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伝える工夫(法人の支援姿勢)

私は、障がいのある人が利用する社会福祉法人を経営しています。今日は、私の法人の法人理念を具現化した、支援姿勢の一つについて書きます。

法人の支援姿勢

法人の支援姿勢は、今から約6年前に作りました。私が、障がいのある人たちの活動を支援するうえで、忘れずに常に意識していたいことをまとめました。支援姿勢は、次の3つです。

① 怒らない(声をあらげない),注意しない工夫
② 伝える工夫
③ ルールにとらわれすぎない

昨日は、① 怒らない(声をあらげない),注意しない工夫について書きました。今日は、② 伝える工夫について書きます。

きっかけとなった体験

私が、現場で直接支援をしていたころのことです。約20年ぐらい前になります。当時、夏休みになると、中高校生の福祉体験というのがありました。地域の中高生が数人のグループになり、福祉事業所で利用者と一緒に活動するというものです。事業所も、そこにイベントを組み、楽しい時間を共有していました。

ある日、体験に来てくれていた学生の一人が、利用者に話しかけました。しかし、利用者からは返答がありませんでした。そのとき、その学生が言いました。「ちぇ、コイツ、聞いちゃいねぇ」

当時、そのセリフは、いろいろな場面で耳にしました。学生同士の間では、あたりまえのやり取りだったのかもしれません。しかし、私は、違和感を感じました。また、今後この福祉体験をとおして伝えていかなければいけないことはここだと、感じました。

なぜ返答がなかったのか

この場面で、利用者から返答がなかった理由は、いくつか考えられます。たとえば、なんと返答していいかわからないとか、相手の言っている言葉や表現が自分にあっていないという理由です。

障がいのある人への支援場面に限らず、私たちは、「相手は、私の言うことや言葉を理解して当然」という前提で話をします。私の言っていることを理解できないのは相手に問題があると思っています。しかし、そこに大きな間違いがあります。

相手に自分の言いたいことを理解してもらうためには、相手が理解しやすい言葉や言い回しを選ぶこと雰囲気を作ること、さらにはそれ以前に相手との良好な関係が必要になります。好意を持っている人の話は、積極的に聞きたくなります。反対に、嫌だなぁ、苦手だなぁと思う人の話は頭に残らないことがあります。

このときのことを教訓にして、支援姿勢に「伝える工夫」を入れました。

支援者は、利用者に話を聞いてもらうには、日ごろから良好な関係を大切にし、相手に応じた伝え方、表現方法を選ぶことが大切です。良好な関係を作るポイントの一つは、その前に利用者の話を聴くことです。

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