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ダイヤモンド v.1.0.0

ここから始めるのはなぜか?

ダイヤモンドと聞いて、その印象はどんな感じだろうか?その輝きと透明感、醸し出すキラキラな雰囲気を思い出す人も多いと思う。宝石の中でも最も硬い石。ダイヤモンドは炭素でできている。鉛筆の芯と同じカーボンでできているものの、両者の性質はかなり違っている。鉛筆の芯、つまり黒鉛が2次元的なシートが重なったような構造なのに対して、ダイヤモンドは炭素原子同士が3次元的に結合した構造をとっている。同じ材料でできているのに性質は似ても似つかない。色も違う。同じ卵料理でも目玉焼きとスクランブルエッグで風味が違うように、地球のレシピが違うのでダイヤモンドと黒鉛は別のテイストをもつ物質に仕上がっている。どっちが好きかはお好みしだい。

元素記号はC

原子の種類を表す元素記号はCであらわされるCarbonのC。たった一種類の元素からできている最もシンプルな宝石。それがダイヤモンドだ。最初に持ってこずしてどうやって始めよう、というくらい自然な選択だった。そしてその結晶構造はダイヤモンド構造と呼ばれるもの。炭素同士が4つの方向に強く結合してるので固く切れにくい性質をもつ。ダイヤモンドを鉛筆代わりに使っても鉛筆のように滑らかな文字が書けることはなく、あとが付くか、ノートのほうが破れちゃうのは想像に難くない。これは構造の違いからくる性質で、鉛筆の芯は2次元的なシートが鉛筆を使うときにどんどんはがれていく。結果、はがれた黒鉛の黒い部分が文字として認識される。その構造を理解するために模型を作った。表紙の写真がその模型。この模型を作るワークショップをやってもいいね。何故なら何十年もこの構造を知っていたけど模型を組み立てて理解が深まったから。人は自分の手を使って作業すると理解が進むらしい。

ダイヤモンドは高圧実験に使う

構造を研究する地球科学の実験室にはダイヤモンドセルという道具がある。直径5ミリくらいの大きさの2枚のダイヤモンドを平行に並べ、その間に試料をおく。周りを液体で満たし、両側から押すと試料に圧力をかけることができる。これは高圧実験という実験で、たとえば地球内部の高圧状態を研究するのに使う。2枚のダイヤは可能な限り平行にする。目で見て平行にするというレベルではなく、光の波長レベルで平行にする。

それっていったいどんなサイズ感だろうか?ミリ単位で平行ならわかる。シャープペンシルの芯が0.5ミリとか、0.3ミリ。0.1ミリは100ミクロンと同じ長さ。1ミリ=1000ミクロン。単位が違うだけだ。髪の毛の直径はだいたい60ミクロンくらい。フェイスパウダーの直径は2~5ミクロンくらいと言われている。

1キロメートルが1000メートルなのと同じで、科学の世界では1000倍ごとに単位が変わる。1ミクロン=1000ナノメートル。さて、光の波長は数百ナノメートル。こんな精度でどうやって平行にすればいいのだろうか?答えはニュートンリングを利用すること。光の波長以下の平行はニュートンリングと呼ばれる一種の虹を使って調整する。虹がたくさん見えると平行じゃない。一ついかになったら完成。

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