映画感想 『#つぶやき市長と議会のオキテ 劇場版』
公式サイト:https://tsubuyaki-mayor.com/
映画としての感想であり、石丸伸二氏や安芸高田市市議会についてどうこうという感想ではありませんことご注意ください。
広島ホームテレビの製作ですが、ドキュメンタリー映画というよりも普通の一本の映画として面白かったです。元々の企図から最終的には本編のような形に変わったそうですが、映画としてアウトプットするための着地点と編集がうまく噛み合った結果だと思います。偶然の産物なんでしょうけど。
全体的にじわじわと安芸高田市という広島県の一地方都市で世間一般ではあまり有名ではない都市が変わっていく様を客観的に俯瞰的に映していきます。
安芸高田市の市政がどうなるかを追うという視点を最後まで守っていたのはよかったですね。ただ、公平になるようにということで恣意的にバランスを取ろうとしてしまっている部分が少しあり、一部雰囲気がおかしくなっていたように感じたのは残念な部分です。その方向が石丸伸二氏の市政への批判めいたものに向かい掛けていたのも懸念事項ではあります。(公平性という側面で。)
映画的には色々な視点からということで群像劇っぽい仕上がりですが、ルルという名称をほしいままにする山本数博議員や、安芸高田市市議会の良心と言われ現在一気に主人公ポジに収まりそうな熊高昌三議員はチラっとは登場されますがエキストラ程度の扱いです。熊高議員はなんか覇気のない議員のような感じの登場で台詞(と書いてしまうw)はあるのですけどね。(足を怪我されたいた時期ですね。)
質感と言いますかなんとなくですが森達也監督の映画『FAKE』に似ているよなと思いました。『FAKE』も佐村河内守氏を追い掛けたドキュメンタリーという体裁の(普通の)映画だった(という風に見える)のも似ていると感じた要素なのかもしれません。
ドキュメンタリー映画の体裁なので映像素材は「実際にあったこと=事実」なモノを集めたわけですが、それらを断片的に切り取り繋げていくことで「事実ではない何か」又は「事実は含まれているが実態に合致しない何か」が生まれていく過程が図らずも本作で見えてきます。
これはおそらくマスコミの普段の手法で、マスコミの方も意識していないのではないかと思われます。これが非常に怖い。因数分解すれば全て事実と言えるのにその集合体は「嘘」は言い過ぎですが「実態」や「実情」とはかけ離れたものにもなり得るということが。本作はそういう側面でも鑑賞してほしいなと個人的には思います。製作者の意図したことではありませんが、だからこそより怖さが増すのです。
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ポレポレ東中野にて鑑賞しましたが、鑑賞後にゲストで本作のプロデューサーとフリーライターの方が登壇されて興味深いお話を聞かせていただきました。お二人共に石丸伸二氏には含みがあるような言い方でしたね(笑)。
映画製作時もまさか石丸伸二氏が東京都知事選にこのタイミングで出馬表明されるとは思ってもいなかったとプロデューサーの方は仰られておりました。
映画も石丸伸二氏の人気に肖っての製作なのは丸わかりですが、石丸信者の方が満足できる内容ではないということは申し添えておきます。