見出し画像

缶つぶし大会の思い出

地域の小学校から福祉教育の一環として、福祉施設と交流したいのですが…、という依頼が来ることがあります。地域との結びつき、特に学校とは積極的にかかわりたいと思っているのでありがたいお話です。学校からは、子どもたちが企画した交流会に参加するのはどうでしょう、と提案があります。しかし、交流と言われても具体的に何をして良いのかわかりません。

障がいのある人たちの中には、場面が変わることが苦手な人がいます。それは状況把握が苦手だからです。言葉でこれから何をします、と言ってもそれが上手に伝わりません。ゲームをしようと誘われてもルールを理解できないことがあります。子どもたちと一緒に歌を唄いましょう、と誘われても、歌は歌いたいときに自由に歌いたい人たちです。初めての場所でどうしていいかわからなくなると不穏な行動に出たり、泣き出したりしてしまいます。そうすると子どもたちが企画してくれたイベントがだいなしです。

私が以前、現場にいた頃のことです。当時は缶つぶしという活動をしていました。利用者と一緒に回収してきた空き缶を近所の公園で足でつぶしていました。そこで思いついたのが、公園でなく、学校の校庭で缶をつぶさせていただくということです。利用者は缶をつぶす場所が変わるだけでやることはまったく一緒です。そこによければ、生徒も加わってくださいと、提案をしました。

始めたころは、教室の窓から子どもたちがのぞいていました。しばらくして、子どもたちが一緒に缶をつぶすようになりました。初めは子どもたちは子どもたちだけで集まって缶をつぶしていました。やがてそこに利用者が混じるようになり一緒に缶をつぶすようになりました。

それが缶つぶし大会という交流会になり、リレー形式や二人三脚で缶をつぶしました。

あえて交流会とは言わず、自然な形で互いに楽しい時間を共有できるのが最善です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?