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おすすめ書道系ブログ(理詰め嫌いじゃない人、臨書やりたい人、独学するか迷う人へ)

とても参考になるブログを見つけました。

タイトルは、
『のんびりと書道の話』

ブログ主さんは書道教室の講師をされている方で、タイトルとは裏腹に、かなりストイックな印象です。

書の学びに必要なことを理屈で教えてくれるので、とても腑に落ちます。

臨書学習に役立つ記事も豊富です。

ただ残念なことに、2018年を最後に更新が止まっており、広告が大量に表示されます。

そこで今回はリンクを貼るのはやめて、本文を引用してご紹介いたします。

興味を持たれたら、広告対策などをして、是非ブログ本編をご覧ください。
(ブログタイトルで検索すると出てきます。)


引用1(筆遣いに関する記事)

筆使いを覚えるという事は、端的に言い換えれば、

「自由自在に筆をコントロール出来るようになる」

という事に他なりません。

もっと具体的に言えば、線の太さ細さや長さ、角度、それらを自分の思ったとおりに(初心者の方で言えば、「お手本にそっくりに」)書けるようになる、という事になります。

それらを実現するためには、その為に最適な筆圧や運筆の速度があるわけで、それらを習得していくのが所謂筆使いの練習になるわけですが、その中で最も単純で基本的な動きとなるのが、

「筆圧を一定に保ったまま線を引くことが出来る」

という動きなのです。

(略)

筆圧を一定に保つ為に一番簡単な方法は、送筆の速度を一定にすることです。

それも、慣れるまではなるべくゆっくりと。

起筆でかけた筆圧のまま、一定の速度で動かせば、収筆まで一定の筆圧を保ちやすくなるからです。

いつでも一定の筆圧、速度で書いた線でなければならない、と言うのではありませんよ。

一定の筆圧、速度で書くことすら出来ないのに、筆を自由自在に動かすなんてことが出来るわけがありませんし、変化に富んだ線なんて書けるわけがないのですから。

『のんびりと書道の話』「基本って何?その2」

楷書というと、例の

「トン・スー・トン」

ですね。

(略)

この「トン・スー・トン」、問題は「スー」の部分です。

(略)

「エイヤッ!」とばかりに引っ張ってしまう人というのは、それによって線自体にも勢いを持たせたいという事なのでしょうが、実際にはそんな事をしてみたところで線に勢いなどついてくれはしません。

それどころか、筆のバネがすっぽ抜けて上滑りしただけの弱々しい線になるのがオチです。

(略)

「そんな事を言っても、勢いを付けて引っ張らないと線が揺れてしまうだろ。」

と思うかもしれませんが、それは初学者の場合には当たり前の話で、誰しも最初から揺れも震えもせずに書けるわけではありません。

(略)

最初はどんなに揺れようが震えようが、そんな事は気にする必要はありません。

この時点では、それは重要な事ではないのです。

(略)

「同筆圧」で書けているのであれば、書いたものを紙の裏側から見てみると、最初から最後まで、同じように墨がとおっているはずです。

もしも送筆部の色が明らかに薄くなっているとしたら、その部分の筆圧が抜けてしまっている証拠です。

(略)

筆圧が抜けているという事は筆のバネが抜けているという事です。

バネが抜けているという事は上滑りしただけの弱々しい線になってしまっているという事です。

そうならない為には、急激に速度を上げたりせず、ゆっくりじっくりと筆を進めなければならないのです。


筆圧や速度の変化などという話は、それがちゃんと出来るようになった後の話ですよ。

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「『バネの効いた線』を引くことが出来るかどうか?」

とは、換言すれば、

「起筆で『筆のバネが効いた状態』を作り出し、それを維持したまま送筆出来るか否か?」

という事であり、私がよく言う

「すっぽ抜けた」

という状態とは、

「起筆で作り出した『筆のバネが効いた状態』から『バネがすっぽ抜けた』」

という意味なのだとお考え下さい。

『のんびりと書道の話』「同筆圧同速度」「同筆圧同速度。その2」

ツルツルした紙というのは、筆の動かし方がしっかりしていなくとも、そのツルツルが幸い(災い)して、筆が紙の上を滑ってくれますから(滑ってしまいますから)何となく「動かせたように」書き上がってしまいます。

