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笑っていると楽しくなる(第2回オンラインミーティングに参加して)

第2回ちはる塾サークルのオンラインミーティングに参加しました。今回はテーマの設定がありました。テーマは「感情」でした。まず、向後先生から「感情」についてのレクチャがあり、その後、参加者で議論を行いました。濃厚な1時間でした。

さて、レクチャでは、感情は実体のないもの、自分で枠組みを作っているというお話と、「ジェームズ・ランゲ説」に基づいて感情についての説明がありました。

一般的には、「楽しいから笑う」、「悲しいから泣く」と思われています。しかし「ジェームズ・ランゲ説」では、反対に「笑うから楽しい」、「泣くから悲しい」といいます。

先生の話を聴きながら、「笑う」ということについて考えていました。また、「楽しいから笑っているわけではない」という事例について思い出していました。

私は障がいのある人が利用する事業所の経営をしています。事業所で直接支援にあたる支援者には、利用者の言葉だけでなく、感情に注目するようにお願いをしています。言語によるコミュニケーションが苦手な利用者の感情を受け止めることは大切な意思確認になります。

しかし、利用者の中には表情と感情を上手に表現することができない人がいます。たとえば、支援者から注意をされたとき、支援者の注意する意図が読み取れず、困り果てたあげくに笑ってしまうことがあります。支援者は、笑っているときは楽しんでいると思っています。そのため「何、笑ってるの!」と余計に注意をします。楽しいから笑っているわけではありません。笑うしかないから笑っているのです。

最近の事例で、ある利用者が、家の玄関を出たあと、行方がわからなくなってしまったことがありました。夜、行方がわからなくなり、朝まで見つかりませんでした。警察から連絡をもらい、私が担当の支援者と一緒にかけつけたとき、担当の支援者は、矢継ぎ早に「どうしてたの?」「どこに行ったの?」と質問をあびせました。そのとき利用者は、ただ笑うだけでした。担当の支援者は「ふざけている場合じゃないでしょう」と涙をためていました。

利用者は、私たちの顔を見てほっとして笑ったのかもしれません。そうではなく、どうしたら良いかわからなくて笑っていたのかもしれません。

笑ているからといって、その瞬間が楽しいわけではありません。笑っていれば楽しくなります。つらさを乗り越えようと思って笑っているのかもしれません。

利用者とのかかわりの中で、コミュニケーションとして表情を受け止めるときは、その文脈も理解しなければいけません。

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