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小さなことに執着しない

支援場面において、必要以上に執着してはいけません。たとえそれが正しいことでも押しつけていけません。

たとえば、障がいのある人がガイドヘルパーと外出をするときのことです。グループホームにガイドヘルパーが迎えに来ます。そこで支援者は、その日にかかる費用をガイドヘルパーに渡します。それとは別に1,000円を入れた財布をご本人に渡そうとしました。するとご本人が持ちたくないと態度で示しました。支援者は、自分のお小遣いだから自分で持つように繰り返し話をしました。しかし、話をすればするほど、利用者は強く拒否をするようになりました。やがて、利用者は支援者の話をさえぎって飛び出そうとしました。そこで支援者は、利用者の服をつかみました。そのとき、服のボタンが取れてしまいました。

支援者は、飲み物やおかしなどを自分の財布から自分で買う練習をしようという目標を立てていました。そのために、自分で財布を持つ練習が必要だったと言います。

ご本人が財布を持つことをなぜ拒否したのかはわかりません。早く出かけたかったのかもしれません。財布を持たされることで、支援者からいろいろ約束をさせられるのが嫌だったのかもしれません。支援者は、前の日から説明していたと言います。しかし、その言葉は利用者に届いていませんでした。

ルールを決めるときは合理的でなければいけません。利用者にとって、自分で買い物をするということがどういうことなのか、どうして自分で買わなければいけないのか、そういう点を体験をとおして学んでから実行しなければいけませんでした。

自分の財布を自分で持つということだけに執着してしまったために、利用者は不機嫌になっただけでなく、洋服のボタンが取れてしまいました。出かける前に悲しい気持ちになってしまいました。

私たちはつい、小さなことに執着をして利用者と対立してしまうことがあります。たとえば、ポロシャツの首元から見える下着が後ろ前だから直そうとか、昨日と同じ服を着ているから着替えようとか、あいさつの号令をかける当番をまちがえたからやり直そうとか、どれも対立してまで正すことではありません。

私も以前は小さいことに執着していっぱい対立していました。今は不完全である勇気を持つことを心がけています。

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