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禁句「余計なことはしなくていいから」

利用者から相談を受けました。その利用者は、ある支援者から「余計なことはしなくていいから、まずは自分のことをしなさい」と言われてしまったというのです。その利用者の話しか聞いていないので、詳しい状況まではわかりかねます。しかし、利用者がそう言われたと言っている以上、有効的な声かけてではありません。

私も「余計なこと…」を多用していた

私は、障がいのある人が利用する事業所を経営しています。今は理事長です。しかし、以前は現場の支援者でした。そのころ、私も「余計なことしなくていいから…」という言葉を多用していました。今は、失礼なことをしたと反省しています。

今回は、私に話をしてくれた利用者が、ほかの利用者の行動を注意したことがきっかけだと言います。その利用者は、何か危険を感じて注意をしたか、自分が不快に思って注意したと考えます。ということは、この利用者の思いは抑えられたままということです。

私たちの行動にはすべて、目的がります。この利用者にとっては、他者を注意することは、そのとき、余計なことではなく、必要なことでした

また、支援者は、「人のことは注意しなくていいから、それは支援者がするから」とも言います。しかし、支援者が、利用者の行動を言葉で注意をしなければいけない行動は、予測できるいつもの行動ばかりです。そうであるならば、注意して解決するより、あらかじめその場面を作らないようにすることが得策です。

自分のことと人のこと、どっちが先?

今回、私に相談をしてくれた利用者からは、「まずは自分のことって、なにをすればいいの?」と聞かれました。私は、「余計なこと」と同様に「人のことはいいから…」という言葉を使っていました。これも、自分のことだけをしていなさい、と言っていることです。

たとえば、給食の片づけのとき、他の利用者の食器を片づけようとすると、「人のことはいいから…」と言っていました。自分のことと人のこと、どっちが先でもいいということに気がついていませんでした。また、人のために役に立とうとしている気持ちを台無しにしています。

自分のことを自分でする権利

支援者は、自分のことは自分でして欲しい、自分のことは自分でするべきだと思っています。確かに、自分のことは自分でした方がいいと思います。しかし、その瞬間だけを切り取っていても解決にはなりません。私たちは、日々、その利用者が自分のことを自分でできるような工夫をしなければいけません。自分のことを自分でできるという権利を守るということです。

あらためて、権利ということについて考え、さらには言葉の選び方に注意をしなければいけないと思ったできごとです。




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