運転手さんの定年/長い間ありがとうございました
利用者の皆さんの送迎をしてくれている運転手さんが定年を迎え、今日が最後の勤務となりました。6年間、お世話になった運転手さんなのでとても残念です。
私は、障がいのある人が利用する事業所を経営しています。私の法人に限らず、障害福祉サービスでは、利用者の送迎が大きな課題です。送迎を希望する人はたくさんいます。しかし、送迎をしてくれる人が足りません。また、送迎を事業展開することにも悩みがあります。
ご家族に関係すること
送迎を始めたころはボランティア的に送迎をしていました。それはできる人ができるところだけを送迎していました。そのため、送迎ができる人とできない人ができてしまいました。利用者の家族からは、高齢の家族には「困ってる」って言えない人がいることも考えて欲しい、とご指摘がありました。
現在は、グループホームを利用する人が増えたことで、ご高齢のご家族が送迎をすることがなくなりました。
これは、ご家族に関係する課題です。
ご家族に関係すること
次にご本人に関係する課題です。
今はグループホームと日中活動事業所の間の送迎をしています。その中には、少しだけ支援をすると一般の交通機関を使える人がいます。しかし、その支援をする人がいないため、車による送迎です。そのため社会経験が損なわれます。
また、送迎車で移動をすると、昼も夜も移動中も同じ人とすごすことになります。また途中でコンビニに寄ることもできず、気持ちの切り替えができません。
送迎サービスがあたりまえの時代になってきました。ドアツードアは便利です。しかし息が詰まります。
支援者に関すること
福祉サービスを提供する事業所の多くは、事業所の支援者や、ボランティアが送迎を担っています。支援者は、通常の支援業務の他に送迎をします。朝早く出勤したり、送迎後に仕事が残っているため負担が多く集中力に欠けます。
また送迎は、運転手がどんなに気をつけていても事故をもらうことがあります。それを考えるとボランティアにお願いすることをためらいます。そこで私の法人では、送迎を外部委託することにしました。車の運転は、運転のプロにお願いしたいというのが私の考えです。
しかし、請け負ってくれる会社がありませんでした。また、やっと巡り合えた今の会社も、請けてくれる運転手が見つかるまで時間がかかりました。その中で、引き受けてくれたのが今日、定年を迎えた運転手さんです。たくさんお世話になりました。
長い間ありがとうございました
送迎では、運転中に利用者が大きな声を出したり、車の中で飛び跳ねたり、大泣きしたり、驚くことがたくさんあったことと思います。それでもおおらかに受け止め、安全運転に徹してくれた運転手さんです。ありがとうございました。
幸いにも新しい運転手さんが見つかり引継ぎもできました。しかし送迎は、福祉業界全体の課題です。ハード面もソフト面も解決しなければいけないことが山積みです。また、そこには幾多の法律が複雑に絡み合いなおさら解決の機会を奪っています。私に協力できることはなにか、まずはそこを見つけることからです。