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映画ビギナーの映画感想珍道中記②  「シックス・センス」

 時間を経た有名な作品なので困難なことではあるかもしれませんが、事前にあらゆる情報を閉ざしてその物語に向かい合って欲しい作品だなと思いました。なので、まだ観たことがない人はこんな駄文に付き合わずに、そして何の情報も得ないように注意を払って物語に向かい合ってください(正直、この文章でさえ先入観を与えそうで嫌なんですから)。

 分かりましたね。良いですか? (もちろんネタバレには出来る限り配慮しますが)それでも良い、という人だけ、ここから下を読んでください。

「シックス・センス」-それは、選ばれた人間だけが持ちうる〈第6の感覚〉なのか、それとも666に象徴される〈悪魔の紋章〉なのか!? 人間が持ちうる5つの感覚を越えて、ホラーでもサイコでもない、いまだかつて誰もなし得なかった〈新感覚スリラー〉超大作『シックス・センス』が誕生した。
 小児精神科医マルコム・クロウは、長年、子供たちの“心の病"の解決に人生を捧げ、第一人者として活躍してきた。しかし、10年前に治療したビンセントという少年の事件が、マルコムの心を傷つけ、そのために、彼と最愛の妻アンナとの間には深い溝ができ、人生に絶望していた。そんなマルコムが、今回、手掛けることになった8才のコール少年は、彼に過去の苦い経験を思い起こさせたる…自殺したビンセントの症状に酷似しているのだ。コールはひどく怯え、母親リンにさえ何も話せず、1人で苦しんでいた。かたくなに心を閉ざすコールを説得して、やっと打ち明けられた驚くべき“事実"。コールを救うため全力を尽くすマルコムの前に、化学では説明のつかない「何か…」の存在が、しだいにその全貌を明らかにしていくのだった…。(amazon商品説明より)

 観終わった後、「どう感想を書いたものか……」と悩んでしまいましたが、やはり素直に思ったことを書くべきなのでしょう。

 その内容のどこまで触れるべきかとても悩んでしまう作品ですが、かつての患者の死がきっかけで心に傷を残す精神科医と〈何か〉に苦しむ少年の邂逅が意外な結末を迎える作品、くらいにしておくのが良いでしょうか。

 恐怖よりも、まず不穏なものが感じられる作品です。その不穏さは、コール少年の置かれている状況が最初からくどくどと説明されないにも関わらず、彼が何かを抱えていることはしっかりと伝わってくること、から来ているように思いました。彼がマルコムに秘密を打ち明けるシーンなど、コールの訴えかけるような(ときおりうつろな)表情も印象的です。

 確かに怖さを喚起する場面は随所にあり、ジャンル的には十分〈ホラー〉に括れるものだとは思います。しかしその恐怖は「怖がらせよう!」というお化け屋敷的な恐怖とは違っていて、〈ホラー〉を観ている感覚は薄いです。「怖いのは、絶対に嫌!」という人にもおすすめしやすい感じがしました。

 この作品が、実はとんでもなく大胆なことをやっていたことに、観る側は結末で気付かされるのですが、それが驚きのための驚き(という側面も、多少はあるのでしょうが……)だけになっておらず、切ないファンタジーに昇華されていく感じがたまらなく好きでした。いやそう思うのは私だけで、怖いラストだと思う人のほうが多いのかな……?