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接遇マナーを学ぶ①/学ぶわけ

障がいのある人たちの支援にたずさわる者は、人権に関する研修を受講しなければいけません。私の法人でも毎年、テーマを決めて人権研修を実施しています。今年の研修は「接遇マナー」というテーマで実施しました。

対人関係の基礎となる接遇マナー

私は、障がいのある人たちが利用する社会福祉法人を経営しています。法人には、相談支援、日中活動、グループホームの3種類の事業所があります。いままでは、様々な形態で人権研修を行ってきました。今年は、直接支援にかかわる全職員を対象として、対人関係の基礎となる接遇マナーについての研修を実施しました。

しかし、コロナ禍で全体で集まることができなかったため、3回に分けての実施となりました。そのため、一回の参加者が少なく、密度の濃い実技になりました。

実技は、あいさつの言葉、おじぎの仕方、名刺交換など、出会いの場面で必要なスキルを学びました。どれもこれも日常生活であたりまえにこなしていることばかりです。しかし、あらためてやってみるとどれもこれも自己流が多いことに気がつきました。

接遇マナーを学ぶわけ

この研修を設定した理由は、福祉サービスを提供する事業所の立ち位置が大きく変わったこと福祉サービスが専門的になりすぎているという危惧によります。

例年は、外部機関が企画する研修に参加することがほとんどでした。たとえば、権利擁護や虐待防止法、個別性の高い利用者へのかかわり方、支援計画の立て方などの座学です。これらを学ぶことにより専門的な知識が身に付きます。しかし、その反面、専門的な対応に偏ったり、利用者を選別する傾向が出てきます。専門的な対応は、サービスを使うことばかりに着目します。また、利用者を選別することで、たらい回しにされることがあります。

そこで、今回は、福祉人材の育成機関にお願いして、個別メニューを組んでもらい、法人の現状にあったメニューを組み立ててもらいました。

福祉サービスの対象を見直す

社会福祉法人が提供するサービスは、特定の人たちへのサービスではなく、地域の社会資源の一つという位置づけです。従来は、そこの事業所を利用している人たちだけのものでした。その結果、福祉サービスを提供する事業所が閉鎖的になっていきました。しかし、今は、社会福祉法人から地域の人たちへ積極的にはたらきかけていくことが求められます。そのためには、誰にでも気持ちよく受け入れてもらえる姿勢が必要です。

そこで研修のテーマが「接遇マナー」になりました。

運動技能を態度技能へ

また、重要なことは、接遇マナーの基本をマスターしたうえで、その技術を支援場面で活かすかことです。制度を覚えることは認知技能です。あいさつの言葉、おじぎの仕方、名刺交換の方法、これらは体で覚える運動技能です。

支援者の信念がタテの関係では、学んだマナーを支援場面で活かすことができません。利用者とかかわるときに基本マナーを使わなければいけない、そう決心して適切に使えるスキル、そこが態度技能になります

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