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2020.9.27 グラスの先には。

どうせ仮初にかかわるのなら
グラスの先を語りたい
語らなくてもいいけれど
グラスの先を感じたい

踊り場でいつもいつも
まよっているひとに
「こっちだよ」と言えるくらいの
一杯を持っていたいだろ

酔いが回った三周目に
いつでも僕らは思い出す
なんでこんなに
気持ちよく酔えるのかを

オレンジ色のライト
少々の喧騒
多少の静謐
丸め込んでみせるやつが いる

だろう そうだろう
けむりみたいな時に
僕は話しかける
ここはいつも灰だらけだな

いつかの僕がいる
あなたはどこにいる
多分あの少し
ごついグラスの後ろだ

酒をあおれば
出ておいで
氷をなめては
さようなら

明滅が時をつくる
会話の
まばたきの
見慣れた しかし 違う

パチパチと
知識が飛んでいって
それで
なにかヴェールをまとったような

勘違いでいいのではないか
すべて
勘違いで
そんなにすばらしい状況じゃない

けれどもあなたの口からは
すべての雑音を消すような
僕の鼓膜だけを甘く揺らすような
言葉が投げかけられているから

(あなたはあなただけれどあなたじゃない)
(あなたなのだけれどもっとやさしくて)
(でもあなたは依然として優しくて)
(あなたでないとは言えないあなたでない)

なにかに

そっと

乾杯している

グラスの先には

あなたがいるよ


酒と2人のこども達に関心があります。酒文化に貢献するため、もしくはよりよい子育てのために使わせて頂きます。