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気がすむまで泣いていいよ

障がいのある方の支援をしています。この仕事を始めてもう30年以上が経ちました。何年続けていても、ついおろそかになってしまうことがあります。大事なことを忘れないためにここに書き留めます。

中野エクステンションセンターで行われている、アドラー心理学実践講座に参加しています。今は感情について学んでいます。その学びの中で思い出したエピソードを書きます。

障がいのある利用者の支援をしていると、利用者が突然泣き出すことがあります。すると支援者は、あわてて尋ねます。
「どうしたの?何があったの?」
しかし、的確な答えが返ってくることはあまりありません。

利用者が泣き出す理由は、その支援者の支援に問題がある場合があります。しかしそれ以外にも理由があります。急に昔のことがよみがえってきて悲しくなることがあります。それは1時間前のことだったり、10年以上前のことだったりします。とくに自閉的な障害がある人の記憶の時系列は直線ではなく、平面であると言われています。よって一瞬にして過去がよみがえります。また、社会的な認知の衰えにより、状況がわからず不安になり泣き出すこともあります。

そんなとき、支援者は原因を追究します。しかし、原因は泣き出した本人にもわからず答えられないことがほとんどです。

泣いた理由がわからず、さらにいつまでも泣き止まないと支援者ははっきりした口調でこう言います。
「いつまでも泣いていないの、もう大人でしょう」
「そんなにいつまでも泣かないの」

しかし、そう言われて泣き止むものではありません。

また、利用者にとって泣きやすい支援者がいます。その支援者がそばに行くと寄り添って泣き始めます。その場面を他の支援者が見ると、あの支援者は甘やかすからいけないのだと烙印を押します。

確かに、利用者がその支援者に甘えているということは否めません。しかし、利用者にとって泣ける人がいるというのは大事なことです。いつも強い姿勢を見せている支援者ばかりでは利用者は息が詰まってしまします。

泣きたいときに泣ける、気がすむまで泣いていいよ、そんな支援も大切です。

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