「同筆圧同速度」、「同筆圧同速度。その2」の回でも話したような「筆のバネがすっぽ抜けた状態」になってしまっていても、紙がツルツルしているので、すっぽ抜けた部分も一応は黒い線となって書けてしまうのです。

実際にはちっともしっかり筆を動かせてなどいませんし、しっかり書けてもいないのですが、一応は黒い線となっているので、初学者自身の目にはその判断がつきません。

(略)

適度な厚さと表面の抵抗があり、滲みやかすれの出る紙というのは、しっかりと書かないとしっかりと書き上がってくれません。

(略)

どれ程適当にぞんざいに書いても、裏から見て全てそのまま墨が真っ黒に通っているようなら、その紙は明らかに薄過ぎると思います。

『のんびりと書道の話』「紙について。その2」

引用2(形の取り方に関する記事)

「手本と同じ大きさに書きたいのに、同じ大きさに書けない」

(略)

手本と同じ大きさに書く為には、何が何でも、1画目を手本と同じ大きさに書いて下さい。

その為には、1画目の入筆の大きさを手本と同じにすることが何よりも大切です。

(略)

字の形を決定する要素には

1、線の始まる位置
2、線の進む方向
3、線の進む距離(線の長さ)

という3つがありますが、毛筆の場合、これらに加えてもう一つ、

4、線の太さ

という要素が加わります。

(略)

4の線の太さを決定するのは、入筆時の筆の置き方、つまりは点の大きさです。

(略)

その点の大きさが手本よりも大きくなってしまったとすると、ほぼ必然的に線の太さも手本よりも太くなってしまいますが、こうなると殆んどの場合、送筆した線の長さは手本よりも長くなってしまうのです。

(略)

何故なのか?

それは、自分で書き始めた点の大きさ(線の太さ)に合わせた長さを、言い換えれば点の大きさ(線の太さ)に見合った長さを、無意識のうちに書こうとしてしまうからです。

そして2画目はこれまた無意識のうちに、1画目の長さに合わせて書こうとしてしまいますから、1画目が手本よりも長めに書かれてしまうと、手本よりも長めに書かれた1画目に合わせて2画目以降が書かれてしまいます。

以下、このような繰り返しで書き進むと、結果としてその文字全体は手本よりも大きくなってしまうのです。

『のんびりと書道の話』「最初の一歩」

今あなたが手本を見ながらなるべくそっくりになるように頑張って書いたとします。

その結果、

「何だか違う…」

という事になった時、そこには必ず原因があるはずです。

(略)

皆さんの場合、只単に「何処が違うのか」という視点で見てしまうために、知らず知らずのうちに「原因」ではなく、その原因によって導かれた「結果」にばかり目がいってしまっている、という事になりがちです。

(略)

筆順の早い部分から注目していくように意識してみて下さい。

例えばあなたの書いたものが手本よりも大きくなっていた場合、その原因は最初の数画目までにある事が殆どなのですから(「最初の一歩」の回参照)、それ以降の部分をどれ程手本と見比べてみても、それは「結果」のみを見比べている事にしかならず、「そもそもの原因」はいつまで経っても見付からない、という事になってしまいます。

(略)

つまり、書く際には最初の数画をとにもかくにも気を付けて書くのですから、書いたものを見直す時にはその反対、先ずはそれがしっかり出来ているかどうかを見直すわけです。

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初学者の場合(実際には初学者に限った話ではないのですが)、そもそも自分が書いたものが手本よりも大きくなっているのかどうかの判断が付かない、という事が少なくない

(略)

書いた本人にしてみれば、それを書いた時には「手本と同じ長さ」にしようと思いながら、自分が「手本と同じ長さ」と感じた長さを書いたのですから、「手本と同じ長さで書いたはず」のそれを見て、「長過ぎる」と自分自身で気付くというのは、実はそう簡単な事ではないのです。

(略)

【書いたものを手本と】重ねてみればその違いは正に一目瞭然。

(略)

書いたものを適当に折って自分が書いた1画目が手本の1画目のすぐ側に並べられるようにしたり、両者を定規で測ってみたり、(略)工夫が必要なんですね。

※【】内は引用者による補足。

『のんびりと書道の話』「元を辿れば」「元を辿ろうにも」

引用3(心構えに関する記事)

私は【教室に新しく入ってきた人達に】

「絶対に、『上手く書こう』などと思わない事。その代わり、自分にとって精一杯、なるべくゆっくり丁寧に書く事だけを考えて。」

と話します。


これは言うまでもなく、「上手く書く」という曖昧な意識を、その時点でその人に出来る精一杯「具体的で明確な意識」に置き換えてもらうのが目的です。

「上手く書く」事など出来なくても、「ゆっくり丁寧に書く」事なら出来る筈ですから。

(略)

思い当たりませんか?

