生きしてほしかったなと思いますが、、、。

この曲もいわゆるドラムなしです。チャーリーはクレバス(リズム楽器)で参加。

曲の後半の詩的で印象的なピアノもニッキー。

3.ディア・ドクター - Dear Doctor - 3:21

間違っているかもしれませんが、これ、ミックの初ファルセット唱法の導入ではないでしょうかね(タイム・イズ・オン・マイ・サイドの何かのテレビのにもありますが、あれはミックの裏声ではないし、、。)

ミックのボーカルは、ストーリーテイラー的な側面があるとたまに感じますが、このアルバムでそれが一段と明確になっている気がします。

キースのサイドボーカル(コーラスというよりサイドボーカルくらい前に出てますね)もいいですね。

少しカントリータッチの曲ですね。
これもドラムというドラムは入ってないですね。
ブルースハープはブライアン。

4.パラシュート・ウーマン - Parachute Woman - 2:20

この曲は、エレキがKeithでアコギはブライアン。
クレジット上では、そうなんですがAcoustic Guitarは二本聞こえるので、一本はキースな気がしますが、、、。
このアコギのリズムはかなりすごいですね。

バスドラは左に。これは別録りかもです。

ミックの合いの手的なシャウトがかなり本格化してきたのがわかりますね。
ハープは基本ブライアンで、エンディングの部分だけミックだそうです。

この硬質な感じのリズムはブルースをほんとにモノをしに始めたストーンズを感じますね。

5.ジグソー・パズル - Jigsaw Puzzle - 6:05

これは「いかつい」ですね。
まず、このチャーリーのドラム。ほんとにかっこいいですね。この手のリズムは、少し前から取り入れだしてましたが、ここで、一定の完成に至っているかなと感じます。

ギターは、Acoustic Guitarも、スライドもキース。
ブライアンはメロトロンをやってるそうです。

ビルのベースも珍しく、良く音を動かしてますね。それこそキースが弾きそうなベースラインですが、資料ではビルとなっています。こういうビルのベースは少し珍しいかもしれません。
これもピアノはニッキーです。

録音こだわりとしては、曲の部分でボーカルリバーブの深さを変えてる辺りですかね。

曲の終わりぬ向かっての盛り上がり方がストーンズらしいですが、こういう手法の元祖がこの曲かもしれませんね。
歌詞で自分たちのことを歌っている箇所がありますね。

SIDE B
1.ストリート・ファイティング・マン - Street Fighting Man - 3:15

これはもう言うことなき名曲ですが、この曲のリズム!
これはすごいとおもいますね。
この曲のリズムにストーンズの充実ぶりを感じてしまいます。

キースがインタヴューで言ってますが、この曲ではギターはAcoustic Guitarしかつかってません。この後数年、この曲でライブが終わるパターンが多かったですよね。

ベースはキース。

私は、このスタジオ版のチャーリーのドラムが凄く好きですね。
いわゆる8ビートではないですよね。
音数は少ないですが、リズムの置き所が何とも言えません。

先にも書きましたが、これのギターは、両方かまではわかりませんが、すくなくとも一本は、カセットデッキ(当時市販されていたやつ)を使って録音してわざとこういう音にしたということです。
※おそろらく右チャンネルの歪み気味のがそれかと思います。
工夫して、狙ってこの音を創ることにこだわっているあたりが、「録音」ということへのこだわりが、それまで以上に高まってきているのだなとということを感じますね。
こういうことに対しては、キースは結構、研究熱心な人なんですよね。

ミックが珍しくダブルヴォーカルですね。メロと歌い回し的にできる曲だし珍しくそうしたのかも。

ブライアンはギターでは参加してませんが、上物の味付けは流石ですね。SE的に、印象的なサウンドを加えているあたりがセンスの向上とレコーディング慣れを感じますね。

クレジットによるとデイブ・メイソンがバスドラで参加?しているようですね。彼の参加は、ジミー・ミラー関連でしょうね。
これもピアノはニッキーです。

2.放蕩むすこ - Prodigal Son (Rev. Robert Wilkins) - 2:51

唯一のカバー曲。原曲はロバート・ウィルキンス。
これは堂々のカバーですね。
これはギターがオープンEだったかな。

というか、この曲のキースのリズムギターはやばすぎですね。
キースのアコギのリズムギターはどれもいつもかなり凄いと思うんですが、この曲は、そのなかでも上位かなという気がしますね。

