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本格ボロネーゼ(ミートソース)は意外と簡単?アレンジ自在な美味しい献立レシピ

このページのポイントを先読み!
1. 挽き肉はカリカリになるまで脂を出す
2. ブロードと基本のトマトソースで味を決める
3. ボロネーゼソースは卵を使った生パスタ料理に使うもの


皆さんは、甘いミートソースがお好きですか? 甘くないミートソースがお好きですか?

子供の頃は甘いソースの掛かったミートボールをよく食べものですが、実は伝統イタリア料理はデザートを除き、甘い料理というのはほとんど存在しません。

国民的人気のミートソースの美味しさを紐解いていきましょう。


もくじ

■砂糖は加えるべき?
脂肪と糖?脂肪と塩?どっちがお好き?
パスタには脂肪と塩、クロスティーニには脂肪と糖
■作り方
材料(深型フライパン24cm一杯分)
作り方
■カロリー
■美味しく作るコツ
ブロードと基本のトマトソースで塩気を決める
煮詰める時間の目安
挽き肉はカリカリになるまでしつこく焼く
香りを大事にする
■上手なアレンジ
ラグーの一種
生パスタの料理で大活躍
ボロネーゼ・ソースの味に変化を付ける工夫
オススメはレモンの皮
上手な甘味の付け方


■砂糖は加えるべき?

つい100年ほど前までは、砂糖は貴重で庶民にはなかなか手の届かないものでした。

イタリアは日本と同じくらいの国土面積の国ですが、小国が寄り集まった共和国なのでいずれの地域もあまり豊かとは言えない経済状況の中で食文化を育んできたのです。

それゆえか砂糖を使わずに完成された料理が非常に多く、これらをより現代的な味にしようと思えば甘みを上手に利用する試みが必要かと思われます。

脂肪と糖?脂肪と塩?どっちがお好き?
ただ、砂糖を使うと塩と油脂の強烈なパンチが損なわれ、良くも悪くもマイルドになってしまいます。

よく刑務所から出てきたばかりの元囚人は甘いものを食べると涙が出るそうですが、塩と油で完成されたボロネーゼのパスタに砂糖を加えてしまうと味がイイ感じにまとまる一方で、脳ミソが

「ゥンまぁぁーいっ!!!!」

と得体の知れないお汁を流してくれません。

そればかりか、砂糖を加えずに作ったボロネーゼ・ソースにパルミジャーノ・レッジャーノを振り掛けて食べるとさらに美味しく感じるので私は

「美味しいものは脂肪と塩で出来ている」

と思うに至りました。

パスタには脂肪と塩、クロスティーニには脂肪と糖
パスタに掛けると快感中枢が鈍感になるくせに、そのままスプーンに掬って食べると砂糖を入れたものの方が美味しいのです。

軽食としてクラッカーに乗せて食べるのであれば「砂糖を入れた方がむしろ良いのかも?」と思うくらいです。

なので一概にどちらの方が美味しいとは言えません。

えー、正直迷ってます。

皆さんも試行錯誤して、私に感想を教えてください(笑)

■作り方

材料(深型フライパン24cm一杯分)
・ニンニク 1片
・たまねぎ 大1個
・人参 1/2本
・セロリ 1/2本
・牛挽き肉 400g
・赤ワイン 100ml
・ブロード 500ml
・基本のトマトソース スプーン山盛り3杯
・乾燥ポルチーニ茸 20g(冷凍品なら1個)
・ナツメグパウダー 少々
・ローズマリー 2本
・黒胡椒 少々
・サラダ油 大さじ1
・バター 20g


作り方
①乾燥ポルチーニ茸を水で戻す。

②フライパンにサラダ油を引き、牛挽き肉を水と脂が出切ってカリカリになるまで炒め、取り出しておく。

③別の鍋にニンニク、たまねぎ、人参、セロリを全てみじん切りにして入れ、①のフライパンに残った脂を使って全体が飴色になるまで中火でじっくり炒める。
(みじん切りはミキサーに掛けても良い)

④③のフライパンに①の挽き肉と赤ワインを加えて煮詰め、アルコールを飛ばす。

⑤ブロード、基本のトマトソース、みじん切りにしたポルチーニ茸とその戻し汁、ローズマリーを加え、水気が少なくなり過ぎたら湯を加えながら、弱火で三時間ほど煮込む。

⑥仕上げの10分くらい前にナツメグを加え、軽く黒胡椒を振る。

⑦三時間経過するタイミングで水気が切れてドロドロになってきたらバターを20gを加えて掻き混ぜ、完成。

■カロリー

りょうりんのボロネーゼソースお鍋一杯分は大体 1822 キロカロリーくらいです。

■美味しく作るコツ

ブロードと基本のトマトソースで塩気を決める
塩は加えたりしません。

何故ならブロードと基本のトマトソースに十分な塩気があるので、それにより香味野菜と肉から出る甘味や出汁の味でパチッ!と決まるからです。

なので塩気が足りないようでしたらブロードの量で調整しましょう。

ゼラチン質がプラスされるので加えれば加えるほど美味しくなるというのもブロードを使うメリットと言えます。

煮詰める時間の目安
それから、煮込みが甘いとたまねぎやセロリのシャリシャリした食感が残ってしまうので、しっかりと煮詰める事が大事です。

三時間は美味しい煮込みの最低ラインですが、煮込み時間に応じて食感が変わるのでご自身でお好みの煮込み時間を見つけてください。

私は【煮込み料理は極弱火で4時間半】というのを目安にしておりまして、風が吹けば消えそうなギリギリの火力でこの時間煮込みます。

今回は挽き肉なので3時間でOKなんですが、塊肉の煮込み料理などにおきましても野菜のシャリ感は無くなり、肉塊も柔らかく解け、しかも皿に装う時に崩れてしまわないギリギリの時間、それが4時間半なのです。

