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教える技術のふりかえり(まとめ) その2

01月10日から02月14日まで、早稲田のエクステンションセンターで開催された向後先生の「教える技術」について書いてきました。今回はこの講座のまとめ、その2です。

今回の講座には、教える技術を私の現場である、障がいのある方への支援場面で活かすにはどうすればよいか、それを私のテーマとして参加しました。

講義内容は以下のとおりでした。

01月10日 第1回 教えるとはどういうことか
01月17日 第2回 運動技能の教え方
01月21日 第3回 認知技能の教え方
01月28日 第4回 態度技能の教え方
02月07日 第5回 コースの設計
02月14日 第6回 コースのデモンストレーション

前回は1回目と2回目についてふりかえりました。今日は3回目と4回目についてふりかえります。

3回目 認知技能の教え方
この回で学んだこととして、2回に渡って書きました。

1)バグルールを発見し修正する
間違ったプログラム(バグ)、あるいは間違った概念(誤概念)がすでに形成されてしまっている場合このバグを修正してからでないと正しいことを教えることができません。
支援者の教育、育成において、新人に教えるより、ある程度経験を積んで、転職してきた支援者に教えることの方が困難です。経験者には今まで実践で培ってきた技術があります。それを絶対的に正しいと信じています。その中には、いまだに指導者的なタテの関係でビシバシ指導することが正しいと思っている人もいます。そのような支援者は支援場面において、できないことは利用者の課題と思います。それが人権侵害になるということが理解できていません。
2)やさしく伝える/領域固有性と転移について
専門用語はその領域では正しく使えます。しかし領域や文脈が変わってしまうと使えなくなることがあります。それが領域固有性です。逆に領域を越えて利用できることを転移と言います。そのためには専門家しかわからない言葉を使わず、身近な言葉に言い換えて教えることが必要です。身近な話題に置き換えると、わかりやすくなるということです。
障がいのある方の支援は説明をして同意を得ることから始まります。また説明はご本人だけではなくそのご家族等にも必要です。制度にでは合理的配慮が義務づけられているので、ご本人やご家族が理解しやすいような工夫をしなければいけません。

4回目 態度技能の教え方この回で学んだこととして、3回に渡って書きました。

1)自己調整力を高める/小さな褒美を上手に使う
態度的な能力、自己調整力の高め方のひとつに、小さな褒美を頻繁に、大きな褒美を時々使うことが良いといいます。ここでいう小さな褒美は「やった!」というすっきり感です。お菓子をあげてご機嫌をとるようなことではなく、本人が達成感を感じられるものが良いといいます。
支援場面においては利用者さんが積極的に生産活動に取り組めるように様々な工夫をしています。例えば、創作活動においては、完成した製品と利用者さんを写真にして飾ったり、アクセサリー等は支援者が身に着けて実際に使ったりします。また、作ったカレンダーはお世話になっている方々に直接届けに行きます。そうするとお茶やお菓子でもてなされたりして…結局、一日に2件ぐらいしか行かれません。
2)褒美を使うときの注意
「態度」は決心して行動することだと定義されました。さらに目的やゴールをわかりやすく設定することも褒美につながるのだということがわかりました。そこで支援場面で褒美を使うときの注意点をまとめました。
1.日々の様子から好きなことを探す(よく見る)
Aさんにとっては褒美だけれどBさんにとっては苦痛になることがあります。そのためには日々の様子をしっかり見ておくことが大事です。
2.環境を整える(障害に配慮しているか)
褒美を用意しても、その環境が苦手で参加意欲が低下することがあります。環境を整えることが大事です。
3.命令になっていないか(支援者都合になっていないか)
利用者をコントロールしようとして褒美を使ってはいけません。目的が違ってしまいます。
3)21世紀に学ぶべきもの(第4回講義内容の質問)
21世紀に子どもたちが学ぶべきものの一つに、メタ学習があります。自分を自分でモニタリングする力です。先生からは、人には第2、第3の専門性が必要であり、一か所に留まると固まってしまうと注意がありました。
このお話から頭に浮かんだのは、人事異動です。利用者のご家族は支援者の異動を嫌います。諸事情があり移動をするとクレームが来ます。人事異動により利用者さんの状態が悪くなることを懸念しています。確かに、利用者さんが一時的に不安定になることはあります。しかし、すぐに新しい支援者になれます。逆に人事異動ができないと、多様性や客観性に欠けるようになります。利用者さんの意思をくみ取る際、利用者さんと長くお付き合いがあるほうが、利用者さんの意思をくみ取れるのではないかと思います。しかし、お付き合いが長いと思い込みや思い入れが強すぎてしまい偏った見方をしてしまうこともあります。柔軟な支援ができなくなります。上手な人事異動が今後の課題です。

教える技術と支援についての関連性をみてきました。教える場面ではラポールが大切だと言う話が何度か出てきました。教える人と学ぶ人の間の信頼関係です。このラポールは支援場面においても必ず出てくる言葉です。ここにも共通性があることがわかります。

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