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独学開始からこれまでの迷走っぷりをふりかえる

今回は体験談です。

私は独学を始めてからいろいろ迷走して、今は篆書をやっています。

迷走の中味を振り返ってみました。


独学開始からこれまでの流れ

次のような流れがありました。

独学開始
     ↓
「楷書をやろう!」
     ↓
×直筆・側筆でモヤる
     ↓
「隷書に変更!」
     ↓
基礎練習の後、
ネットのテキスト(※1)を使って
呉熙載書『文語横披』を臨書
     ↓
×太細が真似できない
     ↓
「手本を変えてみよう!」
     ↓
法帖を使って
『曹全碑』を臨書
     ↓
×線がヒョロヒョロ
     ↓
「篆書をやってみよう!」
     ↓
基礎練習の後、
ネットのテキスト(※1)を使って
『泰山刻石』を臨書 【←今ここ】

※1「ネットのテキスト」とは
以前ご紹介したこちらです。

直筆(中鋒、正鋒)か、側筆(側鋒、偏鋒)か?

最初はオーソドックスに楷書をやるつもりでしたが、直筆・側筆でつまずいてしまいました。

以前の記事で少しふれましたが、私は漢字の「一」を書く時に穂先が線の中央を通るのが当たり前だと思っていました。

なので、楷書のテキストに載っている書き方(入筆の角度のまま穂先が線の上側を通るように筆を進める)を見て驚いたんです。

子供の頃に習字教室で習ったことは間違いだったのか?
それとも私が間違って覚えてしまったのか?

調べると、会派によって書き方に違いがあり、どちらの書き方も存在することがわかりました。

通っていた習字教室がどこの会派だったのか、今となっては不明ですが、とりあえず間違って覚えていたわけではなさそうで安心しました。

では今後どうするか?

今まで通り中鋒で書いて行った方がいいだろうと、そちら派の動画チャンネルなどを観ると、
「中鋒であれば力強い線が書ける」
と説明があり、なるほどと思います。

一方、例えば『九成宮醴泉銘』を《中鋒で》臨書している動画のコメント欄を見ると、
「この書き方は間違い」
「側筆で書かないとダメ」
と(なぜか高圧的に)書き込まれています。

どうやら古典によって筆法が異なるようで、
楷書をやるなら側筆もマスターしないといけないようです。

また、中鋒について調べていたら、私がこれまでやっていた書き方は「正しい中鋒ではない」との見解(※2)を目にしてしまいました。(ガーン!)

問題山積みです。

やる気が薄れてきたので、一旦楷書から離れることにしました。

前から書きたいと思っていた隷書に路線変更です。

書体をさかのぼる分には、たぶん問題ないでしょう。
「隷書をやると他の書体も上手くなる」との説もどこかで見ましたし。

※2
ざっくり説明すると、私の書き方は「45°で入筆→鋒先の向きを変えて送筆」ですが、正しくは「45°で入筆→穂を立てる→入筆した時とは違う穂の面を使って送筆」だそうです。

蔵鋒と中鋒を身につけたい

ようやく初めての臨書に漕ぎ着けました。

お手本はこちら。

呉熙載書『文語横披』


……上手く書けません。

太細が全然真似できません。

このお手本、初心者には難しいのでは? と、早々にギブアップ。

お手本変更です。

いずれやろうと思っていた『曹全碑』の方が、太細が激しくなくて書きやすそうに見えます。

法帖を購入し、臨書。

『精選拡大法帖14:曹全碑』二玄社 より


……またしても上手く書けません。

形もとれませんが、それ以前に線がヒョロヒョロで、話になりません。
筆遣いがなっていない気がします。

波磔とかを気にせず、もっとしっかりした線を引けるようになるには……

篆書をやるのはどうだろう?

というわけで、篆書に至りました。

篆書の臨書の難しさ

隷書での経験を踏まえて、筆文字ではなく石碑の古典を臨書することにしました。

『泰山刻石』です。

お手本として主に使っているのは、拓本を見やすく加工したこちらのもの。

『泰山刻石』

入筆収筆部分が「∩」←こんな形になかなかなってくれず、くじけそうです。
(蔵鋒わからーん!!)

篆書の場合は筆文字の古典からやった方がよかったのかな? との迷いも出てきました。

しかし仕上げた臨書がまだ1枚もないのはさすがに情けない。

今書いている「皇帝臨立」の4文字はなんとか仕上げる所存です。


以上、振り返りでした。

もともと隷書には興味がありましたが、まさか篆書を書くことになるとは。

今回初めて篆書にふれていますが、字形がカッコいいと思います。

そういう意味ではテンション上がるんですが、なにせ書くのが難しい。

水平、垂直、左右相称、正面向き、太さ均一、“折れ”じゃなくて“曲げ”。

蔵鋒、中鋒、あ~難しい!!

牛窪梧十氏のアドバイス(『墨のれっすん』より)

ちなみに、『墨セレクション 墨のれっすん④ 篆書・隷書編』(『墨』編集部 著)という本の中で、牛窪梧十氏が次のようなことを書かれていました。

臨書には3段階ある
(A) 基礎作業としての臨書
(B) 作品制作力を養うための臨書
(C) 作品としての臨書

(A)では完成されたスタイルの古典を学ぶ
篆書なら
・『泰山刻石』
・呉讓之(呉熙載) 『宋武帝勅』
・『大盂鼎』

隷書なら
・『乙瑛碑』
・『曹全碑』
・木簡(字形が基本的なもの)

臨書の仕方は
・半紙に4~6文字で書く
・1古典につき、学ぶべき部分を含む5部分を選ぶ
・1部分につき100枚書く
・100枚×5部分×3古典=1,500枚書く


まだ100枚書いていないので、下手で当たり前かも。頑張るぞ。

それでは。