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共同体感覚を高める (アドラー心理学入門講座 第7回目より)

04月11日(木)から早稲田大学のエクステンションセンター中野校で向後千春先生の「アドラー心理学入門講座」が始まりました。今回もそこで学んだことを障がいのある方への支援場面でどのように活用できるか実践報告を交えて考えていきます。

05月30日、第7回目のテーマは「人の役に立つ~貢献」でした。講義ではアドラー心理学の中心概念である、共同体感覚についてお話がありました。

共同体感覚は、世界を自分中心に見るのではなく、自分を含めた共同体を中心として見ることであり、共同体感覚を持った人の特徴として、自己受容所属信頼感貢献感を持っているとしています。

障がいのある方が暮らすところにグループホームがあります。私が経営するホーム6人の障がいのある方が支援者と一緒に暮らしています。家庭の役割を持つ場所です。だからといって家庭ではない、新しい位置づけの場所になります。

今日はこのグループホームという共同体で暮らす方の事例から、共同体感覚について考えます。今日の事例は、支援者の不適切なかかわりにより共同体感覚を持つことができなくなってしまった事例です。

グループホームで暮らすAさんは以前、支援者に生活態度を厳しく注意された経験があります。別に人に甚大な迷惑をかけたわけではありません。ただ、深夜まで起きていて朝起きれないとか、買い食いがひどくホームで食事が食べられない、支援者の価値に見合わない高価な物を買った、その程度のことです。そんなAさんに以前の支援者が、そんなことばかりしていたらホームから追い出されるぞ、と言ってしまいました。

その程度のことで、ホームを退去されられることはありません。それに今、その判断を下すのは私なので絶対にありません。

でもAさんは、ビクビクしながら暮らしています。年に数回支援計画の更新があります。その時期が近づくと不安になって眠れません。私に電話をかけてきては、「髙橋さん、俺、大丈夫かなぁ」「変なことしてないかなぁ」そんなことを聞いてきます。私はその都度、「大丈夫、私がAさんを追い出すことはしないから」「Aさんが居てくれて助かっているよ」そんな言葉を繰り返します。

Aさんとゆっくりお話をすると、集団生活の中で他の利用者に気を使って生活していることがうかがえます。また、ときどき差し入れもしています。

Aさんは、今の自分に自信がないため自己受容ができません。また追い出されるかもしれないと心配で、所属感が持てません。以前の支援者にきつく言われた一言で支援者と信頼感が持てません。さらにその共同体に対して気を使っていて、貢献感に結びつきません。

福祉サービスという視点で見ると、今のAさんの生活は安定していて、ケースとしてはうまくいっているケースとして評価されます。でもAさんは共同体感覚が持てず、幸福感が薄れてしまっています

私たちの支援は、日々のかかわりから、Aさんの共同体感覚を持てるように支援していかなければいけません。そのときに有効なのはアドラー心理学を基本とした子育てにおける親の育成プログラムパセージにおける心理面の目標を意識することです。

パセージ心理面の目標
 1)私は能力がある。
 2)人々は仲間だ。

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