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怒っても事態は変わらない(アドラー流子育て講座より)
05月11日(土)から早稲田大学のエクステンションセンター中野校で向後千春先生の「アドラー流子育て講座」が始まりました。私も娘二人の父ということ、またそれ以上にアドラー心理学はあらゆる援助場面に応用できることから受講しています。今回もそこで学んだことを障がいのある方への支援場面でどのように活用できるか実践報告を交えて考えていきます。
講座内容は以下のようになっています。
05月11日(土)am 第一回 怒らない~目的論
05月11日(土)pm 第二回 誰の課題か~ライフタスク
05月25日(土)am 第三回 介入しない~自然の結末
05月25日(土)pm 第四回 比べない~ライフスタイル
今日は、第一回の「怒らない~目的論」で学んだことを、実際のケースにあてはめて考えます。
2014年の春、私が経営する法人において、「支援姿勢」というものを明示しました。その一番に掲げたことが「怒らない、注意しない工夫しよう」というものでした。しかし、一部の支援者、ご家族から反発がありました。
当時、私が事業所を巡回していて気になったことは、支援者が利用者を頻繁に注意していることでした。そのときの支援者は怒っているように見えました。なぜなら「いつも言っているでしょう、なんでできないの」と強い口調で言っていたからです。
私の母はまもなく90歳を迎えます。今は特別養護老人ホームで暮らしています。私は、その母に頼まれごとをしても忘れることが頻繁にあります。すると母は「もう昔からあんたは人の言うことをすぐに忘れるんだから」、と怒ります。私は50年以上、同じことを母に怒られ、母は50年以上、同じことを私に怒っていたことになります。このやりとりから、何度、言ってもできないことはやっぱりできない、ということがわかります。
アドラー心理学においては「怒り」の目的は「私の願いや期待が裏切られたのだからなんとかしなくてはいけない」と行動を促進するために発令されるものだとします。怒りを感じたら、それで終わらせるのではなく、次の行動を冷静に考えなくてはいけません。
私が支援姿勢に「怒らない、注意しない工夫をしよう」と掲げたとき、一部の支援者とご家族が同じことを言って反発しました。
「怒らないでどうするんですか」
「いつまでも同じことを繰り返しますよ」
でも怒っても、同じことを繰り返しています。さらに誰かが怒られるとその場の雰囲気が悪くなります。また同じ人がいつも怒られていると、他の利用者もその人のことを怒ったり、注意したりします。
支援者が怒る目的は、自分が教えたことを守ってくれない、なんで言うとおりにしないのか、私は嫌な思いをしている、それを相手にわからせたいということです。最後に支援者は、「今度から気をつけなさい」と言います。それならば、何か改善策を提案しなければいけません。
講義では、私の願いは私の思い込みかもしれない、と考えてみる。もしくは、私の願いを聞いてくれるように相手にお願いしてみようというお話がありました。
実際の支援場面では、支援者の目指すところを少し下げたり、「〇〇してくれたら嬉しいなぁ」、「〇〇してくれてありがとう」などという対応をします。支援者の願いを聞いてくれたき、感謝の言葉を述べることでその利用者は怒られる人から感謝される人に変わります。
残念ながら、このあと何人かの支援者が辞め、利用者もご家族の判断で辞めてしまいました。どうやったらみんなにこの支援姿勢を理解してもらえるだろうか、と悩んでいるときに出会ったのがアドラー心理学でした。ここに私がアドラー心理学を学び続ける目的の一つがあります。
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