扉を閉じる
そぅと閉じる
音が鳴らないように
相手に気づかれないように

閉じた扉に背をつけて
小さくため息をつく


その部屋で
心地よく楽しく過ごしていたと
思っていたのは
僕だけでした

ただ不協和音が
鳴り止んだだけでした


背面の扉
閉めたはずの扉

振り返り
がちゃっとまた開けたいけれど
君が望んでいないのは
知っているから

行き場のない右手を
じっと見つめる


もしかしたら
いないことに気づいて
開けてくれるんじゃないかと
夢想してみては

ただ
項垂れる

扉につけたままの背を
離せずにこのまま動けずに
いつまで
いつまで
こうしているんだろう

僕は
勇気が出ないまま
じっと動けない

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