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〈短編小説〉あれからの話だけど Bonus track 第1話

 夜、眠る時に小さな明かりを一つ灯すのは子どもの頃からの癖で、それをやめたのはその明かりのせいで眠れない人を知ったからだった。 

 街という名前をつけられた僕は知らないうちに人を呼び寄せてしまうらしかった。街のように人が集まる人間に育って欲しいと名づけられた。花村という名字こそあるが「まちくん」と呼ばれ続けて名字は未だに自分のものではないみたいだ。

 大学を卒業してから働き始めた本屋では僕がレジに立つと本がよく売れた。いつの間にかお客さんからも「まちくん」と呼ばれるようになり、本を一冊買っては話したいことがあったのか、長い話をするお客さんもいた。忙しさとは無縁だったので様々な境遇の人が話す少し踏み込んだ話は聞いていて面白かった。




(第2話へ続く)




※この小説は本編のスピンオフ作品になります。
 2月から公開中の本編はこちら






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