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【コミュニケーション心理学】人はなぜ「逆説的な指示」をするのか

こんにちは。吉田です。
心理に関する国家資格と民間資格を持ち、学校の先生方や障害児施設のスタッフさんへコンサルテーションや研修を行ったり、自分でも直接子どもたちへの支援を行ったりしております。

さて今日は人はなぜ「逆説的な指示」をするのかというテーマでつづります。

人ってついつい、逆説的な指示をしてしまいますよね。「早くして」と指示したいときに「まだ?」と指示するみたいなやつです。

こういった逆説的な指示は、自閉症スペクトラム(ASD)の人や、その傾向にある人にはよく伝わりません。ASDの人は逆説的な指示の裏にある指示者の意図を察することが苦手だからです。

「まだ?」という言葉の裏には「もう時間だよ、早くして」という意図が潜んでいるのですが、ASDの人は「まだ?」という表に出てきている言葉を拾います。

だから「まだ?」と言われても「うん、まだ」と答えますし、答えなくてもそういう気持ちであるということが多いです。

だから、「早くしてほしいな」と思ったのであれば「早くして」と伝えたらいいのですが、我々はついつい「まだ?」と逆説的で遠回しの表現をしてしまいます。

これはなぜなのでしょうか。それは、私たちが対立を無意識のうちに避けているからに他なりません。

人や動物には逃走と闘争の本能が備わっており、自分が何かに対して「敵」判定をしたら逃げたり戦ったりする経験を私たちは積んでいます。

多くの場合、自分に対して攻撃を向けてきた人に対して私たちは「闘争本能」を掻き立てられ、イラッとしたりムカついたりするわけです。

そして、多くの人が「自分は他人に攻撃を向けられたくない」と思っていますから、自分から相手を攻撃することを無意識のうちに避けています。

自分から攻撃をふっかけたら、相手に「敵」判定されて攻撃されてしまいますからね。

だから、相手に対して攻撃の意思がないことを表現するために「早くして」という直接的な表現は避け、「まだ?」という逆説的な表現をして、相手に自分の意図を察してもらおうとするのです。

それに対して、「うん、まだだよ」って言われたら「まだだよじゃない!早くして!」と結局怒りを表現して攻撃してしまうことになってしまうのにも関わらず。

であれば最初から、「あと10分で出かけるよ。そろそろ準備して」と優しい直接的な指示で伝えてしまえば、言われた側も意図を理解しやすいし、怒りの表現もせずに済むのかなと思います。

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