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内部研修「支援計画を作るときの注意」

「支援計画を作るときの注意」という内部研修を行いました。私は、障がいのある人が利用する事業所を経営しています。毎月、支援者が参加する会議があります。そこでミニ研修を行います。今月のテーマが支援計画に関することでした。

支援計画書とは

対人援助における支援計画書には、利用者の本人の将来像、それに対する本人の思いが書かれます。支援者は、その希望の実現に向けての計画を提案します。それが支援計画になります。しかし、実際の支援計画を見ると、支援者の思い、こうあるべきが先行されることがあります。

まず、支援計画には長期目標と短期目標が書かれます

支援計画1

次に示すのは、研修で提示した「誤った目標設定」の例です。

支援計画2

一つひとつの項目が間違っているわけではありません。間違っているのは、設定の仕方です。ご本人の希望とまったく関係なく、支援者の思いだけを目標にしてしまうことです。

支援者の思いを伝えるときは、なぜその目標設定が必要なのか、もしくは、その目標を達成すると利用者にとってどんな利益があるのか、その点を具体的に明示する必要があります。

「一人でできることを増やす」

将来的に自立型のグループホームで生活をしたいと思っている利用者には必要な目標です。そういう希望がなく、支援者の価値観だけで「一人でできた方がいいに決まっている」というのは間違えです。

「健康に注意する」

健康に注意して生活することはだいじなことです。しかし、目的が明確ではないと、ただのキャッチフレーズです。支援者に目標の意図を聞くと、「健康じゃないと困るでしょう」と言います。これだけでは説得力に欠けます。

たとえば、ガイドヘルパーと外出をしておいしいものを食べることを楽しみにしている利用者がいたとします。その利用者の体重がヘビー級でメタボで、このままでは医療的な措置が必要になり、食事制限も始まりそうな状況だったとします。そういう人には必要な目標です。そのときは、本人や家族と話し合い、伝えたうえでこの目標を設定します。

「困りごとを自分で伝える」

利用者の中には、困ったときに「困った」と言えず、より大きな問題になってしまう人がいます。そういう人たちの支援計画にありがちな記載です。しかし、私たちは、困りごとをすべてを人に話すわけではありません。人に話したくないこともあります。また、話したい人と話したくない人がいます。支援者だからといって、何から何まで伝えなければいけないというのは間違えです。利用者から困りごとを話してもらうためには、支援者は、日ごろから利用者に話をしてもらえるような態度でいなければいけません。

言葉で意思が確認できないとき

私たちの事業所を使う利用者の多くは、言葉で自分の希望を伝えることが苦手です。そのときは、感情に注目をします。

支援計画3

ここでありがちな失敗は、利用者の楽しそうな場面を強調し、辛そうな場面に目をつぶることです。利用者によっては、にぎやかな環境が辛かったり、変更の多いプログラムが苦手だったりします。支援者は、そうは言っても手段行動だから仕方ないと言います。そこで、楽しそうなことを増やして、辛さを補おうとします。しかし、楽しいことが増えても辛さは変わりません。そこも気をつけなければいけない点です。

私の反省

冒頭の誤った目標設定は、10年前に私が承認した支援計画から抜粋しました。10年前の私は、支援者主体の支援計画を推し進めていました。利用者のみなさんには申し訳ないことをしたと反省しています。

支援計画4


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