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死とは

今日は急遽仕事がお休みになったので、考えをまとめるために久しぶりにnote書いています。色々あって、NY美術史のお勉強は中断して自分を知るために禅について自分なりに学んでます。
今回のnoteは長いです。

父の死

図らずも今日は父の月命日です。(NY時間だから一日ズレてるけど)
父は大病を何度か患いましたが元気でした。なので想像もしてなかったし、次のお正月は10年ほど振りに日本で過ごすつもりだったし、こんなことならもっとたくさん無理にでもお話ししてれば、お正月にも帰っていれば、など後悔がたくさんあります。
私の誕生日(NY時間)に父は亡くなりました。誕生日だったので一人で何となく仕事帰りに立ち寄ったお店でマルガリータを一杯飲んで、それが結構きつかったのでポワーンとした感じで知らせを聞くことができました。素面で聞くよりかはまだ大丈夫だったかもしれないですが、混乱してとりあえずその時に一緒にプロジェクトやってる先輩に路上で泣きながら事情を電話で説明したのを覚えてます。会社の人たちも社長を始めマネージャー方に理解してもらえたことを感謝しています。
運良くすぐに飛行機のチケットを購入できてすぐに帰国することができました。
連絡した旅行会社の方がテキパキとその時取れる一番早い飛行機をセッティングしてくださいました。旅行会社の方にも感謝しています。

儀式の意義

今まで経験したことない感情も湧き上がり、直後は本当にどうすることもできないくらい辛かったです。その最中、父親の死を経験している友達がずっと支えてくれました。彼女の言葉や存在に助けられています。これは経験しないとわからない、とは聞いていましたが本当にそうです。彼女と話すと気持ちが落ち着き、前向きになれました。2021年に彼女が主催の「老い、生、死」をテーマにした舞台に携わらせてもらい、そのことについて考える機会がありました。父の死を体験し、自分が「老い」ということから目を逸らしていたことに気づきました。
日本にいる間は長い間父の会計事務所の仕事を手伝っていました。その関係で私も毎年お手伝い夏のイベントの会計をお手伝いさせて頂いていたお寺がありました。行くとなんとなく落ち着く大好きな場所でした。数年前に父がそこのお墓を購入し、今後もそこでお世話になることになりました。その日本にいた時のお手伝いで毎年お会いしていた方の一人が葬儀屋さんで(当時はお仕事のことは存じませんでした。毎年楽しくご一緒させて頂いてた方でとてもよく覚えていた方だったので再会した時驚きました)、とても心のこもった葬儀をすることができました。
出棺した後に父がお茶碗を割るという行為も、あーこうやって父がこの世に戻ってこられないということを納得していくのかと一つ一つの行為について考えさせられました。そして儀式とは遺された者たちが死を受け入れるためのものなのだと改めて思いました。


母には笑われたけど

あまりにも辛かったので、父が今どこにいるのかを想像して毎日やり過ごしていました。宗派によって異なるようですが、うちの宗派は、初七日で三途の川を渡り、二七日、三七日・・・でそれぞれ偉い人に会うそうです。(ざっくり。とりあえずググった情報です)三途の川を渡った後に団子が役に立つ、と知り母と団子を作りました。数はわからないので困っていたら、ちょうど葬儀屋さんから用事があってお電話あったので伺ったところ、私の質問を馬鹿にしないで真面目に教えて下さったので感謝しています。
ググった情報をもとに「今日は〇〇(49日までの間に七日毎に会う偉い人)に会ってるね。お団子も持ってるしお父さんなら大丈夫だね」など毎日のように話し、母に笑われてました。
私をよく理解している予備校時代からの友達には「そのりょうちゃんの言動にお母さんもきっと助けられてるよ」と私の言動を褒めてくれました。そうであったら次女冥利に尽きます。
でもお寺でも伺った通り、、あんまり考え過ぎるとおかしくなってしまうので、父は今は近くで見守ってくれてる、と今は思うようにしています。

