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怒りあふれる利用者との付き合い方(アドラー心理学実践講座 第7回目より) ①

10月03日(木)から早稲田大学のエクステンションセンター中野校で向後千春先生の「アドラー心理学実践講座」が始まりました。今回もそこで学んだことを障がいのある方への支援場面でどのように活用できるか実践報告を交えて考えていきます。

11月14日、第7回目のテーマは「感じられたマイナスとその反応」でした。今日は、レクチャに入る前の質問会議に挙がった質問に関連したことを書きます。

質問リストには2つの質問がありました。その一つについて書きます。質問の内容は、電話による相談業務に就いている方から、長年に渡り人を恨み続けている人に寄り添いたい、しかし相談者からは否定的な言葉しか出てこない、さらには電話相談を受け持つ人にまで否定的な指摘をする、その人への対応についての相談でした。

電話で否定的な言葉を言われることは、相手の表情が見えない分、対面より対応が難しいと思います。また、相手は、電話だから対面以上に辛辣な言葉を投げかけてきます。

私が以前、頻繁にかかわっていた利用者の話です。その方は、私に対して、他の支援者の悪口や、批判しか言いません。いかに自分がひどい目にあっているかということしか話しません。いろいろな言葉を知っている人で、虐待だ、訴えてやる、どうなっても知らないぞ、常にそんな言葉を口にしていました。事業所の巡回に行くたび、そのような話をされたので私もだんだんその人に会うのが億劫になってきました。

その利用者は、一度、一般就労をしたことがあります。しかし、その会社が閉鎖してしまい福祉サービスを利用するようになりました。しかし福祉サービスでは物足りなかったのだと思います。その不満をぶつけるところがなく、文句のはけ口が私や支援者に向いていたようです。

しばらくして、一般就労とまではいかないまでも、ある程度、給料を稼げるところに落ち着きました。給料はその月々、受注した仕事量で上下します。給料が多い月は、嬉しそうに「今月さぁ、仕事いっぱいもらえたから給料も多いんだぁ」そんな電話がかかって来ます。幾分、その人の恨み節も減りました。しかし、今度は人間関係の不満を口にして「あんな所にいてもしょうがない、辞めてやる」と言うようになりました。

私はその人がその事業所が大好きだということを知っています。だから絶対に辞めません。しかしそんなことを口にしたら怒られてしまいます。ただひたすら「そうなんだ」と聴いています。

今は、年に数回しか会いません。電話もたまにしかかかってきません。それでも第一声は怒りです。怒りをぶつけることは一番安易なかかわり方です。以前、怒りをぶつけたらとても優しくされた経験があるのかもしれません、また怒りを鎮めてしまったら私との関係が終わってしまうと思っているのかもしれません。怒りであればいつでも私が聴いてくれると思っているのかもしれません。

私とその利用者との関係はまだ発展途上です。利用者の怒りの目的を探しながら関係を作っていきます。

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