見出し画像

Q.食事の時、自分で食べていると、口いっぱいに食べ物を入れてしまうことがあります。喉に詰まらないか心配です。まだ一口ずつ食べさせた方が良いでしょうか?

※全文無料で読める有料記事です

A.お子様の食事についての質問をいただきました。ありがとうございます。食事の時、自分で食べていると、口いっぱいに食べ物を入れてしまうことがあり、喉に詰まらせないか心配とのこと。

口いっぱいに食べ物を入れてしまう「ことがある」とのことなので、毎回ではないという理解であっていますかね?毎回ではないけれど、時たま口いっぱいに入れてしまうことがあるということなのでしょうか。

確かに、お子様の中には基本的に一人で上手に食べることはできるのに、時おり口いっぱいにものを入れてしまう子はいます。親御さんをはじめとしたその子に関わる大人は喉に物を詰めてしまう心配があるため目を離すことができません。

今回の質問は二つの側面から考えることができます。一つは、「物を口いっぱいに入れてしまうことがある」ということについて。もう一つは「喉に詰まってしまうことへの心配」についてです。

▼「食べたいペース」〉「咀嚼のペース」
まずは、物を口いっぱいに入れてしまうことがあることについて考えていきます。こうしたお子さんに共通することとして、「食べたいペースと咀嚼のペースが合っていない」という共通点があるように思います。

この「食べたいペース」というのは、その食べ物が好きだからどんどん食べたいというケースと、まだ適切な食べ方を知らないからどんどん口に入れてしまうというケースの二つがあるかと思います。

ケースは二つあるのですが、どちらのケースに対しても講じる手立ては同じです。その手立ては「適切な一口分の量を提供する」です。以下に方法を羅列します。

•大人がスプーンを使って食べ物を口まで運ぶ

•一口分「だけ」を本人に提供し、本人が自分で食べる。飲み込んだらまた一口分だけ提供するの繰り返し。

•一回分の食事を全て本人に提供するが、一口分だけ口に運べるように工夫(一手間)をする(ご飯は小さいおにぎり状にしてラップで包んでおく、おかずは全て一口大にし爪楊枝を指しておく、など)

•一回分の食事を全て本人に提供するが、本人が一口分を口に入れたら「もぐもぐだよ」等の声かけをしてペースをコントロールする。

以上です。主食のアイデアとしておにぎりをあげましたが、パンに関しても一口分の大きさにちぎるといった工夫はできますね。麺類は難しいかなー。

おかずに関しては、茹で野菜は手間も少なく済むのでおすすめ。あとちくわがかなり便利です。ちくわの中に野菜とチーズを入れ、爪楊枝を刺しておくと子供たちは食べやすいです。お魚はフレークにしておにぎりに、お肉は茹で野菜に巻いて肉巻きスタイルなんかが用意しやすいです。

ただ、次に書く「喉に詰まらせやすい子」の特徴に該当するような場合はもう少し工夫が必要になるかもしれませんので注意が必要です。引き続き解説していきます。

▼増えている「喉に詰まらせやすい子」
次に、喉に詰まってしまうことへの心配についてです。実は、お子様が食べ物を喉に詰まらせてしまうのには訳があって、その一つに「ゆっくり食べる」ができないというものがあります。

そのことについて私の方でも解説しますが、より正しく詳しい解説を知りたい方は以下のリンク記事を読んでみてください。☟


紹介した記事にもある通り、実は今の子供たち、もしかしたら大人もですが、「ゆっくり食べる」が難しいという子が多くなっているみたいなんです。

その背景には現代社会の特徴があります。その特徴とは、核家族化、共働き家庭の増加です。現代社会では親と子からなる一世帯家族、いわゆる核家族が基本であり、さらには両親共働きという家庭が主流です。

そうなると子育ては忙しいものとなり、一分一秒を削りたいという思いを抱えながら子育てをすることになります。親の心理として、できるだけ長く寝ていてほしいとか、できるだけ早くミルクを飲んでほしいといった要望が生まれ、企業はそういった子育てスタイルに寄り添う育児グッズを開発、販売します。