NYではコロナ禍にロックダウンというものがありました。
現在働いている会社の仕事はオンラインで出来るものではないので仕事もお休みでした。そこで京都にある美大のオンラインの授業を受けていました。
その授業で禅寺のお庭のことを知った時には、これだ!!と大興奮でした。しかしそれに関連した本を探しましたが出版されている本は一冊しか見つけられませんでした。電子書籍化もされておらず、古本屋でも手に入らず。読みたいけど見つけらないので仕方ないと諦めていました。
うちの宗派は禅系です。父の死から、もうこれはきちんと知りたいと強く思うようになり日本にいる間にその本をもう一度ネットで探してみました。案の定なかなかみつけられませんでしたが、NYに戻る10日ほど前にやっと一冊見つけました!間に合うかギリギリでしたが、日本を発つ日に(家を出発する直前に!)届きました。今はその本と禅に関する本の入門書を読んでいます。難しいですが楽しいです。
こんなこと書いたら畏れ多く、しかもなんだか怒られそうですが。私が幼い頃から感じている世界観や「芸術を極めるとはこういうことだ」と予備校時代に恩師から垣間見せて貰った世界観、NYで齧ったDBT、に通じるものがある気がします。
そして、フランス哲学のモーリス・メルロー・ポンティにも共通点がある気がしています。*昔コロンビア大学で写真の授業をとったときにクラスメイトみんなにお気に入りの哲学者がいました。私もお気に入りが欲しい!と言うミーハーな気持ちで探して辿り着いた哲学者です。一応、自分の制作への考えに近そうな哲学者を選びました。フランス哲学者の友達の旦那さんに教えて貰った本はまだ難しすぎて挫折してしまってますが、簡単なものは一応読みました。

多くの日本人が恐らくそうであるように、私も父の死まで自分の家の宗派について考えたことがありませんでした。

私は抽象作品を作っています。私が抽象表現主義に惹かれてその技法を始めたのは、日本文化の根底にある(昔から日々の生活の中に受け継がれている)禅の心から必然的に発生したものなのではないかと推測しています。*私が幼い頃から見えているもの、感じている景色は抽象的なものだと感じています。

余談(父の骨壷に入っているもの)

父は野球が好きだったと思います。いつも野球の中継を見ていたし、大リーグの中継も見ていたました。なので、いつもお土産にTシャツを買っていました。しかしいつだったか、いらない、と言われてからはTシャツを買うのは辞めました。サイズが合わなかったのか、大リーグのTシャツはお気に召さなかったのか、何か理由があったんだと思います。
私は特にスポーツ好きというわけではなく、全く詳しくありません、
6月か7月頃、大谷翔平選手の試合をNYで見る機会がありました。大谷選手は超有名選手だから、父も貰って嬉しいに違いない!と思い、大谷選手のグッズを父に!と思いましたが、大谷選手のホームはNYでは無いからなのか全く売っていませんでした。せっかく来たんだから何か買いたい、と見つけた日本人選手のセンガ選手(大谷選手とは違うチーム。しかもその日の試合には出てなかった)のグッズ。迷った結果それを買いました。年末に帰る予定だったので、また帰る直前に大谷選手のは野球グッズのお店などで探せば良いか、と考えてました。なので手元にあったのはセンガ選手のグッズ(マグネット)のみです。
父のこと聞いて真っ先に思ったのがそのグッズのことです。これは渡さねば!と忘れないように最初に荷物に入れました。
父のご遺体の横にグッズをお供えしました。センガ選手ファンの友達でさえも日本では彼はあんまり有名じゃないと言ってたので、父は知らなかった可能性大です。父も困惑してるかもしれないけど、とりあえずお土産なのでお供えしました。
火葬場で一緒に焼いてもらうものの中に何を入れるか、という際には正直そのグッズについて迷いました。葬儀屋さんに相談してみたら「野球好きならみんな知ってるよ!お父さんも野球ファンだったから絶対知ってるよ!」と仰ってたので、それを入れることを決めました。が、まさかの燃えないグッズ。燃えないのでこれは後から骨壷に入れる、ということになりました。なのでメガネと一緒にセンガ選手のグッズが父の骨壷の中に入っています。メガネと一緒に入ってるのが父が好きだったかどうか分からないものってどうなんだろう、と実は納骨直前までグッズを取り除くか迷っていました。結局今も骨壷に一緒に入っています。
父はなぜセンガ選手のグッズ?と困惑してるかもしれないですが。

フェイスブック

父の知らせを聞いたのが自分の誕生日だったこともあり、それから一切フェイスブックを開いていません。Facebookのシステム上私の誕生日が繋がっている方々に通知されるので、コメントくださってる方々には悪いなぁ、と思いながら開くことができずにいます。
開いたら父のことを書いてしまいそうだし、でも父のことはここ以外で書きたくないし。そんな感じです。

父に関わった方々のお話を聞いてると、父の人生は楽しかったんだろうなと思います。
私も楽しく人生を終えたいです。
父の死から自分の生き方について考え直しています。
父が生前お仕事でお世話になった方々、両親、姉家族、また実家の近所の方々、両親のそれぞれのお友達、そして私の友達に感謝です。
NYに来て10年ほど経ちますが、日本にいたときは分からなかった日本の伝統文化の素晴らしさについて考えます。
その一つが古くからあるお寺と思っています。素敵なお寺に父が現在いるので、それを思うだけでも心が暖かくなります。お世話になっているお寺にも感謝です。

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