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利用者のお財布をあつかうときのルール

対人援助という仕事では、当たり前なこと、長年続けていることでも定期的に見直さなければいけないことがあります。この仕事は、人と人で成り立っています。人は、行動や考えが変わります。また、実際に対応をする人が変わることがあります。その中で基本姿勢がくずれます。その対応の一つに利用者のお財布のあつかいがあります。

私は、障がいのある人が利用する社会福祉法人を経営しています。法人の事業所を利用する利用者の多くはガイドヘルパーを使っています。ガイドヘルパーがいてくれるおかげで、休日の外出だけでなく、通院、日中活動帰りの買物等、利用者の生活の幅は大きく広がります。そのとき、支援者は利用者のお財布をあつかいます。

お財布をあつかうときのルール

支援者は、利用者のお財布の中を確認することがあります。のちのち、利用者の所持金がレシートと合わないと大変です。そのため、あらかじめいくら持っているかを確認をします。そのときにルールがあります。

利用者のお財布の口を開けるときは、利用者の許可を取り、原則、利用者本人がお財布の口を開けます。利用者自身で口を開けることが難しい場合は、口を開ける旨を伝えて、ご本人の前でお財布の口を開けなければいけません。勝手にお財布の口を開けてはいけません。しかし、支援者はその手続きを忘れることがあります。

支援しなければいけないことが重なっている、別の利用者から声をかけられる、あわてている、理由はさまざまです。しかし、「支援」という名目があっても、他人のお財布です。他人が勝手に開けることはできません。

ガイドヘルパーにお願いをする

また、ガイドヘルパーとのやり取りの際も気をつけなければいけません。ガイドヘルパーは、いつも同じ人とはかぎりません。そのため、常時、支援をしている人が伝えなければいけないことがあります。

ありがちな場面は、ガイドヘルパーから引き継ぐときです。ガイドヘルパーは、万が一のことがあってはいけないという理由で、利用者自身にお財布を持たせることを嫌がります。そのため、直接、支援者にお財布を渡します。そのときは、できるだけやんわりとガイドヘルパーにお願いをして、本人が一緒に所持金を確認するようにうながします。

あるとき、私のお願いを一切、受け入れないガイドヘルパーがいました。私が、ご本人と一緒に所持金を確認するようにお願いをすると、ガイドヘルパーが言いました。

「〇〇ちゃんは(利用者のこと)は、いいの。これは大事だから先生(私のこと)に渡しますね。だいじょうぶ、おばちゃん、変なことしないから。」

このときばかりは、ガイドヘルパーの事業所の管理者にも連絡をさせていただきました。まず、利用者本人の財産を本人抜きで確認することが正しいと思っていることが問題です。また、私のことを「先生」と呼ぶのは大目に見ても、40歳を過ぎた成人に向かって「〇〇ちゃん」と呼ぶのは、改善が必要です。

伝えるためにも基本を守る

ガイドヘルパーの事業所にそのことで電話を入れると、事業所の管理者もそのガイドヘルパーのことで頭を抱えていました。いろいろトラブルがあるようでした。また、そのガイドヘルパーが私に対してクレームを言っていました。私が、引継ぎを複雑にしたために、自分が乗りたかったバスに乗れず、20分も待たされたと言っているとのことでした。

ガイドヘルパーの事業所の管理者は大変です。自分の事業所のガイドヘルパーと直接会う機会が限られています。その中で、育成していかなければいけません。そのため、お願いするをことや守って欲しいことは、直接やりとりをする私たち支援者が伝えます。あたりまえなことこそなおさらです。そのためには、まず私たち支援者が基本ルールをしっかり身につけることが求められます。

連続投稿1000日まで、あと21日。

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