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ぐるんとびーを見学して職人芸をみた話
先日、ご縁があって神奈川県藤沢にある小規模多機能ホームぐるんとびーさんを見学させていただきました。
「ぐるんとびー」で検索すると「炎上」ってサジェスト(あなたの検索したいのはこれっすか?と勝手に出てくるあれ)が出るくらい、深夜のラーメンで話題になった施設さんですね。
私自身は、「良しも悪しも、立場と場所で全てが変わる」という考えですので、いろんな意見を飛び交うのを興味深くみてました。議論や喧嘩ってその人が何を大切にしているかが見えるから、いいよね。
一緒に行ったのはお友達のぶちゃん(女医)。
気風が良くて威勢も良くて、尊敬してる人。地域医療に携わる医師として、何事も面白がれる友人としてご一緒に。
天気のいい平日に、東京から藤沢へ。いやー神奈川なんて隣でしょ?って思ってたら隣だけどすごい遠かった。神奈川なめてた。
小規模多機能→看護小規模多機能→事務所という流れで見学させていただきました。
桜も散りそうな春の終わり。抜けていく風がとても気持ちよくて、今日はいい日だなぁ〜なんて朝から思えます。
団地の一室を使っているので、中は本当に普通の集合住宅なんですよね。
見学を受け入れたことがある人なら、わかると思うんだけど「人が見に来る」って場を乱す一択なんですよ。
幼児の老人ホーム訪問みたいなレクリエーション兼ねたものならいざ知らず、見知らぬ大人がいきなりきて、挨拶されたり、じっと見られるとか居心地悪くて。そして利用者さんが落ち着かなくなったり、不穏になったりするので正直私は見学受け入れって得意ではないです。
しかもここは団地の一室。狭い。空間的な切り分けができないので秘技「遠くから見学してくださいね」ができない。うーん、どうするんだろう?
って思ってたら。意外と皆さん穏やかで落ち着いていて。
おや?今日は平穏の日なのかな?誰もそわそわしてないぞ?
【ご近所さんの差し入れの桜】
ひとしきりその場に参加させていただいて、その後話を聞かせてもらったのですが、もう、そこで驚きの連続でした。
・スタッフが利用者の雰囲気をみて「何をするか」「何をしないか」を常に探っている。
・見学者が入ってきた時一瞬不穏になったのをみて、コーヒーの準備をして、お茶飲みに誘う(コーヒーのお運びをしてもらう)ことで落ち着きを取り戻した。
・それでも落ち着かなそうだったので、会話の最後にあった縫い物というキーワードで裁縫箱をそっとその場においた(短期記憶が僅かにしか保てないので、前半の会話はトリガーにならない)
・裁縫箱はその場に置いて、本人が動くまで様子を見る。落ち着かない+裁縫しないが続いたので、スタッフが裁縫をして自然に裁縫に手が伸びるように誘導した。
・業務穴埋めのため、他のスタッフが裁縫スタッフの業務を代わった。
・散歩から帰ってきた利用者さんが知らない人(見学者)に僅かに不穏になったので男性スタッフが壁役になり視線を切った。
これらを、その場で臨機応変対応をしているんですよ。しかも、声に出さずに。
察するの職人か。
もちろん、外れることもあるし、対応が失敗することもある。
けれど「これでよかろう」とか「こっちに合わせてくれよ」っていうのはなくて、「どんなパターンでもどうすればいいか考えるのが楽しいっす!」みたいな感じがしました。
バレーのレシーブ特訓介護版みたい。
ここにも
ここにも
ここにも
ここにも
ここにも
人が居心地良く過ごすための工夫があちこちに散りばめられていて、ここで働くことの楽しさ、難しさ、やりがいの一端をみた気がしました。
スタッフさん何人かにインタビューをさせてもらったのですが、異口同音に言っていたのが「暮らしですから」という言葉。
介護保険がスタートして20年以上、くらしをサービスが支えることは形になってきたけれど、暮らしを暮らしのままで存続させることの難しさを常に感じていました。
サービス提供者という立場だからこそできることもあるけれど、できないこともあるし、立ち入ってはいけないこともある。
いつでも誰でも同じサービスが届けられることの大切さを知っているけれど、その人ならではの技能やキャラクターが利用者を支えることもある。
危ないと思えることを、どこまで尊重するのか。
無理だということに、どこまで力を注ぐのか。
介護や、ケアにまつわるサービスで働くと必ずあたる、暮らしと介護の壁。
それはとても流動的で、正解はなくて。
考え続けていると、もういいじゃないか、ここで精一杯だよ、私たちができるところはここまでだよ、と言いたくなる。
その割り切りが悪いとは思わないし、そういった線引きがあるから働いていられるところもあるから、その線引きをしてしまわないぐるんとびーの取り組みにはただただ感動しました。
暮らしをまもるということは、簡単ではないけれど、それを挑戦し続けるぐるんとびーはエネルギーがいるけど、沢山の嬉しいも発掘できるお仕事をしているんだなぁと感じました。
お時間をいただいた、菅原健介さんと、一緒に同行してくれた上原暢子さん、お話を聞かせてくださった石川和子さん、スタッフの皆様方、ありがとうございました!
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