5時間以上煮込むと掬った瞬間に肉がボロッと逝ってしまいますが、濾して使うスープやカレー、今回のボロネーゼなどにはそれも良いかと思います。

挽き肉はカリカリになるまでしつこく焼く
また、【挽き肉をベーコンのようにカリカリに焼く技法】は日本には馴染みが無く、「ヨーロッパの人たちはそれほどまでに料理にヘルシーさを求めていたのか?!」と思わされる次第です。

我々日本人とは違って毎日のようにお肉を食べるヨーロッパ人の事ですから、極力脂を落とそうと思うのは必然なのかもしれません。

とことん脂を切るには強い火力で長時間炒める必要があるので、テフロン加工のものではフライパン自体が傷んでしまう恐れがあります。

なのでカリカリに挽き肉を炒める際はスキレットや中華鍋など鉄製のフライパンを使う事を強くオススメします。

ただ個人差があるので私にしても悩みどころですが、もしかしたら日本人の口にはカリカリにし過ぎない方が合うかもしれません。

旨味の少ない油は極力使わず、旨味の強い脂で料理を構成する。

せっかく旨味の凝縮した牛の脂身ですから、上手に活用しないと勿体ないですよね。

香りを大事にする
あとは何と言ってもポルチーニ茸の香りじゃないでしょうか?

ローズマリーやバターと組み合わさることによってより一層美味しそうな香りを放ってくれます。

簡単お手軽なパスタに「あらよっと!」ってな感じでポルチーニ茸を放り込むだけで、隣近所のお姉さんのお腹を空かした音が聞こえてきそうですね(笑)

調子に乗って使いまくっているとアッという間に無くなってしまうので、たくさん買ってトリュフと一緒に冷凍庫でストックするのが良いでしょう。

■上手なアレンジ

「りょうりん先生!ローズマリーの代わりにバジルを入れてみました!」とかはやめてくださいね。

ボロネーゼはローズマリーじゃなきゃダメなんです(笑)

観念の問題と言いますか、創作料理ではなく伝統料理はたとえ美味しかろうが「コレジャナイ感」が凄いとどうにも知ってる人には受け入れ難いもの、受け入れられなければ作り手のアレンジ魂も続きません。

ラグーの一種
ボロネーゼは牛肉で作るものですが、これを猪肉や鴨肉、鹿肉などに替えると【ラグー】という料理になります。

ラグーは「煮込み」という意なので、言ってみればボロネーゼもラグーの一種なんですね。

生パスタの料理で大活躍
また、ボロネーゼ・ソースに合わせるパスタは【生パスタ】と定番が決まっているのですが、これをトウモロコシ粉で作る蕎麦がきのような【ポレンタ】に合わせれば、見た目にもヴァリエーションが増えます。

あるいはミートパイのように詰め物として使う、【エミリアーナ風ラザニア】なんかも定番ですね。

ファミレスなどでは『茄子とモッツァレッラのボロネーゼ』なんてメニューをよく見掛けますが、これは縦半分に切った茄子をくり抜き中身とボロネーゼを和えたものを皮の船に入れ、チーズを乗せてオーブン焼きにした野菜料理をパスタに応用したものです。

茄子はだいぶ昔からイタリアにあったもので茄子料理の歴史は比較的長いのですが、私にはパルミジャーノと卵入りの生パスタだけのボロネーゼに味で勝てるアレンジなど思いつきません。

余計なものは全てボロネーゼを薄めてしまうと思います。

「あくまで商売だから見栄えも大事」という事で、限られた原価で具を盛り沢山にするのが多くの飲食店の手法だとは思いますが、だからこそ家庭でお店の味を超える事が出来るのだと私は思うのです。

ボロネーゼ・ソースの味に変化を付ける工夫

オススメはレモンの皮
味に変化を加えるなら、おすすめは擦り下ろしたレモンの皮です。

果汁を入れてしまうとせっかくの淡い味の色彩が突如としてベタ塗りのように単調になってしまいますので、皮を擦り下ろして少しづつ加えるようにしてください。

1人分に切って皿に盛ったラザニアの上に軽くレモンを摩り下ろしてオリーブオイルを掛けると、良い香りがして食欲をそそります。

上手な甘味の付け方
砂糖を入れてみる場合は、サラサラッ、サラサラッ、くらいでしょうか。

あまりたくさん入れるとレモン同様、劇的に味が変わってしまうのでくれぐれも慎重に調整して頂きたいところです。

ハチミツや水あめではすぐに味が馴染んでくれず、ただでさえ熱くて分かりづらい煮込みなので甘みの度合いを図りかねてしまう恐れがありますから、サッと溶けてくれるグラニュー糖の方が調整には向いていると思います。

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