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”おうち時間”で楽しむ「お取り”寄席”」で、伝統話芸の旅へ・・・

寄席が休業になって早くも1ヶ月以上。何とか来月には再開できそうな状況ではあるものの、落語好きにとっては長い自粛期間になっているのではないだろうか。奇しくもコロナ禍前の2月は、寄席は10年に一度の大フィーバーだった。そう、講談界のニュースター・神田松之丞の神田伯山襲名に色めき立っていたのだ。

新宿末廣亭で行われた襲名興行には、連日豪華なゲストを迎えたこともあり、2月11日の祝日回では、徹夜組が出る始末。こんなこと聞いたことない。特に爆笑問題がゲスト出演した2月15日の回なんて、朝の9時前で整理券が打ち止めになるという有様。実は自分もダメもとで朝一で出掛けようとしたものの、Twitterで状況を知って諦めてたりする。(結局、前日の2月14日回は生で楽しむことが出来たのだけど、やはり会場の熱気は凄かった)

そんな大フィーバーだった落語・講談界。末廣亭が連日札止めになるのはなんと三遊亭圓楽師匠の襲名披露以来なんだということで、十数年ぶりのフィーバーに賑わっていたのに水を差したのがコロナ騒動だった。

コロナが広がってくると、あっという間に神田伯山襲名披露も国立演芸場での興行は中止になり、いつしか定席寄席も中止になってしまい、自分の大学の後輩で応援していた三遊亭歌太郎改め三遊亭志う歌師匠の真打昇進興行もほぼ延期になるという始末で、噺家たちは否応なく休業状態に追い込まれたわけで。そんな中で生まれたのが、噺家たちのネット配信への進出だった。思えば神田伯山襲名興行の時に”伯山ティービィー”が立ち上がったのが、本格的な幕開けだったかもしれない。

さてそんな”リモート落語”の世界、多くの落語家さん達が公式チャンネルを立ち上げて配信を始めていたり、また色んなところで有料配信も始まっていて、落語界の新時代の幕開けを感じさせている。そんな中から、落語初心者にもオススメの”公式”動画を紹介したいと思う。

厳選! "噺家公式"のYouTube動画

①「火焔太鼓」立川志らく

最近はめっきり"ワイドショーの顔"になりつつある志らく師匠だけれど、所属するワタナベエンターテイメントの公式チャンネルで落語配信を始めた時は嬉しかった。初回は大ネタ「子別れ」で、配信慣れせずに苦労していることが伝わったけれど、終盤に差し掛かると人情味が増して感動的な話になっていた。

そんな志らく師匠の二席目が「火焔太鼓」。ボリューム的にもさっと聞ける分、落語慣れしていない層を意識してのチョイスかもしれない。何せ解説付きなのだから。


②「モモリン」立川志の輔

これまでにもYouTubeで違法動画が沢山上がっていて、色々な名作落語が聞ける状態であった志の輔師匠だが、遂に公式を解禁! しかも現在唯一の配信動画が、昨年生で見ていたGINZA SIXの地下三階に出来た観世能楽堂での興行”GINZA MODE”。個人的に大好きな新作落語”モモリン”をかけた回で、かつゲストにくまモンが出るというサプライズ付きで、大いに満足した独演会だった。それがYouTubeでまた見られるとは!

この話こそ、落語初体験の人に是非見て欲しい話だ。きっと「落語ってこんなに楽しいんだ!」と思ってもらえるはずだから。

③「らくだ」春風亭一之輔

一之輔師匠がいきなりYouTubeに登場したのには驚いた。しかも十日間連続の生配信というのだから。なんでも本来4月の下席(4月21日~30日)で上野・鈴本演芸場でトリを務めるはずだったものの、寄席が中止になってしまったことを受け、「だったら同じ時間にやってやろうじゃないか!」ということになったのである。これは素晴らしい。

というわけで十日連続生配信で連日素晴らしい噺を聞けて、しかもそれがアーカイブとして残してくれている状況の中から、第六夜の「らくだ」をチョイス。登場人物も多いのでちょっと集中して聞く必要はあるけれど、落語としての魅力が詰まった話を一之輔節で演じた大満足の一席。同じネタでも噺家によって全く違う感じ方になるという落語の奥深さを感じて貰えるのではないかと。

④「宿題」桂文枝

上方落語(大阪の落語界)からは、”いらっしゃ~い!”で御馴染みの桂文枝師匠を。吉本興業の公式チャンネルでアップされている。(文枝師匠の出番は13:02~から)

文枝師匠も大爆笑の新作落語を沢山持っているけれど、その中から”宿題”が配信された。”読書の時間”などちょっと下ネタが入る噺ではなく、大人から子供まで笑える”宿題”のチョイスはYouTube向きかもしれない。誰でも爆笑必至の作品をどうぞ。

⑤「紙屑屋」林家たい平

笑点で御馴染みのたい平師匠もYouTubeチャンネル「天下たい平チャンネル」を開設。その中で配信しているネタから”紙屑屋”を。古典落語の名作の一つ。たい平師匠の明るいキャラが若旦那にマッチしてますね。

⑥(番外)「大検証!!木久蔵ラーメンって本当にまずいの!?」林家木久扇

落語のネタじゃないけれど、笑点でも御馴染みの林家木久扇師匠がYouTubeチャンネルを開設。バラエティー系のネタをアップしているので、番外として載せることにする。せっかくならネタを配信して欲しいなあ。でもまあ、こうしてネットで姿を見られるだけでも嬉しい。

⑦(番外:講談)「グレーゾーン(真打披露目Ver.)」神田伯山

落語を紹介する記事ではあるけど、前段でも触れたように今年の頭に大フィーバーを起こした神田伯山師匠より。伯山TVには大ネタ"畔倉重四郎”が全部上がっているのだけど、つい最近アップされたのが、若手時代に作られた新作講談である”グレーゾーン”。数年前に封印されたネタで、プロレスの八百長をテーマにしたもの。これが面白いので是非。まあそれが講談か?と言われるとなかなか難しいところだけど・・・。

おまけに、例の大入り満員だった2月15日の回(ゲスト:爆笑問題)の口上の動画も貼っておくことにする。

終わりに

さて、動画の紹介は以上となるが、今やほぼ毎日誰かがオンライン寄席を開催していて、人気の落語家(柳家喬太郎師匠や林家彦いち師匠×三遊亭白鳥師匠の二人会なども)でも、普段なら3,000円~の木戸銭(費用)が1,000円~1,500円で見られる環境になりつつある。あとは今回紹介した他にも若手から大御所まで、個人でチャンネルを開設していたりしているので、このタイミングで落語に興味を持ったのであれば、是非いろいろと自分好みの噺や落語家を探してみてはいかがだろうか。
(非公式のアップ動画も多いし・・・)

【参考リンク】

・落語協会 協会員動画配信一覧
http://rakugo-kyokai.jp/news/3630/

・【STAY HOME】ライブ配信、YouTubeなどで見られる落語情報
http://hanashi.jp/?p=67241

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