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誤用されるアドラー用語(アドラー心理学実践講座 第1回目より) ②

10月04日(木)から早稲田大学のエクステンションセンター中野校で向後千春先生の「アドラー心理学実践講座」が始まりました。今回もそこで学んだことを障がいのある方への支援場面でどのように活用できるか実践報告を交えて考えていきます。

10月03日、第1回目のテーマは「アドラー心理学の価値」でした。21世紀におけるアドラー心理学の価値、さらにアドラー心理学をどう学ぶかということについて学びました。

嫌われる勇気の影響でアドラー心理学がブームになりました。そのため、アドラー心理学らしき言葉がひとり歩きして誤解を招いていることがあるといいます。たとえば、課題の分離、ヨコの関係、共同体感覚という言葉です。私もひとり歩きしたアドラー用語にからまれることがあります。

利用者のお金の管理の支援は重要です。ご本人が安心してお金が使えるように支援します。またその支援の内容は利用者一人ひとり異なります。ある利用者にはまとまったお金を渡します。ある利用者には毎日少額を渡します。ある利用者は支援者がお金を持っていて必要なときに一緒にお金を払います。

あるとき、利用者のお金が一時的に無くなりました。そのとき担当の支援者は、本人がどうしてもお金を持っていたいと言うから持たせた、それで無くなったのだからそれは自己責任だと説明しました。状況は、ご本人が常にお金を持っていたいと言うから持たせていました。私がその支援を正すと、以前に私が別の利用者に同様の対応をしたというのです。しかし、私が対応した利用者と今回の利用者では支援の状況が違います。そのときにその支援者が言いました。
「これって、課題の分離ですよね」

障害福祉サービスでは意思決定支援が原則です。しかし、それを勘違いしている支援者もたくさんいます。意思決定支援とは利用者本人の言うとおりにすることではありません。

私が対応した利用者は、一般就労を目標にした利用者です。その利用者は一般の交通機関を使って日中活動先に行きます。その利用者は自分でお金を所持して自己管理する支援が必要です。今回の利用者は、交通機関を使うことができません。お金の魅力は理解しているけれど、持ち物には常に支援が必要です。この場合、財布にひもを付けてカバンに取り付けるとか、日中活動場所では金庫にしまうよう声をかけてもらうとか、さまざまな支援の工夫が必要です。

アドラー心理学を基本とする子育てにおける親の育成プログラム、パセージにおいては、課題の分離をしただけでなく、必要に応じて共同の課題にして援助することができるとしています。この共同の課題にして援助すること、それが支援です。

ただし、パセージにおいては共同の課題にできるときの条件が3つあります。
1)はっきりと言葉で頼まれたとき
2)行為の結果、誰かが迷惑をこうむるとき
3)援助を申し出て相手が了承したとき

同様に「厚生労働省は意思決定支援ガイドライン」においては、意思決定した結果については最大限尊重しつつ、不利益が生じることが考えられる場合は自由を制限しない範囲で選択を制限できる、としています。まその支援はあらかじめ計画書による合意が必要です。

パセージとガイドラインでは共通したところがあります。

私は、福祉サービスにおいてアドラー心理学を応用した支援を一般化させたいと考えています。そのためにはしっかりとした基礎をおさえて応用していかなければいけません。

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