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読書感想文的な27 流浪の月/凪良 ゆう

あなたと共にいることを、世界中の誰もが反対し、批判するはずだ。わたしを心配するからこそ、誰もがわたしの話に耳を傾けないだろう。それでも文、わたしはあなたのそばにいたい――。再会すべきではなかったかもしれない男女がもう一度出会ったとき、運命は周囲の人間を巻き込みながら疾走を始める。新しい人間関係への旅立ちを描き、実力派作家が遺憾なく本領を発揮した、息をのむ傑作小説。

やっと読んだ。
たくさん考えたけど、結局なにを言ったらいいのかわかんないな!っていう気持ち。


わたしはこの本に出てくるとしたら、きっと世間の常識をもってして更紗を傷つける側だろうなと思った。
うっかり傷つけるようなことは言わないと思うけど、無意識の態度とか、そういうのってきっと敏感に感じ取られてしまうんじゃないかな。
そうなりたくないなって思う反面、まぁ誰もが多少はそうだろうから仕方ないかもとも思う。
善意を悪意を捉えられるなら、それは残念だけどどうしようもない。
優しくされてることは理解してても、その優しさを受け入れられないときってある。その頻度が多すぎると生きにくいんだろうな。でもあまりにも多いなら、自分を変える方向で検討したら?とも思う。素直に、優しくされてうれしいなと思ったほうがハッピーだろうし。でもそれができるならしてるね。難しい。
わかってても優しさを受け取れないことも、自分なりの優しさを向けることも、どっちも悪いことじゃない。


わたしは単純に更紗がけっこう好きだったから、更紗の望む通りになったらいいなぁと思って読んだ。
理解してくれる人、ありのままの自分でいられる人と一緒にいるのを望むのは自然なんじゃないのかな。
その相手のことを云々言うのも、でも、これもまたきっと優しさ。
たとえばわたしなら、友達が浮気ばっかりする男と付き合うか悩んでたら「やめなよ」って言う。DV男と付き合ってるとしたら「別れなよ」って勧める。だってそのほうが友達が幸せになれると思うもん。
でも、わたしが浮気男と付き合ってたときは「別れなよ」も「やめなよ」も受け入れなかったもんね!笑
わかっちゃいるけどね!別れたほうがいいことも、友達の優しさも。
わかっちゃいるけどやめられないんだな!
急になんだか低俗なお話。
でも、こういうのの延長線上のような気もした。
誰かと誰かの関係に、他人からわかる明白な善悪ってもしかしたら少ないのかも。
かといって、浮気されて泣いてる友達に「好きならいいじゃん」っていうのもなんだかなぁ。
正解がなさすぎる。ミスったら全員不幸待ったなしみたいな。
無関心の心地よさはこういうところから来る?


あとこれは物語の本筋とは関係ないかもしれないんだけど、教育とはなんと恐ろしきことかなと思った。
子供にはやっぱり親しかいないから、要はお手本がズレると初期設定ができなくなるなと思った。
これはめちゃくちゃに乱暴な言い方だとは思うけど。
統一された感性とか感覚がいいってことじゃないけど、普通の範囲に収まることはやっぱり生きやすくて、自由さとかはオプションはとして後々付加していくべきなのではと思った。
だってなんだか更紗も文も、初期設定をまちがった結果みたいに見えた。
こうなればいいけど、そっちもいいよ、みたいな遊びの部分というか余裕?ゆとり?がほしい。でも全部いいよって言われても経験がないと選択できない。

でもわたし更紗のお母さんみたいな人けっこう好き。
アイスクリームを夕飯にはできないけど。


人間関係も、子供を育てることも、家族のことも、他人に何かを思うことも、共感することも、共感されることも、なんだかいろんなことに思いを巡らせる本だった。
たくさん考えたのに、なんにも結論が出ない。
でもそれでいいような気もする。

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