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『スタートアップなくして、日本の未来はない』高島市長の新著を読み終えて

はじめに

F Venturesの両角です。出版されたばかりの高島市長の書籍「福岡市長高島宗一郎の日本を最速で変える方法」が届いていたので早速読了しました。規制のある事業ドメインでのロビイング、既得権益との対峙、若い起業家がハマりやすい落とし穴、など福岡に限らず、どの地域の人にも当てはまる内容で、スタートアップ界隈の人たちにこそ読んでほしいと思い、noteを書きます。

スタートアップへの想い

期せずして、冒頭の「はじめに」の時点で目を奪われました。本を開いたその瞬間、「スタートアップなくして、日本の未来はない」という言葉が飛び込んできます。スタートアップに関係している我々が読むべき本だとすぐにわかりました。市政のメインにスタートアップ支援を置いている福岡市の市長だからこそ説得力のある言葉です。閉塞感のある日本を打開できる存在として、スタートアップの力に期待していることがしみじみと伝わり、スタートアップ支援をする自分にとっても大いに刺さる一文でした。行政のトップがスタートアップ的な思想を持ち、リスクを背負い、積極的にイノベーティブな施策を打っていかれる姿勢で、高島市長こそ”起業家”じゃないかと感じざるを得ません。

リスクの取り方が誰よりも"起業家"

本のタイトルは書店で通りすがった人々に訴求しやすいよう、よりキャッチーに書かれていると思いますが、決して大げさではなく、高島さんが本気で成し遂げようとされているものだと本から感じとれました。

行政として、前例のない新しいことを打ち出すことは、もちろん世間からも抵抗があり、市役所内や議会でも抵抗があることだと思います。行政がスタートアップ支援に取組むことも大いにリスクであると感じます。そういったリスクをとれる人がトップであることに福岡市民として誇りに思いますし、この地で生まれ、この地でスタートアップ支援ができていることに幸運を感じます。

ここでは詳しくは書きませんが、書籍の中に書かれている麻生太郎氏とのエピソードもしびれました。福岡市長であると同時に、この人は日本を背負っているんだと伝わってきました。たまに福岡市のスタートアップ界隈でお見かけしたり、テレビやSNSでの高島市長の発信を見ていましたが、本を通してそれ以上に高島市長の胸の内を理解できたような気がします。

日本の未来を担う若者に対する期待

なによりも、日本の未来に対して危機感を感じ、この本を書いているんだと思います。高島さんは自身がどのように思われようが、既得権には屈せず、これからの時代を創っていくのは若い人たちだと明確に期待していることを主張しています。日本をチャレンジのしやすい国へと変貌を遂げていくためにも、福岡市がロールモデルにならないといけない。

スタートアップにおけるロビイングの方法論

ただ、我々もご支援することの多い若い起業家たち(特に10代〜20代)にとって、政治や社会を動かすことに心理的ハードルを感じることも多いと思います。規制が強い事業ドメインにおいては、スタートアップは経済的合理性だけを考えるのでなく、社会や政治を動かすためのロビイングが必要になってきます。

法律は制定当時の時代にフィットする形でつくられたものの、目まぐるしく変化した現代に合わなくなっている岩盤規制がいくつもあります。それがスタートアップがイノベーティブな事業に取組む上での阻害要因となることもあります。これをビジネスマンのみで取り払うことはほぼ不可能です。

アイデアへの盲信がスタートアップが陥りやすい罠

これは私も投資先のロビイングを傍から見ていて、近頃つくづく感じることですが、政治や行政は、ビジネスの世界とは異なるルールで成り立っているので、相手の立場や考え方を理解をしない限り、スタートアップが社会や構造に変革をもたらすことは難しいということ。

単純にユーザーに気に入ってもらえるサービスを作れば、自然と広まり、急成長できる、と妄信してしまう人が少なくはありません。ビジネスの場でも、相手のことを理解し、相手目線で提案しなければ契約は取れないが、政治も同じこと、という高島さん。

福岡から日本を変えていく

私は福岡だからこそ起こせるイノベーションのあり方があるはずだと感じています。福岡だけでなく、東京でもスタートアップに多数投資をしていますが、都内の投資先が福岡市で実証実験させてもらったこともあり、福岡市であれば新しいことを受け入れてもらいやすい体制があり、非常にチャレンジがしやすいです。

国家戦略特区である福岡市でボトルネックを取り払うことで、古い産業のDXや新産業を創り出せる可能性を秘めたスタートアップにはますます投資していきたいと思っています。高島市長の「スタートアップなくして、日本の未来はない」という言葉は、自分もこの仕事を始めてからずっと考えていることでした。F Venturesとしても引き続き、福岡、そして日本のスタートアップエコシステムを盛り上げていきたいと思いを新たにしました。


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