「思ったように書けない。」

と言ってはイライラしてみたり

「上手く書けない。」

と言っては落ち込んでみたり。

その挙げ句、いつの間にか雑な書き方になってしまっている、というような事が。

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「ちっとも書けない」

と嘆く前に、

「何故書けないのか?」

について、具体的な問題点が何処にあるのかを本当に本気で考える人が一体どれだけいるでしょうか。


「上手くならない」

と愚痴をこぼす前に、

「次の一枚を書く時に注意すべき事」

について、次の一枚を「書く前に」、今自分の書いたものと手本とを、それこそ穴が空く程にまで見比べてみる人が一体どれだけいるでしょうか。

(略)

「ん~、何だか上手くいなかいなぁ…」

といってそのまま次の一枚を書いたとするならば、(略)
先の一枚と何一つ変わらないものが出来上がるまでの事です。

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「ちっとも書けない、上達しない。」

という結果には、必ず何らかの原因があるはずです。

その原因を探る事なく結果だけを一喜一憂しているだけでは、結果はいつまでたっても変化しません。

その原因の中で、その時点でのその人にとって、次の一歩の為に最も重要な点を指し示すのが先生の役目です。

(略)

今から書こうとする一枚(一字、更には一点一画)に対して、(先生からの指摘をもとにしながら)どれだけ自分の意識の密度を高く出来るか?

これこそが、私が言いたい「質」なのです。(以上の理由から、独学がどれ程困難なものであるかという事も分かるでしょう。)

(略)

「質」を上げる為に最も手っ取り早い方法はと言うと、「もっと時間をかける」という事ですね。

(略)

時間の使い方を見直してみるのです。


例えば1日50枚書く人がいたとして、それが1日10枚になってしまったとしても、1枚にかける時間を5倍に増やし、その1枚に対する意識の密度も、それまでの5倍にするつもりで書くのです。

(略)

「実際に書く前に、注意すべき点について具体的にしっかりと意識しておく。」

という、「意識の密度」を高める過程【に時間を使いましょう。】

※【】内は引用者による補足

『のんびりと書道の話』「質と量」「質と量。その2」「質と量。その3」

補足(ブログの構成とおすすめポイント)

ブログ『のんびりと書道の話』は、TOPページにある「記事の一覧です。」から各記事に飛べるようになっています。

記事のカテゴリーごとに、概要やおすすめポイントをまとめましたので、ご参考にどうぞ。

<通信添削について>
現在も行っているかは不明です。

<考え方>
「筆を持つ前に一度立ち止まって考えてみた方が良いと思える事柄について」書かれた記事で、とても参考になります。
(上記の引用は、全てこのカテゴリーから行いました。)

<雑談>
次の記事を読むと、独学が怖くなります。
「20年間」
「禁止令」
「アプローチの違いに関する考察。その5」

<本>
「お薦めの本について」の記事です。

<臨書のすすめ。全般>
<臨書のすすめ。篆書>
<臨書のすすめ。隷書>
<臨書のすすめ。行書>
<臨書のすすめ。草書>
<臨書のすすめ。楷書>
<臨書のすすめ。仮名>
臨書の意義、心構え、おすすめの古典、法帖の違い、テキストなどの記事です。
具体的な内容で、初心者にはありがたいです。
全書体の情報があるのも助かります。

<篆刻のすすめ>

<試食>
「臨書を始めてみるきっかけにしてもらえたら」との思いで書かれた記事です。
「私の臨書歴の中で、心に深く残っている部分、特にお気に入りの部分などに焦点を当て」たとのこと。
画像を使ってわかりやすく説明されていて、とても面白い! おすすめです。

<小篆千字文について>
<小篆千字文>

「ネットで「小篆」や「篆書」という語句を検索してみても、これと言った内容が殆んど見付からない」、「初学者の参考になるものが何も無いというのも如何なものか」という思いから、『小篆千字文』を書かれたそうです。


いかがでしたか? 

有意義な情報が満載のブログです。
是非チェックしてみてください!