ニコ•ロビンの自己肯定感の軌跡〜「被受容体験」と「役割」の重要性について〜
今回は趣向を変えて、心理学×漫画という視点で記事を書こうかと思います。
今回取り上げるのは『ONE PIECE』に登場する、ニコ•ロビンについてです。以下のサイトを参考に、彼女の名言から彼女の心理を分析してみようと思います。
https://animemanga33.com/archives/41304
これはニコ•ロビンが自分の子供の頃を回顧している発言です。子供の頃から人の顔色を見ていた、という自己認識からは彼女の中に「この世界への基本的信頼感の低さ」「この世界への絶望」が垣間見えます。
彼女は「政府」によって故郷や大切な人を失っています。この経験から、この世界に絶望するのも無理ありません。
これはニコ•ロビンが「ここにあるはず」とあたりをつけていたリオ•ポーネグリフが、なかったと知ったときの発言です。
彼女は幼い頃の経験から「この世界に絶望」しているので「生きる活力」が少ないです。そんな彼女には「目的」こそが「希望」なのです。
彼女の目的は「歴史を知ること」です。しかし、その目的でさえも「NO」と言われてしまっています。政府は自分たちに都合が悪い歴史を知られてしまうことを阻止するために、彼女に懸賞金をかけてさえいます。
小さい頃から誰かに命を狙われている彼女は、子供の頃から他人の目を気にしており、ひとたび身分がバレたらそこを立ち去ります。
そんな彼女には「心理的安全基地」は存在しません。彼女は転々と所属先を変え、たどり着いたのがバロックワークスであり、麦わら海賊団なのです。
初めのうちは麦わら海賊団は「単なる隠れ蓑」だったのですが、一味と過ごしていくうちに彼女の心境は変化していきます。
〈信じてくれる仲間〉これが麦わら海賊団ですね。
かつてはバロックワークスという極悪集団にいた彼女ですが、麦わら海賊団はそんな背景は気にも留めず、彼女を仲間として受け容れています。
ルフィが彼女を船に乗ることを許した理由は
です。"略歴"ではなく"人格"で人を見るルフィはやはり船長の器なんでしょうね。そんなルフィに感化されて、麦わら海賊団全体が、"人を見る正しい目"を持つようになっていくところも面白いところです。
麦わら海賊団はロビンの過去を知り、なぜロビンが自分たちから離れようとするのかを理解しました。
「政府」に命を狙われているロビンが麦わら海賊団に身を置くことで、みんなの命が危ぶまれるかもしれない。みんなの命を守るために、ロビンは船を降りようとしているのです。
本当は、一緒に旅を続けたいにも関わらず。
全てを察した麦わら海賊団がすることは二つ。一つは、ロビンを取り戻すこと、もう一つは「政府」に宣戦布告すること。
政府の人間(スパンダム)がこういうのに対してルフィは
と言い放ちます。更に、
と続けます。
これを聞いてロビンは「生きたい」と言うのです。
極め付けはルフィの
です。これを聞いてロビンは涙を浮かべて微笑みます。
やっと、安心できる「帰る場所」が見つかったのです。故郷を失ってから得ることがなかった「安全基地」を彼女はやっと手にしたのです。
それからのロビンは人が変わったよう。冗談を言ったり、「スカし」をしたりします。これは彼女の心が解放された証拠です。
麦わら海賊団に所属している彼女には「考古学者」という役割があり、その明晰な頭脳と豊かな知識と経験はこの船に必要不可欠なものとなっています。
今のロビンはかつての「自己肯定感が極めて低い」状態を脱し、仲間たちと一緒に冒険を楽しみ、「歴史を知る」という目的を達成しようとしています。このことから彼女の自己肯定感は高い状態にあると言って良いでしょう。
どん底の彼女を救ったのは他人から受け容れてもらっているという「被受容体験」と、船の中で得た「役割」であったと言えます。
自己肯定感の醸成には、こうしたことがやはり大切なんですね。いやー、ルフィってすげーや。
ニコ•ロビンについてまとめるはずが、ルフィという人間の大きさに気づかされたまなびでした。
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