そういった過程で生まれたのが、一度に多くの量を吸うことができる哺乳瓶の乳首です。ベビーグッズ売り場には月齢ごとにおすすめの哺乳瓶の乳首が並び、月齢が上がるほど乳首の穴が大きくなります。

そうして穴の大きな乳首を使ってミルクを飲んでいる赤ちゃんは、多くのミルクをごっくんする力、つまり丸呑みする力と、食事はさっさと終わるものであるということを学んで離乳食を迎えます。

離乳食もなぜか日本ではとある月齢(大体5ヶ月〜6ヶ月)になったら離乳食を始めようみたいな風潮があります。そのため、どんな体格、どんな運動発達であっても、みんな一律にそのときが来たら離乳食を始めてしまいます。

すると、舌をはじめとした食事に必要な筋肉を上手に使えないにも関わらず、10倍がゆが口に運ばれることになります。赤ちゃんは口に入ってきたものを反射的に飲み込みますので、食事とは丸呑みすることという学びをします。

すると、少し固い離乳食を食べさせようとすると、こんなの飲みこめない!という気持ちや、食事はさっさと終わるもの!という学びから離乳食に対しての拒否が生まれます。こうして離乳食嫌いが起き、その赤ちゃんはミルクや柔らかい食べ物しか受け付けなくなります。

そうすると、赤ちゃんは「噛む」ということを学びそびれます。これは早食いと大食いにもつながります。

なぜ大食いにつながるかというと、噛むという行為が満腹中枢を刺激するためです。噛むことが苦手なので柔らかい食べ物が好き→柔らかいから噛まない→噛まないから満腹にならない→たくさん食べたいということです。

さあ、ここまで見てくると、全ての学びが喉に詰まらせる結果を招いているようにさえ見えてきます。
•食事=早く終わる
•食事方法=丸呑み
•早く終わらせたいから一度にたくさん口に入れたい
•噛むのが苦手だから飲み込みたい
•場合によっては喉に詰まる

まとめるとこんな感じです。このような状態にあるお子様の場合は、「噛む」ということに苦手さがあるため、先ほどの工夫に加えてもうひと工夫必要になってきます。

つまりはよく噛まなくても喉に詰まらない食べ物を与えるということ。あとは本人の噛む力、口の中の力を高めるトレーニングをしていくということです。

先ほど紹介した茹で野菜なんかは、一口サイズといってもよく噛まなければ喉に詰まる危険性があります。なので、噛むことが苦手なお子様の場合は野菜を細かく切り、玉子焼きに混ぜて食べてもらうといった工夫が必要になってきます。

イメージとしてはお皿に乗っている時には固形なのだけどお口に入れたらほろっと崩れるようなものがいいですね。アイデアが浮かばなければ、玉子焼きに混ぜちゃうのが一番手っ取り早いですね。あとはおにぎりが良いです。

こうした工夫と合わせて本人のお口の力を育てることも必要です。その方法の一つは飴玉を舐めることです。飴玉を舐めているときは舌でコロコロと転がすので良い舌のトレーニングになります。逆に、ストローの使いすぎは舌を上手に使えない原因にもなるようなので、なるべく控えてみるのも良いと思います。

顎の力を鍛えるためにスルメイカとか都昆布を食べたりするのもいいですね。飲み込まなさそうだったらガムを噛んでみるのも良いです。ガムを噛んでいると唾液の分泌が増え、虫歯予防にもなります。

こういった、噛むことが苦手へのアプローチもしつつ、一口分の量を与えるという工夫を無理のない範囲で行ってみていただけたらと思います。うまくいかないことがあればまた一緒に方法を考えましょう。

質問への回答は以上です。
この記事では、教育・心理・特別支援といったテーマを中心にご質問への回答をさせていただいております。
ご質問はコメント欄で募集していますのでお気軽にお寄せください。(教育•心理・特別支援以外のテーマも大歓迎です!)

最後までお読みいただきありがとうございます。
記事が気に入っていただけた場合は、記事を購入していただけたら嬉しいです。

ここから先は

0字

¥ 300

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?