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好奇心のむき出し 小笠原ひとり旅 12日目 #21 

4時17分、早起きにもすっかり慣れた
最後の朝日を見る人は意外と少なかった
朝露のような海水
本土に近づくたびに海の色が変わる
本土
立派な建造物
ドブ色の海

東京に帰ってくると、まず驚いたのが海の色だった。

遠くで見ると空の反射でかろうじて青く見えるが、港へ近ければ近いほど茶色い海が広がっている。心なしか匂いも強くて我慢できずにデッキを離れる。

下船のとき
旅人が浮いている

下船が始まり、港でまたどこかで!という挨拶がそこらじゅうで聞こえる。
りょうさんが泊まっていた民宿のグループに交えてもらい、駅まで歩く。

「みんな、俯いて歩いてますね」と言われてハッとする。スマホをしきりに触って、街に差し込む夕日を見る人なんていない。

5人グループの小学生が、TikTokで流行った曲を口ずさみながら帰っている。
電車に乗ると美容、筋トレ、転職、雑談力、住宅、葬式、塾、投資などの情報が一気に入ってくる。

情報を無意識下に刷り込まれて、ほんとうに必要なことを考える時間はどんどんなくなっていく。

つかの間の旅人たちも都会に紛れていく。東京は火曜日の15時28分。いそがしそうにみんなせかせかと歩いている。僕も普段はこの人たちといっしょに一生懸命に働いているんだよなあ。

浮かれた格好で街を歩くのは気恥ずかしいかと思ったけど、なんだか今はすごく誇らしかった。堂々と歩いていれば誰も気にしていない。

俺は島から帰ってきたんだと、よく焼けた肌で短パンにギョサンを履いて胸を張って闊歩する。

住み慣れた街へ帰ると、不思議な感覚におちいった。

いつもは視界に入らない瞬間が目につく。

駅前のタクシー乗り場の行列、高校生の下校風景、風に揺られる木はどんな名前なんだろう、飛んでいる鳥の名前はなんだろう。

とにかく面白い。この街をもっと知りたくなる。好奇心が剥き出しになっている。

おもしろがれる力は自分次第だ。


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