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溶ける週末#2(後半)

今回の師匠が開催したホームパーティーには、8人が集まった。

僕と大学時代からの友人であるカネコくんとサトウくん、師匠最初の弟子とも言える人、ファッション関係の仕事をしている師匠の友人(僕の一つ上)、ファッションデザイナーの方とその弟子が集まった。

そんなファッション業界で仕事をしている人たちと、それとは縁のなかった自分がどんな話ができるのかと不安だった。
しかし、8人も集まれば色々な話ができた。
その中でも、とても印象に残った話を2つ紹介したい。

一つ目は「ギャップが生む魅力について」だ。
この話のきっかけは、ファッションデザイナーとその弟子だった。
2人は親戚の関係だった。弟子はまだ僕よりも若くて、19歳だった。地方の高校を卒業して工場で働き、アルバイトで土木関係の仕事をしていたそうだ。その中でタトゥーを入れて、見た目が厳つくて怖いのにも関わらず優しい先輩たちに憧れを持って自分もタトゥーを入れたいと思ったそうだ。それも、般若に蛇がかぶりついているものを入れたかったそうだ。そこで、両親が大反対をして東京で仕事をしていたファッションデザイナーに相談が来た。とても困ったそうだが、とにかく電話で話をすることにした。どうしてタトゥーを入れたいのかという問いに、「タトゥーが入っていて見た目は怖い人なのに、本当は優しくてカッコいい人になりたい」
「そのギャップがカッコいい」
と答えた。
そう答えた青年に対してファッションデザイナーは「星野源はどうしてガッキーと結婚できたのか」について話したのだ。
「怖そうな人が優しくてカッコいいという魅力よりも、見た目は普通(星野源はイケメンではないと個人的には思っている)のひとが音楽や演技で多彩な才能がある人のギャップの方がとても魅力的なんだ」「まだ知らないことが多いから東京に、来て働きなさい」ということで青年は次の日に仕事を辞めて、バック一つで上京してきたそうだ。
この話を聞いて、「ギャップが生む魅力について」考えた。
僕は星野源よりもかっこよくないし、普通の人間でこれといった才能ない。ではどうすればいいのか。
星野源のような素晴らしい才能を持ち合わせることはほぼ不可能なことなので、とにかく色々な事を知ろうと思った。例えば、今回のホームパーティーのようにあまり関わらない業界の人と話したり、興味をもつことで変わることもあるはずだと考えた。「普通なのに何かできる人」のギャップを出せるように努力したいと思った。

2つ目は「たくさん褒められたこと」だ。
僕はあまり褒められないタイプだった。正確に言えば、褒めてもらえてるがパッとしないことが多かった。例えば、気が使えるねとか、優しいねとか、ちゃんとしてるねとか普通のことに感じていた。
しかし、このパーティーで普段関わらない業種の人が「真面目は才能だ」と褒めてくれた時にすごく嬉しい気持ちになった。「真面目」と聞くと、あまり良い印象を受けなかった。どこか面白くない人、つまらない人と言われている気がしていた。
僕の仕事をとても「最もクリエイティブで素晴らしい」と褒めてくれた。
少し恥ずかしいくらいに褒めてもらえて、自分の真面目さと仕事に自信が持てた。
そして、僕と仲良くしてくれる友人たちに出会えた事を羨ましく思ってくれた。それは、真面目な僕とは異なる2人(ダメな人というわけではない)が出会えてことで僕の真面目さが良くなっているとの事だった。たしかに、カネコくんとサトウくんは学生時代は仲良くなかった。真面目じゃない人は苦手だったので、カーストの上位に居そうな人は苦手だったのだ。こんな考えをしていた学生時代の自分も苦手だが、残念ながら自分はそういう人間だった。しかし、そんな友人と関わる事で自分の魅力(星野源の魅力とは少し異なるが…)も生まれるのかなと思う。
とにかく、これまで出会ってこなかった人たちに自分の良さを知ってもらったことがとても印象に残っている。

たくさん話した後、ファッションデザイナーとその弟子、師匠の友人(僕の一つ上、そして優しいオーラのすごい人)は帰った。
カネコくんとサトウくんは酔い潰れ、僕と師匠とその弟子で午前2時くらいまでワインを飲んだ。

そこでも師匠の話は尽きなかった。

そして、僕とカネコくん、サトウくんは渋谷にホテルを取っていたのでタクシーで移動した。

ホテルに着いた時には酔いが回って覚えていない。
次の日は二日酔いのまま東京観光をした。

そしてあっという間に週末が溶けるように終わった。

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