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(ニッチ戦略)マニー:世界一にこだわる医療分野のニッチ企業

今日も競争しない競争戦略という本をもとにした記事になります。医療機器の開発、製造、販売を行っているニッチ企業、マニーをご紹介します。1956年に栃木県塩谷郡高根沢町において、創業者松谷正雄氏が起業しました。

医療用の縫合針や眼科手術のナイフ、歯科用根管治療機器などを開発・製造・販売する会社

縫合針:アイレス・アイド | マニー

事業は大きく3つに分かれていて、サージカル関連製品(外科治療機器、眼科治療機器)とアイレス針関連製品(縫合針:アイレス・アイド)、そしてデンタル関連製品(歯科治療機器)があります。

サージカル関連製品は血管バイパス手術に使用するマイクロナイフや、白内障手術などに用いられる眼科ナイフなどです。

アイレス針関連製品は主に医療用縫合針ですが、すぐにはイメージが湧かないと思います。そんな方はこちらの動画をみるとどのような場面で用いられる一瞬で理解できると思います。

デンタル関連製品は主に歯科用根管治療機器、歯科用回転切削器およびその周辺機器などです。根管治療についてはこちらの動画が分かりやすいです。マニーの製品リストにもあるリーマやファイルと言った名前も動画で登場します。

主力の眼科ナイフは世界シェア3割

東海東京調査センターの報告書によると『主力の眼科ナイフ分野では世界シェア 3 割を誇る』とあります。

日経にも『歯の中の神経やリンパ管が通る根管を削る「リーマ・ファイル」は足元で世界シェア25%、眼科ナイフも同20~25%という』とあり、東海東京調査センターと多少数字は異なりますが、いずれにしても凄まじい世界シェアがあることが分かります。

医療用メス市場に進出するも撤退。手痛い失敗を経て戦略を明確化

会社の存続・発展のため、同じ手術で使用するメスの製造開発を試みました。ところが、メスは、流通にこそ共通性はあるものの、生産技術は全くの別物でした。当社にはアイド縫合針やアイレス縫合針を作るための針金技術はあったものの、板金技術は全くありませんでした。畑違いで失敗し、損失を被る結果となりました。その失敗の教訓を生かし、「極細治療器以外やらない」つまりは、自社の技術、自社の得意技術で勝負することを信条として、針金から作る医療器「極細治療器」に特化することを方針としました。

歴史・沿革 | マニー

医療用の縫合針を手掛けていたので流通チャネルが同じ「医療用のメス」の製造も行います。しかし、上記の通り必要となる技術が異なるためうまく行かず撤退します。その教訓から針金から作る医療器「極細治療器」に特化という方針が生まれます。

マニーの研究開発方針のページにも、以下のような研究開発活動方針があります。

①医療機器以外の設計・開発は行わない。
②世界一の品質以外は目指さない。
③製品寿命の短い製品の設計・開発は行わない。
④ニッチ市場以外に参入しない。

半年に一度開催される「世界一か否か会議」

「世界一を狙うには、もうひと工夫が必要だ」。マニーは半年に一度、斉藤雅彦社長ら全役員と、開発や営業の担当者らが参加する会合を本社で開く。その名も「世界一か否か会議」。部門別に競合製品を取り寄せ、自社との優劣を検証する。

マニー「世界一」にこだわり 価格競争回避、利益率30% | 日経新聞

マニーには開発や営業の担当者のみならず社長や役員まで出席する「世界一か否か会議」が存在します。

【龍成メモ】

前回紹介したプロネクサス(株券の印刷屋がディスクロージャー専門会社へと進化できたその理由とは?)の場合は、ニッチ戦略が理念として明確化されていませんでしたが、マニーは研究開発方針としてそれが明確化されていて、社員としても非常に動きやすい気がしました。

#マニー #世界一 #世界シェア #ニッチ

Photo by Arisa Chattasa


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