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読書感想文的な 25

『幽霊人命救助隊』  高野 和明

おもしろい本読んだら、「え!めっちゃおもしろい!最高!!好き!!」みたいになって語彙力が死ぬんだけど、どうにかちゃんと感想を書こうと思って書く。

浪人生の高岡裕一は、奇妙な断崖の上で3人の男女に出会った。老ヤクザ、気弱な中年男、アンニュイな若い女。そこへ神が現れ、天国行きの条件に、自殺志願者100人の命を救えと命令する。裕一たちは自殺した幽霊だったのだ。地上に戻った彼らが繰り広げる怒涛の救助作戦。傑作エンタテインメント、遂に文庫化。

高野和明が作るストーリー、はちゃめちゃに好き。
はああああ、おもしろ!!!って絶対なる。今回もなった!

それと同時に、わたしたちはいつでも、誰でも、幸せに生きている人にもなるし、もう人生を終わらせたい、終わらせるしかないと悩む人にもなる可能性があるんだなと思った。
なんていうか、誰でもどっちにもなる可能性があることはもう知ってたはずだけど、こっち側とそっち側ってそんなに遠くないし、分厚い壁もないんだな、と改めて。

なんでそんな理由で悩むんだろう?って自分以外の人に思うことがその証拠な気がする。わたしの悩みも、あなたの悩みも、それ以外の他人から見たら「(大変だとは思うけど)しょーもないこと」になる。


「幽霊人命救助隊」でぐぐろうとしたら、名言とサジェストされた。
たしかに名言がたくさんあった。読んでる途中で、いつもよりたくさんメモしたと思う。

ちょっと紹介してみるね。

「ピストルが向けられているとか、怪獣が襲いかかっているわけではないでしょう。それなのに命の危機にさらされている。精神が死の方向に傾いているからです。すべてはこの人だけの、心の中の出来事なんですよ。(中略)死のうとする人たちの問題は、実は心の中だけにあるんじゃないですか」
未来は定まってない以上、全ての絶望は勘違いである。

もう何もかもがダメだと思ってしまうとき、未来にも絶望しかないような気がするけど、そんなことはない。
未来を絶望的に見せているのも結局自分で、そうなるなんて決まってないのに、悪いほうにしか考えられなくなる。もう全部ダメだと絶望して、変わる可能性しかない未来を決めつけてしまう。
心の中だけの出来事で自分を死に追いやってしまうってめちゃくちゃ怖くない?でも自死とはつまりそういうことだよね。

わたしたちはいつでも休んでいいし、いつでも逃げていいはずなのに、みんなそんなこと忘れてるよね。
自分が悩むとなおさらわからなくなる。ここで休むのは根性なしなのか、こんなとこで疲れるのはおかしいのか、逃げなければ状況が改善するのか、そもそも逃げるってどうやるんだっけって。

いや~、まじでみんな軽く生きてこ!って思う。
心の中にEXITを住まわせよう。ぽんぽんぽーんみたいなかんじでいこ。
そしてこの幽霊人命救助隊が生み出した「鬱のもぐら叩き」を実践していきたい。

「もうだめだ」には「まじで?そんなことなくない?」
「みんなに嫌われている」には「なんで?それ本当?」
「仕事ができない」には「どこが?ちゃんとできてるじゃん!」
「うまくいくわけない」には「根拠なくない?」と。

自分が自分について考えたことを疑うって、よく考えたらしないかも。
だってわたしがわたしについて考えたことが間違ってるわけないもん。
でもよく考えたら「わたし嫌われてる」っていうのは、他人の考えを決めつけてしまってるよね。
わたしのことを好きか嫌いかなんて、相手にしかわからないことなのに。わたしが決めることじゃないし、わたしに理解できることでもない。

心の中だけの出来事で、わたしたちは死んでしまう可能性がある。こりゃこわいことだわぁ。


「あなたは今のままでいい。でも、今よりもっと幸せになりたいのなら、あなたが変わらなくてはならないわ」

これは誰のことも信じられない、相手の些細な敵意にさえも鋭く反応して強く相手も自分も傷つけてしまう女性に、かつてそうだった人が送った言葉。
何もかもダメでも今のままでいい。でも、今のままが苦しくてどうにかしたいなら、自分が変わるしかないのよ、と。
いきなり大きく変わらなくていい。ほんの少しだけ行動を変えて、そのほんの少しができた自分をちゃんと認める。それを積み重ねる。
わたしにもできそうって誰もが思う小さな変化でよくて、でもその小さな変化で人はちゃんと変われる。
めっちゃ希望あるなぁと思った。



変化を恐れがちで、心の中だけの出来事で死ぬことが選択肢になってしまう脆いところがあるけど、ほんのちょっとの優しさとほんのちょっとの変化で逆境を乗り越えられる強さも持てる。

わたしは老ヤクザの八木が大好き。
なんかメガホンで叫んでほしい。

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