これのドラムもどんちゃん系ではなく、キックだけで鼓動の様にシンプルにやっているところが返って効果的になっているのが良いですね。ちなみにやや右にふってますね

聞き取りにくいですが、ブライアンによるブルースハープが聞こえますね。

これ、私、若い頃によくやっていましたね(このアルバムの曲は、他にもストーンズカバーバンドでやっていたのが半分くらいありますね)。

3.ストレイ・キャット・ブルース - Stray Cat Blues - 4:37

ギターはエレキ、アコギともにキースで、おまけにベースもキースです。
このアルバムでは「キースが凄く頑張っていた」というエンジニアの証言を読んだことがあるんですが、ほんとにそうですよね。

これのチャーリーのドラムもかなり印象的ですね。
少しルーズに刻んでいるシンバルとシンプルですが、かなり効果的なフィルが曲の興奮度をたかめるというか。

ミックのボーカルの凄みがなかなかですよね。やはり、ここからミックのボーカルもかなり成熟している気がしますね。

ブライアンはメロトロンで参加。

最後に静かになる部分を創って、そこから展開するあたりもアレンジ力に幅がでてきているのがわかりますよね。

後は、Endingに向かってのキースのエレキのがえぐい(左のリズム、その後、右Chにリードがかぶってきます)。
で、FOがはじまったところで、メロトロンで違う感じのフレーズをちょっとだけ加えてくるあたりがにくいですね。

4.ファクトリー・ガール - Factory Girl - 2:08

これもカントリー系の曲ですね。
ただ、このキースのアグレッシブなギターがいわゆるカントリーとはちがうんですよね。

これも、いわゆる「ドラム」は入っていずTablaをつかってますし、アコースティックなサウンドで仕上げています。

もはや、ここまでくると、立派な半アンプラグドアルバムですよね(というか、このアルバム、全曲でアコギをつかってますよね。逆に、エレキを使ってない曲はありますけど)

ミックのボーカルの幅が広がっているのが、こういう曲でもわかりますよね。明らかに歌唱力の幅が広くなってると思います。
これはほかの曲と歌い方が違っていますよね。

マンドリンはデイブ・メイソン。ブライアンは不参加です。

キースのアコギのストロークに合わせてパンを動かしてたり芸が細かい

これはスティールホイールズツアーでやってくれたときは、嬉しかった人も多かったのではないかとw

5.地の塩 - Salt of the Earth - 4:47

この曲は、名曲ですよね。
キースのボーカルが印象的ですよね。
もはやイメージ的には、双頭ボーカルに近いくらいのインパクト。
ギターはアコギもエレキによるスライドも全部キース。

この曲も、彼らの成熟度がかなりこのアルバムで高まったのがよーくわかる一曲だなと思います。

ミックのボーカルの説得力には感服です。

ストーンズ流のゴスペル昇華がすばらしいな。
ChorusはWatts Street Gospel Choirとのことですが、これは間違いなくLAで後から追加録音したんだと思いますね。

この曲は、曲の流れ、ストーリーがほんとに素晴らしいですね。
歌詞も好きですね。

曲自体、過去にはなかった大作系の曲ですね。

これのピアノもニッキーです。

これはライブではほぼやってませんが、後年、ガンズのアクセルとイジーをゲストにやったりしてましたよね。

ということで、ここまで各曲の感想です。


このアルバムの海賊版の話も面白いんですが、まぁ、きりがないのでw

彼らは、レコーディングには時間をかけますし、アイディアを出し合い、工夫し、積み上げ、自分たちなりの理想を、思っている以上に追及していると思うんです。

ストーンズが、ただのノリだけのバンドではないことが、多少なりとも証明できていればうれしいんですが(笑)私からすれば、そのノリをうまく表現するために、むしろ、時間をかけているようにも思えます。

次回は、このアルバムやこの時代、ストーンズが主に使っていた録音スタジオである「オリンピックスタジオ」について書いてみます。同時にこの時代の彼らのレコーディングエンジニアである「グリン・ジョンズ」のことも交えながら書きます。



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